
(左)新井楽人選手 (右)泉登翔選手 【日本大学】
2026年1月29日(木)、今秋スタートする「Bリーグ・プレミア」に向けて、「Bリーグドラフト2026」が東京都内で初めて開催され、国内外の大学生11名が指名された。本学からは、ドラフト志望届けを提出していた新井楽人選手(危機管理4・沼津中央)が1巡目指名(全体3位)で横浜ビー・コルセアーズに、泉登翔選手(文理4・福岡大大濠)が3巡目(全体10位)で富山グラウジーズに指名された。
プロで長くプレーしていきたい。 横浜ビー・コルセアーズ 1巡目指名 新井楽人(危機管理4・沼津中央)

全体で3番目に指名を受けた新井選手(右)と島田チェアマン(左) 【B.LEAGUE】
「Bドラフト2026」参加23クラブ中、15クラブが参加を表明した1巡目指名。歓びの瞬間は、指名が始まってから約7分後に訪れた。
「横浜ビー・コルセアーズ1巡目指名選手、新井楽人」
Bリーグ・島田慎二チェアマンが名前を読み上げると、他の招待選手たちとともに控えルームで指名の模様を見つめていた新井選手は立ち上がり、少し頬を緩めた。
ステージに登壇し、マイクを握ると「ご指名いただきありがとうございます。このような機会を作っていただき、リーグの関係者の皆様、本当にありがとうございます」と謝辞を述べた新井選手。続けて、「今まで僕を成長させてくれた恩師の方々やチームメイト、そして大好きなバスケットを続けさせてくれた両親への感謝の気持ちを忘れず、頑張っていきたいと思います。まだスタートラインに立ったばかりなので、これから横浜の地で少しでも早くチームに貢献できるよう頑張りたいです。よろしくお願いします」と語り、会場から大きな拍手が送られた。
ドラフトが始まる約4時間前、新井選手は日本大学本部での取材で、「この時期でまだ進路が決まっていないことに不安はありますが、これだけ注目を浴びてバスケットボールが盛り上がってきている中、素晴らしい機会をいただいているので、そこに対して感謝もありますし、楽しみなところもあります」と心境を語っていた。
190cm・90 kgの堂々とした体格を駆使して、本学ではシューティングガード兼スモールフォワードとして活躍。チームの得点源として存在感を示すとともに、フィジカルを生かしたボールマンディフェンスを強みとし、2024年のインカレ優勝に貢献して優秀選手賞を受賞。昨秋の関東リーグ戦(1部)でも優秀選手賞に輝いた。
2週間前にはドラフト1巡目1位指名権を有するサンロッカーズ渋谷が開催したワークアウトに参加し、「日頃リーグ戦などで試合をしている選手たちが多かったのでリラックスして臨めたし、その中で自分の強みを出せたプレーが何回かあったので、アピールできたかなと思います」と、プロへの手応えも口にしていた。

【日本大学】
指名された喜びを胸に、プレーで期待に応えていく。
ステージを降り、囲み取材のためバックヤードに現れた新井選手は、緊張から解放された様子で記者たちの前に立ち、矢継ぎ早の質問に、時折笑みを浮かべながら答えていった。
−今の気持ちは?
指名していただいて、とてもうれしいです。
−横浜ビー・コルセアーズのイメージは?
今年に入ってから練習に参加させていただき、チームの雰囲気が良く、強度も高かったので、すごい良いチームだなと思いました。
−全体3位指名という点は?
期待していただいているというのを感じますし、責任みたいなものもあるので、指名されたからにはそれに見合う活躍をしていけるように努力するだけだと思っています。
−自分の持ち味は?
スラッシャーとしての役割で、ドライブやペイントタッチからのキックアウトのアシストというところ。オンボールのディフェンスの強度という面でも、ポイントガードから大きい選手までを相手に守れる脚もフィジカルもあるところが強みだと思っています。
−目標とする選手は?
愛知出身なので、シーホース三河で活躍されていた頃からずっと比江島慎選手(現・宇都宮ブレックス)が一番好きな選手でしたが、これからは憧れではなくライバル心を持って臨んでいきたい。 “比江島さんみたい”にではなく、比江島さんとマッチアップして、倒してやるぐらいの気持ちで頑張ります。

