大学テニスの日本一を決める団体戦「2025年全日本大学対抗テニス王座決定試合(男子第79回/女子第61回)」が10月21日(火)から愛媛県総合運動公園(松山市)で開催され、日本大学テニス部は23日(木)に初戦を迎える。昨年、20年ぶり4度目の大学日本一に輝いた本学は今夏の関東大学リーグで2連敗からの3連勝で準優勝し、3年連続となる王座決定試合出場権を獲得。昨年の優勝を知る4年生を中心としたチームワークで、部史上初となる大会連覇を目指す。
選手たちと山田眞幹監督に、リーグ戦の振り返りと王座決定試合への意気込みを聞いた。

王座連覇に向けた道程は、とても厳しく、そしてドラマチックなものだった。

9月上旬から始まった関東大学リーグ。王座決定試合に出場するためには、総当たり5試合を戦い2位以内が絶対条件となるが、大事な初戦の早稲田大戦を、主力選手の体調不良やケガによる欠場のため2-7で落としてしまう。続く第2戦の法政大戦も、チームの勢いを取り戻すことができず3-6で敗戦。0勝2敗(勝ち試合数5)となった時点で最下位に沈み、誰もが王座進出は難しいと思っていた。
第3戦の明治大戦を5-4で何とか勝利するも、筑波大3勝(勝ち試合数17)、早稲田大2勝(勝ち試合数18)、慶應大2勝(勝ち試合数12)、法政大1勝(勝ち試合数12)、日大1勝(勝ち試合10)、明治大0勝(勝ち試合数12)と、順位は4位に上がったが勝ち試合数では最下位と、厳しい状況は変わらなかった。

しかし、続く第4戦で状況が大きく変わる。試合に出場した選手はもちらん、応援する仲間たちも目の前の1つひとつの試合を全力で戦い、終わってみれば慶應大を8-1と圧倒し2勝目。しかも首位筑波大が早稲田大に敗れたため、最終戦を残して早稲田大3勝(勝ち試合数23)、筑波大3勝(勝ち試合数21)、法政大2勝(勝ち試合数18)、日大2勝(勝ち試合数18)、慶應大2勝(勝ち試合数13)、明治大0勝(勝ち試合数15)と、混戦状態になった。
運命の最終戦、対するは首位の筑波大。昨年の王座決定試合でも優勝を争った強敵に、日大は最低でも6試合に勝つこと、そして法政大が慶應大に6勝未満で勝利すること等が準優勝への条件になる。
依然高いハードルだったが、ドン底から復活した日大の選手たちがここで底力を発揮した。D3の丹下颯希‧⾼畑⾥樹のペアが勝利して2-1とすると、シングルスで一気に4連勝するなど7-2で勝利。さらに法政大が慶應大に敗れたことで、日大・筑波大・慶應大が3勝2敗で並び、勝ち試合数で慶應大を上回った日大が大逆転で2位となり、奇跡的に王座決定試合進出を決めた。

地元で2連覇達成へ ~主将・丹下颯希(文理4・新田)~

◎リーグ戦を振り返って
最初の2戦はチーム全体的に守りに入ってしまい上手くいかないことが多かったのですが、あとの3戦でしっかり勝ち切ることができたので良かった。負けたくないという強い思いで戦ったことで、3戦目以降はシングルスもダブルスも全勝することができました。
◎日本代表としてワールドユニバーシティゲームスに参加して
環境に適応する大事さや、海外の選手の考え方に触れ、自分なりに得られることがありました。
◎王座決定試合への意気込み
全勝して、2連覇します!

仲間を信じ、王座連覇を必ず果たす~髙 悠亜(スポーツ科4・関西)

◎リーグ戦を振り返って
リーグ戦は毎試合がタフで、本当に一瞬の気の緩みも許されない戦いでした。チームとしても苦しい場面が多くありましたが、そのたびに全員で声を掛け合い、つなぎ続けたことが結果につながったと思います。内容として満足できない試合もありましたが、それでも勝ち切れたことは大きな収穫です。
個人としては、初戦で捻挫をしてしまい、足の状態は万全とは言えず不安もありましたが、「自分が勝つことがチームの流れをつくる」という気持ちでコートに立っていました。痛みよりも“絶対に落とせない”という責任感のほうが強かったです。勝ち方にこだわるというより、どんな形でもポイントを取り切ることだけを意識して戦い続けました。
◎日本代表としてワールドユニバーシティゲームスに参加して
世界の舞台では、技術だけでなく試合中のメンタリティや勝負どころでの一手の精度が勝敗を大きく左右することを強く感じました。また、海外選手の勝ちへの執着心やプレーの強度に触れたことで、自分自身の基準値も大きく引き上がりました。この経験は確実に今の自分のプレーに生きています。
◎王座決定試合への意気込み
ここまで積み上げてきたものをすべて出し切り、必ずチームで頂点を獲ります。簡単な道ではありませんが、どんな状況でも勝ちをもぎ取る覚悟はできています。最後まで仲間を信じ、自分自身も勝負強さを発揮して、王座連覇を果たしてみせます。

