昨年8月の世界選手権ブダペスト大会、最後の一投で逆転し、金メダルを獲得したシーンは、テレビでも事あるごとにプレイバックされ、今も記憶に新しい。

 

この結果により、陸上競技でのパリ五輪内定第1号となった北口榛花選手は、世界最高峰の大会ダイヤモンドリーグのファイナルでも優勝を果たし、日本人初の年間チャンピオンに輝いた。

 

昨年12月、日本陸連による年間最優秀選手「アスリート・オブ・ザ・イヤー」を受賞した際は、「魔法にかかっているような2シーズンで、いつ終わるのか不安」と話していたが、その魔法はまだ解けていない。

 

今季初戦、4月下旬のダイヤモンドリーグ蘇州大会を逆転で制すると、5月も水戸招待陸上、セイコーゴールデングランプリ、チェコでの国際ツアー大会で優勝。昨年7月から続く連勝は「11」に伸びた。

北口 榛花 選手

北口 榛花 選手

6月に入り、フィンランドで行われた試合では今季自己ベストの64m28で2位に入る。今季世界5位タイの好記録だったが、自身は納得していなかった。翌週に行われた日本選手権も、2年ぶり4度目の優勝を飾ったものの、記録は2投目の62m87に終わる。試合後は「投げが崩れてしまい、立て直せなかった」と話し、「もっと頑張らなきゃという危機感がある」と口にした。それでも「パリ五輪まであと1ヶ月あるので、少しでも良い状態で入れるようにこれから必死で頑張りたい」と、ダイヤモンドリーグ2試合に出場して、調子のピークを本番に向けて高めていくつもりだ。

 

「五輪は、世界選手権とは一味違うもの」と、東京五輪の時に感じたという経験も追い風にして、2度目の五輪へ挑む世界女王。記者会見で抱負を聞かれ、「世界選手権で金メダルを獲ってしまったので、五輪でも金メダルとしか言いようがないですけど…」と、トレードマークの笑顔を見せながら、「同じ金メダルでもレベルが違う金メダルだと思っているので、しっかり準備して臨みたい」と力強く語った北口選手。

 

パリの夜空に、世界を驚かす放物線が描かれるその時まで、魔法よ、そのままで。

Profile

北口 榛花[きたぐち・はるか]

1998年生まれ。北海道出身。旭川東高卒。2019年度スポーツ科学部卒。日本航空所属。本学3年時に単身チェコへ渡り、セケラックコーチに師事して才能が開花し、 ’19年5月と10月に日本新記録を樹立。’21年東京五輪は12位に終わるが、翌年はダイヤモンドリーグ・パリで日本人初優勝、世界陸上オレゴンでは銅メダルを獲得。さらに’23年は自身の持つ日本記録を2度更新(67m38)し、世界選手権ブダペストで金メダル、ダイヤモンドリーグ3勝&ファイナル金メダル、2023ワールドランキング1位などの快挙を達成。日本陸連の年間最優秀選手、日本プロスポーツ大賞殊勲賞を受賞した。パリ五輪は金メダル候補筆頭として注目が集まる。