
【日本大学野球部】
令和7年度東都大学野球連盟の秋季リーグ戦2部の最終カードとして、10月23日(木)より川崎・等々力球場および大田区・大田スタジアムで専修大学との試合が行われた。 今春に2部降格し、秋季優勝、1季での1部復帰というシナリオは叶わず終わったが、その粘り強い戦ぶりは今後につながるものであり、来春の巻き返しへ向けて一筋の光明が見えた3試合だった。
序盤の失点が響き、反撃及ばず
【10月23日 (木) vs専修大学1回戦(等々力球場)】
秋季リーグ第4週の拓殖大戦を2勝1敗で勝ち越し終え、通算5勝5敗の勝率.500、勝点2としていた本学。雨のため1日順延になった第5週は、条件次第で逆転優勝の可能性を残す専修大学を相手に、意地を見せて勝点を積み上げたいところだった。
しかし、その思いとは裏腹に、試合は前半から苦しい展開になる。
2回裏に先発の菅澤宙(生産工2・中京)が連続長打と犠飛で2点を先制されると、続く3回にも長打2本で2点を追加される。さらに4回から2番手として登板した中山敬斗(文理2・明豊)が1死3塁のピンチを招くと、スクイズを決められて0-5と差を広げられた。
5回以降は、3番手で登板した生方碧莞(経済3・前橋育英)が専大打線を安打2本と抑え込む力投を見せたが、打線は再三チャンスを作るものの、あと1本が出ない。
ようやく8回、9番・朝倉暖(経済2・木更津総合)の中前安打と2番・川崎大也(生産工4・佐野日大)の2塁打で作ったチャンスに、3番・谷端将伍(経済4・星稜)がこの日3安打目となる3塁内野安打を放ち1点を返す。しかし、後続が続くことができず、このまま試合終了。
専修大を上回る9安打を放つも、4番・5番がともに無安打に終わるなど打線がつながらず、序盤の失点を取り返せずに終わった本学は、大事な初戦を落とした。

気持ちのこもった投球で5回から4イニングを無失点に抑え込んだ生方 【日本大学野球部】

タイムリー内野安打を放った谷端は、試合中に始まったドラフト会議で阪神タイガースから2位指名を受けた 【日本大学】
翌24日(金)の2回戦は、1-1の5回途中に悪天候のためノーゲーム。
翌週28日(火)に仕切り直しのプレイボールとなった。
この日は、初回から本学の打線がつながった。2番・川崎の右2塁打、3番・谷端の右前安打、4番・片井海斗(スポーツ科1・二松學舍大附)の四球で1死満塁のチャンスを作ると、5番・富塚隼介(危機管理3・日大三)が期待に応える中前タイムリーを放ち2点を先制した。
4回は、1死から3試合ぶりスタメンの7番・村田雅道(危機管理2・有明)、8番・米田歩生(経済1・広島商)がライトへ連続ヒットを放ち1・3塁とチャンスメイク。9番・朝倉の打席間に捕手の3塁牽制が悪送球となり1点を追加すると、1番・菊池の内野安打で広がった2死1・3塁では川崎の打席間の捕免で3走・米田が生還。さらに川崎の打球が三塁内野安打となる間に、菊池が2塁から好走塁でホームを陥れて5-0と突き放した。
続く5回にも打線がつながり、代わった3番手投手を攻めて1死満塁とすると、米田・朝倉の連続押し出し四球、菊地の右前タイムリー、谷端の押し出し死球で一挙4点を追加して9-0と一方的な展開。6回にも3本の長短打を集めてダメ押しの10点目を加えた。
投げては、先発したエース市川祐(法4・関東一)が、持ち味の巧みな投球術でピンチを凌ぎながら打者を打ち取り、7回を被安打5、無四球で零封。8回に2番手・榎谷礼央(経済3・山梨学院)が2四球とエラーで2失点するも、3番手・柏崎日祐(生産工4・寿徳)が最終回を3人で締めてゲームセット。1勝1敗のタイにして、翌日の第3戦へと持ち込んだ。