すべてを出し切り勝利をつかむ ~小泉 熙毅(通信4・浦和麗明)~
◎リーグ戦を振り返って
思うようにいかない試合が多く苦しいリーグ戦でしたが、その分チームとしても自分自身も、たくさんのことを学べたと思います。結果だけでなく、次につながる経験ができたリーグ戦でした。
◎王座決定試合への意気込み
これまで積み上げてきたものを全部出し切るつもりです。応援してくださる方々に少しでも恩返しできるように、最後まで全力でプレーします。

ベストなプレーで勝利に貢献したい ~上野山 大洋(通信4・光明相模原)~
◎リーグ戦を振り返って
厳しい戦いも多くありましたが、その中から自分の弱点や課題が明確になったので、その点はポジティブに捉えています。
リーグ戦を通して積み上げたものを、王座の舞台で発揮できるよう準備していきたいです。
◎王座決定試合への意気込み
一戦一戦を大切に、チームとしても個人としてもベストなプレーを出すことを意識しています。最後まで諦めず、チームの勝利に貢献できるよう頑張ります。

最後の舞台に全力で挑む ~岡部 悠希(経済4・日大三)~
◎リーグ戦を振り返って
出だしの2戦は自分の力を出し切れずチームに貢献できなかったので、とても悔しかった。しかし、ラスト2戦、「ここで勝たなきゃ王座に行けない」という大事な場面で勝つことができ、ようやく少しチームに恩返しできたかなと思いました。苦しい中でも支えてくれた仲間に本当に感謝しています。
◎王座決定試合への意気込み
このメンバーで戦える最後の舞台なので、チーム全員で一戦一戦を大事にしていきたいです。これまで積み上げてきたことを信じて、自分の役割を全うし、結果でチームに貢献できるよう全力で戦います。

ダブルス全勝、笑顔で締めくくりたい ~高畑 里樹(文理3・相生学院)~
◎リーグ戦を振り返って
リーグ戦は初めの2戦で敗れてしまい、正直気持ちが落ち込んだ部分もありましたが、そこからは自分たちのやるべきことにしっかりと集中し、「全力で楽しむこと」を意識してプレーしました。その結果、3戦目からはダブルスで3連勝することができ、チームとしてもいい流れをつかめたと思います。厳しい戦いの中でも、自分たちらしさを出せたのは大きな収穫でした。
◎王座決定試合への意気込み
王座ではペアの丹下さんとの最後のダブルスになるので、全勝して笑顔で終わりたいと思います。

チームに流れをつくるプレーを ~山田 矢音(スポーツ科3・東海大菅生)~
◎リーグ戦を振り返って
チームとして後のない第3戦から、攻撃的な姿勢で試合に臨み、勝てたことが自信につながり、3連勝に結びついたと思います。最後の3戦を通じて攻撃的にプレーできるようになったことに成長を感じていますし、この経験は大きな自信になりました。
◎王座決定試合への意気込み
王座決定戦ではこれまで積み重ねてきた練習の成果をすべて出し切りたい。チーム全員で最後まで諦めず、一戦一戦を全力で戦い抜きます。自分のプレーで流れをつくり、チームの勝利に貢献できるよう頑張ります。

楽しみながら全力ファイト ~木村 一翔(スポーツ科1・関西)~
◎リーグ戦を振り返って
1年生らしく思い切ったプレーでチームに勢いをつけようと思って臨みましたが、第1・第2戦目はプレッシャーから試合を楽しむことができず負けてしまいました。3戦目にメンバーから外れ、一度コートの外から他の選手のプレーを見て初心に戻ることができ、チームに感謝して第4・第5戦目を戦うことができました。その結果、試合を全力で楽しみながらファイトすることができ、勝利に結びついたと思います。
◎王座決定試合への意気込み
1年目から王座の舞台に立てることに感謝して、チームのみんなと一緒に王座連覇を目指します。優勝するのは簡単なことではありませんが、どんな状況でも楽しく全力でファイトしたいと思います。

