
2025プロ野球ドラフト会議、阪神タイガースより2位指名を受けた谷端将伍選手(経済学部4年) 【日本大学】
2025年10月23日(木)、プロ野球ドラフト会議が開催され、日本大学野球部副将の谷端将伍選手(経済学部4年・星稜)が今年のセ・リーグ王者、阪神タイガースから2位指名を受けた。記者会見を終えた谷端選手に、プロ野球選手としてのこれからの意気込みを聞いた。
この日、谷端選手は東都大学野球2部の秋季リーグ最終カード、川崎・等々力球場で行われた専修大学との1回戦に3番セカンドで出場。試合が終盤に差し掛かる中で午後5時を迎え、運命のドラフト会議が始まった。
「試合中、時計は見ないようにしていましたが、5時のチャイムが鳴ったので、『ドラフト会議が始まったんだな』と思いました」という谷端選手は、試合終了後、3塁側の屋内練習場に設けられた会見場に、片岡昭吾監督とともにユニフォーム姿のまま登場。緊張した面持ちで席に座り吉報を待った。

この日の試合は、谷端選手が3打数3安打1打点と活躍するも、序盤の失点が響き1-5で敗戦 【日本大学】
それから約10分後、阪神タイガースの2巡目指名の情報が伝わると、会見場の後方に集まっていたチームメイトたちから大きな歓声が上がった。片岡監督、小寺貴久野球部副部長とがっちり握手をした谷端選手の顔が、ようやくほころんだ。
その後に始まった記者会見。心境を聞かれた谷端選手は、「本当に指名されるかどうかわからなかったので、緊張して待っていた。指名を受けてほっとした気持ちと、目標としていたプロ野球選手としてのスタートラインに立てたんだなという喜びが湧いています」。そして、「これまで育ててきてくれた両親や家族に、感謝の思いを伝えたい」と語った。

会見場で指名されるのを待つ谷端選手と小寺野球部副部長 【日本大学】
1年生の時から試合に起用してきた片岡監督は、「体が強く、投打も走ることも平均以上にできた。特に肩の強さが印象的だった」と入学当時を振り返り、「4年間の中で広角に打てるようになり、対応力がついた。また、試合に出たいという思いで複数ポジションを守れるようになったことも魅力だし、それに挑戦したという部分が素晴らしい。打撃・守備・走塁のそれぞれの面で課題を持って、練習を継続して取り組めたところでレベルが上がり、今の姿にまで成長したと感じています」と称えた。

指名直後、谷端選手は込み上げるものをこらえるように下を向き帽子を被り直した。 【日本大学】
阪神タイガースについて谷端選手は「走攻守の全てにおいてバランスが良く、レベルが高い選手が多く層が厚いという印象」と話し、「高校生の時にプレーできなかった甲子園球場でプレーできるのがうれしい。タイガースのファンは応援がすごいので、その応援に負けないくらいのプレーを見せたいと思いますし、」と決意を口にした。
さらに「1年目は開幕1軍で新人王を獲ること」と言い、「首位打者や最多安打のタイトルも獲って、打撃でチームに貢献していきたいと思っています。長く野球を続けたいので2000本安打を目指して頑張りたい」と話す谷端選手。憧れの選手は阪神・森下翔太選手(中央大出身)で、「東都で対戦する中で目の前で見てきたし、バッティングはもちろん、勝負している姿が見ていて憧れます」。
最後に谷端選手は「これまで以上に厳しい世界になりますが、練習に対する“継続力”というところは変えずに、とにかく練習に励んで、一軍の舞台で活躍できるように頑張ります」と締め括った。

「(出身の)石川県の代表という思いでプレーしているところを子どもたちに見てもらいたい」という谷端選手。星稜高校の先輩のヤクルトスワローズ・奥川恭伸投手との対戦を希望した 【日本大学】