初回1死満塁から、5番・富塚が二遊間を破る先制2点タイムリーを放つ 【日本大学野球部】

4回・5回のピンチを無得点に抑え、相手に流れを渡さなかった市川(左)と米田(右)のバッテリー 【日本大学野球部
気迫の好投が、勝利を引き寄せる
【10月29日 (水) vs専修大学2回戦(大田スタジアム)】
秋季リーグの最終戦は、これまでチームを牽引してきた4年生にとってのラストゲーム。ラインナップには4人の1年生が名を連ね、フレッシュなメンバーで最後の戦いに挑んだが、是が非でも勝利し、笑顔で有終の美を飾りたいと、ベンチ入りの選手たちはみな意気込んでいた。
序盤は、両校の先発が試合を作った。本学の先発・直江新(法2・九州学院)は、最速148kmのストレートと抜群のコントロールを武器に、1・2回は安打の走者を出しながらも点を与えず、3回は三者凡退と丁寧な投球で抑え込んでいく。
4回表、満塁の好機で得点を奪えず、嫌な空気も漂ったが、この日の直江には杞憂だった。その裏、2番から始まる上位打線を、三者連続の空振り三振に仕留める圧巻の投球を披露。ベンチは大いに湧き立った。
直江の力投に応えたい打線は5回表、2つの四球とバッテリーエラーで作った1死2・3塁から、1番・菊池の遊ゴロの間に3走・柴垣俊吾(法1・九州学院)が俊足を飛ばしてホームを踏み、待望の先制点を挙げた。
1-0となった5回も2つの空振り三振を奪った直江は、疲れの見えた6回に2四球を出してピンチを招くも、後続を遊ゴロと空振り三振にねじ伏せて踏ん張った。3回以降は安打を許さず、6回7奪三振と零封した気迫あふれる投球が、この試合のハイライトだった。
最小点差の緊迫した展開のまま迎えた9回表、2死から代打・山中海斗(法4・木更津総合)が中前安打で出塁。2者連続の四球で満塁となると、ここで9番・朝倉に代わって代打・南條碧斗(危機管理4・報徳学園)が告げられた。3年春からスタメンマスクを被り、今季は主将としてチームを牽引してきたが、秋季リーグでは途中出場だけでこれが初打席。しかし、4年間の集大成となる打席に立った南條は、見事に右前タイムリーを放ち、意地を見せた。1番・菊池も左前タイムリーで続き、この回、大きな2点を追加した。
9回裏、8回から登板していた生方が右犠飛で1点を失うも、最後の打者を二邪飛に打ち取りゲームセット。3-1で接戦を取った本学が、勝点3として専修大に並んだが、勝率により秋季は3位という結果に終わった。
個人では、今季から本格的に二塁手に専念し安定感のある守備を誇った谷端が、東農大戦でサイクル安打を達成するなど打率.385(1本塁打を含む20安打)と打撃でも好調を維持し、2部のベストナインに選出された。

来季への期待が高まる好投を見せた直江 【日本大学野球部】

大学最後の打席をタイムリーで飾った南條(中央) 【日本大学野球部】
歓喜のストーリーを描くために
野球部創部100周年を迎えた今季は、波乱の1年だった。
昨年末、チームスローガンを「掴」と決め、2016年秋季以来の優勝と日本一を目指して始動したが、意気込んで臨んだ春季リーグ(1部)は接戦を落とす試合が多く、勝ち点0でまさかの最下位。1部残留を賭けた入替戦も、駒澤大に連敗して2部降格となった。
1季での1部復帰を誓い、挑んだ4年ぶりの2部の舞台だったが、そこもやはり「戦国東都」だった。
第1週の東農大戦は、2試合連続10得点と打ち勝ち、幸先良く発進したが、第2週の立正大戦は先勝しながら接戦を落として連敗し勝ち点を献上すると、第3週の国士舘大戦も痛恨の連敗。第4週の拓殖大戦は、勝ち点こそ得たが第2戦を1-2で惜敗した。この1敗がなければ専修大との最終カードもまた違ったものになっていたかもしれない。優勝は9勝4敗 勝ち点4の立正大で、勝ち点3で並んだ専修大が7勝4敗で2位、本学は7勝6敗で3位。負けないことの重要性を痛感させられる結果だった。
「南條主将率いるこのチームは、個々の力が集結し、全員で勝利を掴みにいく日大野球を魅せてくれました」
公式SNSに記されたその一文は、今季のチームを象徴しているように思える。主将の南條、副将の市川・谷端を中心に、チームは確かに1つの方向を向いて戦ってきた。それぞれがベストを尽くしてきた。それでも、目指していた通りの結末を描くことはできなかった。
23人の4年生が抜けた今、新チームはどんな形で再生していくのだろう。エースの座をつかむのは?打線の核となるのは?今季輝きを見せた選手たちの実力は?実戦経験を積んだ1年生たちの覚醒は?
来季へ向けての楽しみは尽きないが、それは選手一人一人の覚悟と成長があってこそ。この1年間を糧としてプレイヤーとして、学生として、人として、今の自分を上回ることが必要になる。
公式SNSには4年生への感謝とともに、決意の言葉が続いていた。
「後輩一同、その意志を引き継いで誇れる結果をお見せできるよう精一杯頑張ります」
2026年春季に15度目の2部優勝、10回目の1部昇格、そして秋季に24度目の1部優勝、大学日本一へ。
最高のエンディングを目指して、日本大学野球部101年目の物語がこれから始まる。

【日本大学野球部】