感謝の気持ちを結果で返したい ~新実 剛生(危機管理1・柳川)~
◎リーグ戦を振り返って
今回のリーグ戦では出場した3試合とも惜しくも負けてしまい、悔しさの残る結果になりました。それでも、応援のおかげでいいプレーができたと思いますし、応援の力はすごいということを改めて感じました。この経験を糧に、課題をしっかり克服して次につなげていきたいと思います。
◎王座決定試合への意気込み
ここまで戦ってこられたのは、たくさんの応援と支えがあったからだと思います。その感謝の気持ちを結果で返せるように、チーム一丸となって最後まで全力で戦います。自分の役割を果たし、必ず勝利に貢献できるようベストを尽くします。

4年生に笑顔を贈るため全力を尽くす ~大舘 一輝(経済1・日大三)~
◎リーグ戦を振り返って
初めてのリーグ戦は初戦のダブルス1試合だけの出場でしたが、緊張もある中でチームに少しでも貢献したいという気持ちで臨みました。
◎王座決定試合への意気込み
チームの一員としてできることを全力でやりたい。リーグ戦で優勝を逃した悔しさを忘れずに、4年生を笑顔で引退させられるように全力を尽くします。

王座連覇で歴史を作る ~山田 眞幹監督~

− 関東大学リーグ戦は厳しい戦いになりました
今年のメンバーはベストで戦えば優勝する力がありましたが、ケガや体調不良で2連敗して、王座出場が危ない時点でベストで戦えなかったので可哀想なことをしたなと思っていました。しかし、選手たちが最後まで諦めずに戦い、ふだんの練習から頑張っている姿を神様が見ていたのか、運も味方してくれたリーグ戦でした。

−連敗後、選手たちにどのような話をしたのでしょうか?
まず3・4年生を集め、大会中の伝達事項や運営のミスを修正し、しっかりとリーダーシップをもって一人ひとりが頑張って残り3試合を戦うように話しました。その後に全員を集め、最後まで諦めないで部員全員でまとまって頑張るように言いました。そして、「王座に出場できれば4年生の引退が1ヶ月伸びる。すぐに引退させないようにしましょう」という話をしました。

−第4・第5戦は圧勝でしたが、選手たちの成長、変化は感じられましたか?
第3戦で明治大に勝利し、主力メンバーのフォローで出場していた選手が自信を持ち、第4・第5戦でも力を発揮してくれ、とてもメンタル面が成長しました。またケガで出られなかった髙も、フル出場して丹下主将と共にチームを引っ張ってくれました。そしてチームも一丸となり、応援の学生も選手を盛り上げとても良い雰囲気になっていました。

−リーグ戦では1年生の起用が多く、中でも木村選手の頑張りが目につきましたが?
高校チャンピオンとして日大に入学した木村ですが、第1・第2戦はリードしていながら逆転で負けてしまい、リードしてからの気の緩みが見られました。第3戦はレギュラーから外し、ボールボーイをさせてメンタル面の指導をしました。それが功を奏して第4戦からは試合に集中することができ、大事な第4・第5戦の試合で勝利をしてくれました。「王座では全勝します」と、今は元気に練習しています。

−王座連覇へ向けて必要なこと、鍵を握る選手は?
まずはベストの状態で試合に臨めること。そのために体調管理を重視して、マスクの着用やケガ予防のトレーニングやストレッチを念入りにするようにしています。
鍵を握る選手は、日大の両エースの髙・丹下の大学チャンピオン。2人ともプレーは安定しているのでふだん通りの力を出してほしい。また、体調不良でリーグ戦では力を出しきれなかった小泉には、王座に出場できことを感謝して頑張ってもらいたいですし、1年生の木村もリーグ戦で活躍した力を王座でも発揮してもらいたいと思います。

−改めて、王座決定試合へ向けての意気込みをお願いします。
今年で3年連続の王座出場になり、一昨年は準優勝、昨年は優勝を飾りました。そして今年は、創部以来初の王座連覇を目指し、リーグ戦を勝ち上がった勢いのままチーム一丸となって頑張っていきたい。新たな歴史を作っていきたいと思います。


リーグ戦敗退の危機からの大逆転で王座決定試合出場を決めた選手たち。その勢いのままに、決戦の舞台・松山では、大学王者の貫禄を見せる戦いで勝利に突き進んでいくはずだ。

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