タイガースのタオルやフラッグを掲げ、チームメイトたちも笑顔で祝福 【日本大学】
好きだったチームで活躍するために、もっともっと練習を
― 改めまして、おめでとうございます。指名された瞬間はどんな気持ちでしたか?
希望として在京のチームというのはありましたが、実は子どもの頃から阪神タイガースが好きだったので、こうしてご縁があってタイガースに行けることになったのとてもうれしかった。また、それ以上にチームメイトたちが喜んでくれている姿を見て泣きそうになりました。
― プロ野球を意識したのはいつからですか?
3年生の秋、2期連続で首位打者を獲った後、片岡監督と面談をした際にプロ志望届を出そうと考えました。それまで自分の中では、社会人野球で勝負してから、プロへ行こうと思っていましたが、首位打者を獲ったことで自分もできるのかなと思うようになりました。
― プロになるために何か変えたことはありましたか?
守備練習はそれまでも量をやっていましたが、プロを目指す中で、量も継続しながら、質という部分に目を向けるようにしました。とにかく、ただやればいいという考えはなくなりました。
― プロでは、どのポジションで勝負したいと思っていますか?
できればセカンドで勝負したいです。
― プロにいる星稜高校の先輩たちからアドバイスされることなどは?
年末に帰省した際、星稜の先輩の内山(壮真、ヤクルト)さんや北村(拓巳、ヤクルト)さんと会話をする中でも、プロのレベルの高さを感じるところはありますし、帰省の時は毎日のように刺激になっています。
守備面では、送球ミスは絶対にあり得ないと言われましたが、捕球ミスは練習すれば上手くなるので、キャッチボールを初心に戻ってやること、積極的に何事も取り組んでいくことが大事と言われました。
京田(陽太、横浜DeNA)さんとは一緒に練習したこともありますが、プレーに対する考え方という面は全然違いました。
― 高卒でプロ入りした同級生たちをどう見ていましたか?
高校の頃は、ドラフト1位で行く同級生を見てすごいなという感情だけでしたが、自分もプロから指名していただけたことで、彼らには負けていられませんし、早く一軍の舞台に立って、彼らを打ち崩したいという気持ちが湧いてきました。
― プロで活躍する上での課題はどこだと考えていますか?
走攻守すべてでレベルアップしていくことだと思いますが、その中でも守備面は、思っている力以上にやらないといけない。まずは大学野球を引退してからの期間で基礎練習を徹底的にやる。シーズン中にはできないような練習をやって、体を作っていこうと自分で決めています。そこからまたプロの世界でもっともっと練習して、技術的に上手くなっていきたいと思います。

昨秋の日本大学創立記念日に行われた國學院大戦で逆転サヨナラ3ランを放った谷端選手。「多くの人が応援してくれていたし、4番として試合に出させていただいている以上、決めるのは自分しかいないと思っていた。決められて良かったです」と振り返った。 【日本大学】
― 日大での4年間を振り返って、得たことは?
継続力と忍耐力です。2年生の春にケガをして、復帰後になかなか結果が出ずにCチームにいた時もありましたが、そこで腐らず、周りからどう言われようと自分のことだけを信じて練習をやりました。そこで秋に結果を残すことができたという部分で、継続力と忍耐力をすごい得ることができたと感じています。
あとは、仲間ですね。同級生もそうですし、メンバーに入ってない選手が打撃投手をしてくれたり、ノックを打ってくれたり、動画撮影をしてくれたり、全ての面で周りのチームメイトがいなかったらここまで成長できていなかったので、本当にみんなに感謝しています。
― 好きな言葉は?
「執念」です。決して最後まで諦めず、どんな状況であっても粘り強くついていくという思いでやっています。何事も流さずにとにかく食らいついていくという意味で、野球以外の面でも「執念」は心がけています。
― プロでの活躍を期待しています。ありがとうございました。

片岡監督(右)との記念撮影 【日本大学】
[日本大学野球部・片岡昭吾監督のコメント]
谷端選手の成長は、3年秋に首位打者を2季連続、ベスト9を3季連続で獲ったにも関わらず、ジャパンの強化合宿メンバーに選出されなかったことが大きかった。当時のドラフト1位でプロに行った投手たちを打っての首位打者獲得で、自信も芽生えていたところでの選考外だったので、そこでの悔しさが、もっと上のレベルで挑戦したいと意識を変えたし、もう1段階成長させた要因になったと思います。
プロとしての1年目、レギュラーをつかんでほしいという希望はありますけど、阪神の選手層はかなり厚いですから、まずは一軍で戦える体力と技術をつけてほしい。ケガなく一軍に居続けて出場のチャンスを伺い、もらったチャンスで結果を出せるように準備をしっかりしてほしい。
その上で、谷端選手はボールにチャレンジしていくという、バッティングファイトというのが相当あるし、しっかり振っていけるところが彼の魅力なので、ファンを楽しませるようなスイングができるんじゃないかと思います。
守備の方でも、チーム事情からセカンドを守るようになりましたが、サードの時よりもいい感じで守れるようになってきています。これから先が一番重要ですので、活躍できるように、引き続き継続して練習をたくさんしてくれると思います。
歴史と伝統のある阪神タイガースは注目度も高いですが、自分のやるべきことをしっかりやれば、結果がついてくると思うので頑張ってくほしいですね。

【日本大学】
Profile
谷端 将伍(たにはた しょうご) 経済学部4年
2004年生まれ。石川県出身。星稜高卒。178cm・80kg、右投げ右打ち。小学1年時から軟式チームで野球を始め、星稜高では2年秋からベンチ入り。日大では1年の春季リーグ戦から出場し、2年秋のレギュラーに定着。3年時は春秋連続で首位打者を獲得。10月の日大創立記念日の東洋大戦で延長11回裏に逆転サヨナラ3ランを放つ。三塁手としてベストナインにも3回選出された。4年春は不調に苦しんだが、東都2部で戦った秋は開幕戦でサイクル安打を記録するなど3割を超える打率を残す。今夏には侍ジャパンに選出され日米大学野球に出場した。