東京五輪で頂点に立った後は、心身ともに苦しい日々が続いた。男女混合団体戦の決勝で痛めた左膝の回復が思わしくなく、翌年3月には内視鏡手術に踏み切る。「元の状態に戻れるのか。恐怖心があって自分の理想とする柔道ができない」と、不安と焦燥を抱えながら調整を重ねた。

 

1年ぶりの国際大会となる‘22年8月のアジア選手権をオール一本勝ちで優勝し、12月のグランドスラム・東京でも優勝。翌年5月の世界選手権で4年ぶりに女王の座に返り咲くと、8月には実績が評価されてパリ五輪代表に内定した。

 

だが、その後はコンディション不良による不振に加え、今年4月のアジア選手権で再び左膝を痛めた。幸い軽傷だったため5月のグランドスラム・アスタナ大会に出場したが、準決勝で東京五輪銅メダルのロマヌ・ディコ選手(フランス)に一本負け。反省を口にしつつも、「五輪前に1度試合ができたことは良かった。目標も明確になった。次に向けて頑張っていく」と話した素根選手。「まだまだこんなもんじゃないと思っている。自分の中で必ず金メダルというのはずっと変わらない」と、強い気持ちで前を向いた。

 

6月、所属先の壮行会に出席し、「必ず金メダルを獲得できるように、一戦一戦、全力で戦い抜きたい」と改めて決意を語った五輪チャンピオン。日本代表の強化合宿でも順調な仕上がりを見せ、「柔道の調子も、身体の調子も悪くない」ときっぱり。視線の先にはもう、連覇を果たす自分の姿しか見えていない。

Profile

素根 輝[そね・あきら]

2000年生まれ。福岡県出身。久留米市立南筑高卒。パーク24所属。全日本選抜3連覇、全日本女子2連覇、’19年の世界選手権東京大会の初出場初優勝など、国内外の数々の大会で優勝。’21年の東京五輪では78kg超級金メダルと男女混合団体戦銀メダルを獲得。’23年5月には世界選手権ドーハ大会で4年ぶりに頂点に立った。