12月13日(土)、「第102回箱根駅伝壮行会」が日本大学文理学部キャンパ(世田谷区)で開催され、日本大学陸上競技部特別長距離部門からエントリーメンバーに入った16名の選手が紹介された。12月末の区間エントリー10人の発表、そして2026年1月2日(金)・3日(土)に行われる第102回箱根駅伝に向けて、選手それぞれの心境と意気込みを聞いた。(取材:2025年12月13日)

シード権争いへ、戦う準備はできている。

主将 中澤 星音(経済4・一関学院)

前回大会、チームは最下位という結果に終わり、個人でもケガの影響により箱根駅伝予選会も本戦も走ることができず、「何もできない悔しさがすごくありました」と振り返った中澤主将。
「この1年、より強い日大になることを目指して、日々の練習の中でしっかりと土台を作り、試合で結果を出せるように、コツコツと努力していくことを心掛けてきました。また、体調管理の面で、昨年の失敗を繰り返さないように、しっかり準備していくことをテーマとして取り組んでいます」
今年のチームの強みを尋ねると、新雅弘監督も口にしていた「総合力」という言葉を挙げた。
「選手層の厚さが感じられるチームになってきているので、誰がどの区間を走るかは分かりませんし、誰が走ったとしてもしっかり結果を出していけるチームになったというところが、去年と比べても成長したところであり、強みだと思います」

また、個人としての1年については「チームにしっかり貢献できるレベルの力をつけていきたいという思いで取り組んできました」。肺気胸を患ったことで、本格的に走れるようになったのは7月くらいからだったが、夏合宿も順調に練習を積むことができ、出場試合は少ないものの納得のいく走りができていると感じている。「復帰戦となった箱根予選会で、チーム内2位という結果で貢献できたことが素直にうれしかったですし、これを本番でもしっかり発揮していきたいなと思っています」

現在の仕上がりについては「チームとしても個人としても、着実に準備ができている段階」と話し、「チームとしてシード権争いに絡んでいくことを目標としてやってきて、そこにぶれはない。残り20日間、何があるか分からないので、日々丁寧にやっていきたいと」と自信をのぞかせる。
個人としては復路の後半、8・9・10区を希望区間として挙げたが、「2年生の時に走った経験を生かせる9区でリベンジしたいという思いは強くあります。ただ、どこの区間になっても、単独走だとしても、周りに他校の選手がいたとしても、しっかり戦っていける走りをしていきたい」と力を込めた。
卒業後は一般企業に就職するため、箱根駅伝が陸上人生の集大成を見せるレースになる。
「ずっと目標にしてきた箱根の舞台をしっかり走り切って、心から楽しかったと思えるレースにしたいと思っています」と柔らかな笑顔で締め括った。

恩返しの走りを見せたい。

副主将 大仲 竜平(スポーツ科4・北山)

100回大会は10区を走ってタスキを大手町のゴールへ運び、前回は急遽4区を走って区間17位。安定感のある走りが強みだという大仲選手。現状の仕上がり具合は「悪くないと思います」と言い、「本戦まであと3週間、ケガと体調不良だけは絶対にしてはいけない、そこだけですね」と、前回の反省を肝に銘じてその日を待つ。
「1年ごとに総合力が確実に上がっている」と、チームの成長を感じている大仲選手は、「“シード権争いに絡む”という目標の達成に貢献できるよう頑張りたい。復路でいい位置に持ってきて、後半の重要なところでしっかり勝負を決める走りをしたい」と、3度目の箱根駅伝は往路4区か復路8・9区を希望する。

「最後の大きな大会なので、前回の悔しさも晴らせるようにしっかり走りたい。この4年間でお世話になった監督やコーチ、そして家族や知り合いの方々にも支えてもらっていたので、皆さんにしっかり恩返しの走りを見せたいと思います」

見ている人の心を熱くする走りを。

鈴木 孔士(法4・中越)

エントリーメンバーにしっかり入れたことは、通過点ではありますが、まずは良かったと思います」と語った鈴木選手。前回大会同様、5区の山登りを希望しているが、その経験を礎にして3度目の箱根路に挑む。
11月の全日本大学駅伝では8区のアンカーを務め、区間9位の好走でチームの総合10位に導いた。「4年間の集大成として、シード権争いにしっかり貢献していきたい」という鈴木選手の口からは、「まずは楽しんで走るということ。そして全日本大学駅伝の時のように、皆さんの心を熱くさせられるような走りを見せたい。個人としては区間で1桁順位を目標に頑張ります」と、力強い言葉があふれてくる。

前回大会では、芦ノ湖のゴール近くで中学時代の恩師の姿を見つけ、ラストスパートの力を得た。「今回、大学・高校・中学の先生や友だちなど、多くの方が応援に来てくださるようなので、不甲斐ない走りはできない。成長した姿を見せられるようにしたいですね」と目を輝かせた鈴木選手。その表情は自信に満ちていた。

感謝の気持ちを持って箱根に挑む。

滝澤 愛弥(文理4・佐野日大)