新井選手(右)は3年生の時、15年ぶりのインカレ優勝に貢献した。 【日本大学】
「だいぶ前から、新井選手を1巡目で指名しようと決めていました」と、満足そうに笑みを浮かべたのは横浜ビー・コルセアーズの白井英介代表取締役兼ゼネラルマネージャー。チームへ練習参加した際の姿を見て、「スムーズに、違和感なくチームに入っていけるんじゃないかなと感じました」。
また、山田謙治アシスタントコーチ兼アシスタントゼネラルマネージャーも、「実際にプレーを見させてもらって、キレ味があるし、Bリーグですぐに通用するようなフィジカルも持っていたので高く評価していた」と話す。
「身体能力が高くてポストアップができるし、サイドもペリメーターとスリーポイントがある。得点だけじゃなくプレーメイクできるところもあって、その幅の広さが彼のセールスポイントだと思います。また、昨年の日大は難しいシーズンでしたが、腐らずにしっかり最後までプレーしていた。耐えながら、我慢強くやっていたというのが印象的でしたね」
そして白井代表は、新井選手の将来へ期待を込めて言った。「クラブの屋台骨を担うような、中心選手になってもらいたい。その先は当然、日本代表を狙えるような、スケールの大きな選手に育ってほしいと思います」
「行きたいチームということではなく、求められるチームに行きたいと思っていた」と言い、「こうして指名していただいたということは、少なからず自分に求められていることがあると思っているので、しっかりそれに応えていきたい」と、運命の日を振り返った新井選手。
これからの目標を聞かれると、「一番大きなところで言えば、日本代表になって活躍すること」。さらに「プロキャリアの中で、できるだけ長くプレーしたい。フランチャイズプレイヤーのように、長くプレーしたいというのがプロでの目標です」と力強く語った。
臆すことなく、自分らしいプレーを見せていく。 富山グラウジーズ 3巡目指名 泉 登翔(文理4・福岡大大濠)

全体で10番目に指名を受けた泉選手(右)と島田チェアマン(左) 【B.LEAGUE】
「この日のためにいろいろ努力してきたつもりなので、結果としてどこかのクラブに選ばれて指名されたらうれしいですが、もし選ばれなくても次の道がいろいろあると思っています」と、午前中に行った日本大学本部での取材時に話していた泉選手。「僕にできることはもうないので、ただ待つだけという気持ち」と穏やかに話していた。
地元の広島ドラゴンフライズU15に所属して活躍した泉選手は、福岡大大濠高に進学してウインターカップ優勝、日大でも3年時にインカレ優勝に貢献。昨年1月から約2ヶ月間は、特別指定選手として古巣の広島に加入してB1リーグデビューを果たし、出場4試合でプレー時間は短いながらも結果を残した。
「子どもの頃から身近に見てきたチームなので思い入れもあるし、今でも心の中で応援してきた。もしそこに入れるならうれしいし光栄なことですが、それがすべてということは全くありません」。

