「タンク村上こと、村上英士朗です」。パリ五輪代表会見での第一声、マイクを握った村上選手は、タンク(戦車)のように屈強な肉体にちなんだニックネームで自己紹介し、会場の雰囲気を和らげた。
東京五輪は「勝つことへのこだわりが足りなかった」と、出場が叶わなかった。そこからの3年間、「選考対象6大会での最高記録が国際ランキングの10位以内に入ること」という出場資格に挑み続けてきたが、その日々を「苦痛だった。試合を重ねるごとにきつさが増してきた」と振り返る。
序盤の3試合は納得のいく結果を出せず、一時は代表を争うライバルにも遅れを取った。だが、「自分の世界に入って暴れてやろう、楽しもう」と、気持ちを切り替えて後半の大会に臨むと、今年2月のアジア選手権(ウズベキスタン)でトータル421kgを記録。ランキング10位に滑り込み、初めての五輪切符を手にした。
会見では「ウエイトリフティングを愛して、毎日トレーニングに打ち込んできた成果が実を結んだ」と喜びをかみしめた村上選手。「ウエイトリフティングは私の人生の一部。すべてを懸ける価値のあるスポーツ」と言い、「この競技の美しさと力強さを世界中の人たちに伝えたい」と、競技普及への思いも口にした。
「地域の子どもたちが戦える場所を作りたい」と、地元・富山に専用ジムを開設するほど、ウエイトリフティング愛にあふれる村上選手の自己ベストは、スナッチ192kg、ジャーク235kg、トータル425kg。いずれも自身の持つ日本記録だが、「自分の限界を超えて、新たな記録を樹立できるよう、精いっぱい頑張りたい」と、笑顔でパリでの奮闘を誓った。
Profile
村上英士朗[むらかみ・えいしろう]
1995年生まれ。富山県出身。県立滑川高卒。2017年度文理学部卒業。いちご所属。中学・高校の全国大会で優勝を飾り、‘15年には世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。大学時代は大学新記録を何度も更新して優勝多数。卒業後は全日本選手権で4度優勝したほか、’19年のIWFワールドカップで優勝。これまで日本新記録を16度更新している。
