2026年10月12日(月・祝)、島根県・出雲大社からの全6区間45.1kmで行われた「第38回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)」。16年ぶり22回目の出場となった日本大学陸上部特別長距離部門は、2時間08分15秒で見事に8位入賞を果たし、「古櫻復活」新章へ好スタートを切った。
出雲路を走り終えた選手たちに、レースの感想と次への抱負を聞いた。

1区[8.0km] 総合5位・区間 5位 天野 啓太 選手(法4・岡崎城西)

1区に指名されたのは想定外だったという天野。「3区か6区のエース区間を走るという気持ちで、動画を見るなどの準備をしていたので、1区と言われた時はちょっと驚きがました」

序盤からハイペースで走る先頭集団についていた天野は、他校の仕掛けにも臆さず7kmまで好位置をキープしていたが、残り1kmを切ってのスパートで遅れをとってしまう。
「ラスト1kmでレースが動くのは分かっていたので、そこまでしっかり足を温存し、粘れるだけ粘ろうと思っていたんですが、先頭との差が広がってしまった。その点が今後の課題かなと思っています」

それでもトップと12秒差の5位でのタスキリレーに、「プレッシャーがある中でのスタートでしたが、緊張しつつも最低限の走りができたんじゃないかなと思います」と納得の表情を見せる。

総合8位というチーム成績についても、「一時はトップに立つこともでき、次につながるいい経験がしっかりできた駅伝になりました」。

8月上旬から行われた北海道合宿では、4年生の物足りなさを新雅弘監督から指摘されていたが、「終盤の紋別合宿からだいぶ上向きになっていき、9月の菅平合宿でも非常に良い練習が積めたと思っています。その後の練習もしっかりタフにこなしてこれたという点は、自信になりました」と謙虚に語った。

さらに、3週間後の全日本大学駅伝に向けては「今日のこの結果を受け止め、これからもしっかり地に足を着けて練習を積んでいきたい」と、気を引き締めていた。

2区[5.8km]総合9位・区間 10位 山口 聡太 選手(文理4・佐野日大)

「同期の天野がいい流れを持って来てくれたので、それをしっかり次の区間につなげられるようにと思い走りました」
と、スピードランナーが揃う2区(5.8km)の中継所を飛び出していった山口聡太主将。
序盤は、中央大・創価大とともに前を行く駒沢大・青山学院大を追いかけていたが、2km 過ぎあたりから次第に遅れをとってしまう。「スピード練習はあまりやってきていない中のレースだったので、どのくらい戦えるのか未知な部分はあった。もう少しいける感覚もありましたが、結果的に前とだいぶ離されてしまい、力不足だなと感じます。区間順位も悪かった(10位)ので、主将として情けないです」と、思うような結果を出せなかったレースに悔しさをにじませた。

それでも、チーム全体を見ればプラスなことが多かったという出雲駅伝。「10位以内がチーム目標だったので、そこをクリアできたことは満足しています。途中、キップケメイと首藤が先頭を走ったし、長澤もいい走りができた。橋本も粘れたので、この後の全日本大学駅伝や箱根駅伝へとつながるレースになったと思います」と前を向く。
そして全日本大学駅伝に向けて、「出雲はみんなが頑張ってくれたので、全日本は自分がしっかりいい走りをして、チームにいい流れを作れるように頑張りたい」と、自身の力でチームを上位に導くと、決意を新たにした。

3区[8.5km] 総合1位・区間 1位(区間新) シャドラック キップケメイ(文理4・イリギタティ[ケニア])

各校のエースが集う3区。まさに圧巻の走りだったキップケメイ。トップで走りだした早稲田大との差は26秒だったが、「調子は良かったです」という彼にとって、それはないに等しいものだった。

3kmを過ぎて前を走る集団が次第にばらけていく一方で、他校の選手たちとは一段エンジンが違うようなスピードでグングンと順位を上げていく。
「今日の天候はちょうどよかった。最初の3kmは向かい風でしたが、後半は走りやすかったです」と、3.6km過ぎには先頭グループの4校を一気に抜き去り8人抜きでついにトップに浮上。そのままの勢いで第3中継所に飛び込んでいった。
「タスキをもらったら、トップに出たいという思いはいつも同じ。今回、それが達成できてうれしいです」と、従来の区間記録を40秒も更新する快走で区間新記録(22分56秒)も樹立した喜びを語った。
チームの8位入賞については「みんなよく頑張ったと思います」というキップケメイ。「一番頑張ったのは?」と尋ねると、少し考えて「自分です」と白い歯を見せ、続けて「4区、首藤も頑張った」と期待の1年生を称えた。

「全日本大学駅伝も頑張ります」と、次のレースでもその実力をいかんなく発揮していく意気込みを見せた。

4区[6.2km]総合2位・区間 8位 首藤 海翔(スポーツ科1・倉敷)

初めての大学駅伝、しかもトップでタスキを受け取ることになった首藤。
「トップで来るかもと考えていましたが、まさか本当にそうなるとは思わなかったので、とても緊張しました」