【日本大学】
「Bドラフト2026」の指名開始から1時間が経とうとしていた。ここまで1巡目での指名は6人、2巡目はわずかに2人。3巡目に入ると指名意思を示したのが8クラブに減った。控えルームで指名を待つドラフト候補選手たちが焦りを見せ始める中、泉選手は「不安がないわけではなかったけれど、それより、もう呼ばれないだろうなぁと思っていました」という。
「富山グラウジーズ3巡目指名選手、泉登翔」
指名順位4番目、富山の指名選手を発表する島田チェアマンの声が会場に響くと、選手の家族やファンなどが見守るスタンド席から小さなどよめきが起きた。泉選手は固い表情を変えることなく通路を歩きメインステージに登壇したが、マイクを握りスピーチをする時になって初めて笑みがこぼれた。
「指名してくださった富山の皆様ありがとうございます。そして自分をここまで育ててくれた両親、自分のバスケットボール人生に携わってくださった大学までの方々、自分はなかなか難しい性格だったんですが、ここまで育ててくださりありがとうございました」と感謝を伝えた後、「今日の日はスタートラインだと思っているので、しっかり準備して自分らしいプレーをどんどん発揮できたらと思っています」と、意気込みを語った。
大学で磨いてきた技術は、プロで通用する自信がある。
ドラフト終了後のフォトセッションを終え、バックヤードにやってきた泉選手に対し、記者たちの囲み取材が始まった。
−指名された瞬間の気持ちは?
なんとも言えない驚きがありましたね。ドラフト指名されるのはもっと少ないかと思っていましたし、自分がその中に入れるかとなると、ちょっと怪しいかなと思っていたので、本当にびっくりです。
−なかなか名前を呼ばれず、どんな思いでしたか?
それほど自分を高く見積もってここに来ていなかったし、そこまで特別な選手ではないと思っていた。周りの選手がどんどん指名されてステージに上がっていくのを、羨ましいというより、すごいなと思いながら、本当に人ごとのように見ていました。正直、ドラフトで選ばれなくても、下のカテゴリーから這い上がっていけると思っていたので…。それでも選んでいただいて、とてもうれしく思っています。
−ステージに向かって歩いている時は?
自分がなりたかったバスケットボール選手への第一歩が、名前を呼ばれた瞬間から始まるんだと思うとすごく感慨深くて…。周囲の人たちの期待などに応えられたかなと思う瞬間でした。
−富山グラウジーズの印象は?
あまりBリーグを見ないので何とも言えませんが、高校の先輩の葛原(大智)選手が在籍しているのは知っているので、これからしっかり見てみたい(笑)。また、富山のユニフォームも日大と同じ赤ですし、中学時代のユニフォームも赤、高校でも勝負時のTシャツは赤に決まっていたので、こんなに赤に恵まれるバスケ人生はなかなかないですし、自分に合う色なのかなとも思います。
−富山のファンに期待してほしいところは?
プレースタイルとしては、3ポイントシュートを武器にやってきて、その中でも、大学時代に磨いてきたハンドラーの部分はプロでも通用するかなと思っています。プライマリーハンドラーというよりも、そこがダメだった時のセカンドハンドラー、サードハンドラーへのつなぎのところ。また、スペーシングバランスを取るのも得意な部分で、強みのある選手をコートの中でより際立たせられるようなプレーが自分の持ち味です。なかなか目立ちはしないですが、そうしたところにも注目してほしいなと思います。
−マッチアップしたい選手は?
高校の同期の岩下(准平、筑波大、長崎ヴェルカ1巡目指名)です。今でもずっと仲が良いので、Bリーグという舞台でも高め合っていけたらと思います。
−プロで生き残っていく自信は?
これからは、同じポジションの選手たちと、プレータイムを取り合う競争になっていくと思いますが、そこは一歩も引く気はないですし、やれる自信はかなりある。何も臆せず、しっかりプレーしていきたいと思います。
柔らかな表情で、メディアからの質問にも饒舌に答えていた泉選手。その印象を伝えると、「やっぱり不安と心配は常にあったので、(午前中は)緊張していたんだと思います。それに比べたら今はホッとしているし、来年から仕事に就けるなって感じです」と、この日1番の笑顔を見せた。

2024年のインカレ決勝、泉選手は13得点を挙げる活躍で優勝に貢献した。 【日本大学】
富山グラウジーズの代表取締役を務める高堂孝一社長と野尻晴一ゼネラルマネージャーに、泉選手の指名について尋ねると、「今回のドラフトのルールに則り、考慮したところもあったので3巡目になりましたが、GMが泉選手を獲りたいと希望したこともあり指名しました」(高堂社長)とのこと。
これまで練習参加などの接点は一切なく、「声も掛けていませんし、接触もしていません。こちらが勝手にいいなと思っていただけなので、指名に驚いて当然だと思います」と話す野尻GMは、「シュート力が魅力ですし、サイズがある選手」と泉選手を評価。「来シーズン、Bプレミアになると外国人選手が各チームに主力として来ると思うので、どこか秀でたものを持つ選手をと考えた上で指名させていただいた。今チームが低迷している中では、外からのシュート力が弱いということもあるので、そこを改善していきたいと思っているスポットに入ってくれたらいいなと考えています」
また、指名後のスピーチで自ら「難しい性格」と発言したことにも、「うちのチームには個性的な選手が多くいるので、性格は全然気にしていません。プロなので、コートでプレーすることが一番なんだと考えてほしい」と一笑に付した。
高堂社長は、「プロになるということでは個性も大事。ただ、生き残れるかどうかというところでは、人間として成長するしかない」と言い、「将来の日本代表を目指して頑張ってほしい。新たに始まるプレミアリーグの富山では一番最初の選手なので、クラブを背負って立ってくれる選手になってもらいたい」と、泉選手の飛躍に大きな期待を寄せていた。
2026年10月、Bリーグのトップカテゴリーとして東西2地区制でスタートする「Bプレミア」。最高峰の舞台で、新井選手、泉選手はもとより、日本大学レッドシャークスのOBたちが熱い戦いを繰り広げ、躍動する姿が見られるはずだ。

「Bドラフト2026」で指名された選手たち。左端・泉選手、左から4番目・新井選手。 【B.LEAGUE】