日大豊山高校時代に代表入りした東京五輪から3年。大学生になった柳本幸之介選手は、代表選手選考会の男子200m自由形で自己ベストを更新して2 位となり、2×200mフリーリレーのメンバーとして、2大会連続となる五輪切符を手にした。
東京五輪後から、柳本選手は個人種目派遣標準記録を突破し、五輪に出場することを目標として練習に取り組んできた。その本命レースとなる、男子200m自由形。準決勝をトップ通過した柳本選手は、決勝前に極限まで集中力を高めていた。
「僕がこの種目に懸けていることをみんな分かっていたので、すごく応援してくれましたし、自分自身も本当にここで頑張らないといけない、と思ってかなり集中していました」
しかし、気合いが入り過ぎたことが、マイナスに働いてしまった。というのも、3年前の選考会の時はコロナ禍だったこともあり、会場は無観客で静まりかえっていた。今回は有観客で、毎レースごとに大歓声が沸き起こるほど盛り上がっていたのだ。
「こういう盛り上がる雰囲気は好きなので、自分のやる気と応援の力が合わさり、ちょっと張り切り過ぎてしまいました。それがレース中の力みにつながってしまい、結果的に自分の理想とした泳ぎとレースができず、目標タイムには届かなくて悔しかったです」
だが、このときマークした1分46秒84は自己ベスト。結果は柳本選手自身が望むものではなかったかもしれないが、自己ベストという記録が、3年前よりも確実に成長していることを証明してくれている。
柳本 幸之介 選手
ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。実力を出し切れなかった東京五輪を経て、「もう一度世界の強豪たちと戦いたい」とトレーニングに励むも、日本大学進学直前に足首の靱帯を損傷。練習をしたくてもできない、もどかしい日々を初めて味わった。
「泳げないことで、あらためて自分は水泳が好きなんだな、という確認はできました。でも、思うように泳げなかったり、結果が出せなかったりするのは、しんどかったですね」
怪我が治ってからは、トレーニングに励んで肉体改造にも取り組み、高校時代に比べ筋力も大幅にアップした。また、スポーツ科学部で学ぶ日々も、プラスになることが多かった。
「授業はもちろんですが、同級生にも様々な競技の選手たちがいるので、彼らと話す中で学ぶことはたくさんあります。それを一度自分の頭の中に入れて、その中から自分に合ったものを選び、生かすようにしています」
生活のすべてを糧にして、世界と勝負をするために、2度目の五輪に挑む柳本選手。
「パリ五輪までの一日一日を大切に頑張ることはもちろん、自分ができる最大限の努力をしていきたいと思います。大学の先輩たちも代表チームで一緒なので心強いですし、切磋琢磨して僕も結果を残せるように頑張ります」
Profile
柳本 幸之介[やなぎもと・こうのすけ]
2003年生まれ。佐賀県出身。日大豊山高卒。姉の影響で水泳を始め、高校3年時に東京五輪代表として4×200mフリーリレーに出場。日大入学後は怪我に苦しむも昨年のインカレでは200m自由形を初制覇。3月の選考会の結果により、リレーメンバーとして2大会連続の五輪代表に選出された。専門種目は自由形中距離。