中継所では2位・早稲田大との差は9秒あったが、高校時代からしのぎを削ってきた同じ1年生の新妻選手がじわじわと迫り、ついに1.1km付近で追いつかれてしまう。
「ついて行くべきか迷ったんですけど、このままついていって失敗したらチームに迷惑がかかるので、自分のできる範囲でペースを刻んでいこうと思いました」

後ろから中央大学がひたひたと迫ってきたが、首藤は最後まで自分のペースをしっかり守って2位をキープし6.2kmを走り終えた。それでも、「区間8位という順位には納得してない、同学年の新妻選手や創価大の村上選手(区間7位)に負けたことはとても悔しい。もっと強くなってリベンジしたい」と、対抗心を燃やす。さらに、「怪我だけはしないように気をつけながら、しっかりと練習を積んでいき、全日本でも戦いたいと思います」と、3週間後に向けて頼もしい言葉を聞かせてくれた。

5区[6.4km] 総合2位・区間 5位(区間新) 長澤 辰朗 選手(文理3・中越)

「2位で来るの?という緊張感はありましたが、大きなチャンスを楽しもうという思いで走り出しました」と笑う長澤。
先頭の早稲田大とは16秒差だったが、「後ろから応援している声が聞こえたので、後ろが来ていることはわかっていました」と、10秒差で中央大が迫っていた。

2km過ぎで一度追いつかれたが、相手の様子を見ながらしっかりと並走していった長澤は、やがて「中央大の選手がきつそうに見えた」と、中間点付近で再び前に出る。トップとの差は広がったものの、区間新記録の好走で中央大との差を9秒としてアンカーへとタスキをつないだ。

今回のレースを振り返って話す言葉に自信が見えた。
「昨年、全日本を走った時よりも得るものが多かった。今回は追い風もあってタイムも出ましたが、しっかり走れたっていうのが自信になりました。箱根駅伝で優勝を目指しているチームと互角に戦えたことが、チームにとっても自分にとってもですごい大きな経験になったと感じています」

さらに全日本に向けても、「しっかり切り替えて、次の目標、次のレースに向けて調子を合わせていきたいと思っています」と、晴れやかな表情で期待を抱かせる言葉を続けた。

6区[10.2km] 総合8位・区間 11位 𣘺本 櫂知(スポーツ科3・学法石川)

最も長い区間を任されたが、結果的に苦しいレースになってしまった。

2km過ぎ、戻ってきた出雲大社正面鳥居にかかるところで、國學院大と中央大に抜かれ4位に。「ついていかないといけないところでしたが、全く勝負にならなかった」と言い、ペースが上がらない中で6km過ぎまでにさらに4校に抜かれ、最終的に8位で出雲ドームのゴールを切った。

「人生で初めてこういう大舞台を走らせていただいて、チームの代表という覚悟を持って挑みましたが、前の走者の人たちがつないできたいい流れを、自分が潰してしまった、すごい悔しいというのが今の気持ちです」と、肩を落とす𣘺本。「プレッシャーを感じてしまったが、これを克服しないと勝負していけないので、大きな舞台をもっと経験して強くなっていきたい。もっと練習して、他大学のエースの人たちと渡り合えるような力をつけないといけないと思いました」

全日本大学駅伝に向けては「個人としては、印象が悪い部分が残ってしまったと思うので、もう一度練習を積み直し、まず出走すること。そして出走するからには必ずチームにいい流れを持ってこれるような走りをしたいと思います」と、強い気持ちでリベンジを誓った。
 

新雅弘監督 (1983年・経済学部卒)

夏合宿の頃から、「出雲は、結果よりも経験」と話していた新雅弘監督は、気落ちした表情を見せる𣘺本選手に対しても「この経験を次に生かせばいい」と言葉を掛けた。
「今回は結構テレビに映ったからね、普通にないことだよ。箱根の時にそうなってくれたら最高だし、そのために今から頑張る。いい経験をしたと思う」

今回の出雲駅伝を振り返り、「オーダーも何も関係なく、目標を10番としていた中でそれは達成できたし、今までと区間配置を変えてそこで経験を積んでまた次へということ。これを第1歩として、全日本・箱根へと向かっていくんです。だから、みんな良かったですし、日本大学をアピールできて良かったですよ」と笑みがこぼれる。

ポイントとなったのは「1区の出だし。流れが大事なのでね。シャドラックが走るのは当然ですけれど、1区で出遅れたら終わります」と話し、「今回は誰もオーダーが分かってなかったでしょうね」。

天野選手の起用について聞くと、「全日本の重要なところで使うためには、プレッシャーを経験することも必要です。ここで1区のプレッシャーを経験したら、少々のことでもできますからね。橋本をエースが集まるところに使ったのも同じで、みんな将来への期待を込めたオーダー。強い選手と戦う経験です」

さらに「全日本大学駅伝に向けては「やっぱり1段1段が大事。ホップ、ステップ、ジャンプができるようにね。今日はホップで、次はステップになるかどうかはわかりませんが、今後はこれを続けていけば、絶対にいいチームになるはず」と言い、いつも通り「着実に一歩一歩です」との言葉で締め括った。

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