4年目にして初めて、箱根駅伝のエントリーメンバー16人に名を連ねた。「やっとというか、ここまで長かったなというのが率直な感想です」と苦笑いを見せた滝澤選手。箱根予選会も全日本大学駅伝も出走することが叶わなかったが、選考対象とされた上尾シティハーフマラソンと日体大記録会で、いずれも自己ベストを出してメンバー入りを手繰り寄せた。「そこで走れなかったら終わりだなと思っていたので、まだ満足できる結果ではないですが、なんとか首の皮一枚つながって良かったです」

今季は大きなケガもなく、「自分としては順調にやってこれた。4年間の中でも今の状態が1番がいい感じだと思います」というが、この先チーム内の競争はさらに激しさを増していく。もう1度、ラストチャンスをつかむことができれば、任されたところで全力を尽くすつもりでいるが、「エントリーされただけでも、多くの方に『おめでとう、良かったね』と言葉を掛けていただき、改めて応援されているんだなと感じることがこの数日ありました」と、箱根駅伝の影響力を実感している。それだけに「箱根を走れても走れなくても、応援してくれる人は変わらずいるということを忘れてはいけない。今後、競技を続けていく上でも、感謝の気持ちを忘れてはいけないなと、改めて思いました」と、滝澤選手は最初で最後の箱根駅伝に、真摯に向き合っていくつもりだ。

持てる力を信じて、駆け抜けるだけ。

箱根予選会では、レース終盤に脱水症状を起こして失速し、不本意な結果に終わった。
「レース後、高熱が出てしまい、結構体がボロボロになってしまいました。翌日には体調も回復しましたが、走りにおいてはちょっとしんどさが残ってしまって…。それでも試合はあるので、何とか調整しながらやってきました」
全日本大学駅伝はエントリーされるも当日変更で出走できなかったが、その後の上尾シティハーフマラソンで62分18秒の自己ベストを記録、続いて日体大記録会でも10000mのセカンドベスト(PBとは約3秒差)を出して、復調を印象付けた。
「上尾ハーフは、一斉スタートという点で、箱根駅伝の1区をイメージして走りました」という冨田選手。「どんなペースでもついていこうと思っていたけれど、10km以降で集団から離れてしまい、そこからは自分の理想としていたラップタイムを刻めなくなり、悔しい思いをした。準備段階で調子が良かったわけではなかったので、その中では最低限の走りができたと思います」

前回大会は、3区を走ったが区間最下位に沈み、箱根の壁を実感した。その雪辱を果たすべく臨む今大会、「自分を応援してくれている方々にも見てもらいやすい区間ですし、法学部のキャンパスも大手町からすごく近いので走ってみたいっていう思いがすごく強い」と、冨田選手は1区か10区を希望する。
果たして、その力強い走りを見られるのは、大勢のファンに埋め尽くされたビルの谷間になるのだろうか。

チームに貢献する走りで、笑って終わりたい。

山口 月暉(法4・鳥取城北)

「最終的には箱根を走る10人に入るところが目標なので」と、チームエントリーに入ったことを淡々と受け止めていた山口選手。箱根予選会前に肉離れで離脱したが、「気持ち的にはあまり落ち込むこともなく、みんながやってくれるだろうと思っていた」。だが、予選会の2週間後の全日本大学駅伝もメンバー外になった時は、心穏やかではいられなかった。

「全日本三大駅伝は特別なものだし、全日本をもう1つの目標として頑張ってきたので、監督から『しっかりケガを治して、箱根に向けて切り替えてほしい』と言われ時は、結構辛くて苦しかったです。走れる状態にあったし、チーム状況的にも自分が走るものと思っていたので悔しかった。チームの成績がまあまあ良かったというのでなおさらでしたね」
結局、全日本を断念したものの「気持ちの切り替えは難しかった」。1人でいろんなことを考え、葛藤した末に「箱根駅伝が自分の最終目標」だと思い直した。さらに「箱根の結果では、悔いのある2年間だったと思う。今回は最後に笑って終われるように頑張ってほしい」という新雅弘監督の言葉に背中を押され、親からの励ましも受けて、改めて箱根駅伝に向けて心を奮い立たせた。
それが、上尾シティハーフマラソンと日体大記録会10000mで、それぞれ自己ベストを更新するという上昇気流に結び付き、「今の体の状態としては、ほぼ100%のいいコンディションで練習できていると感じています」と頼もしい。

これまで2度の箱根駅伝ではチーム事情もあって6区の山下りを担ってきたが、今回は「ずっと憧れていた」という1区が第1希望。それでも、「1区を走りたい気持ちはありますが、チーム状況を見た時にどこでも走れるように準備している。任された区間がどこであっても、チームに貢献できるように走るための準備はできています」と、山口選手はフォア・ザ・チームに自信をのぞかせる。
そして、今大会での目標をたずねると、「最後に笑って終われるようにしたいです」と、力強い答えが返ってきた。

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