2021年の東京パラ五輪は、あと1歩のところで出場を逃した七野選手。生まれつき両足に障害があり、中学生の頃から杖で体を支える立位のクラスでプレー。大学時代も卓球部に所属して、アジアユースパラゲームスに日本代表として出場した経験を持つ。

 

パリ大会出場めざし練習に励んでいたが、’22年4月に練習中に転倒して股関節を負傷。これを機にリスクを回避するため、立位から車いすのクラスへの転向を決断した。当初は、競技用車いすの操作や、目線が低くなってボールとの距離感をつかむことに苦労したが、懸命に基礎練習を重ねて課題を克服し、次第に手応えをつかんでいった。

 

’23年3月、車いす転向からわずか10ヶ月で国際大会に出場すると、持ち前のパワフルなスマッシュを武器に海外選手を圧倒して見事に優勝。国内トップクラスの選手が日本一を競う大会も、’23年・’24年と連覇を果たし注目を集めるようになった。

 

4月、七野選手に朗報が届く。国際卓球連盟が世界ランキング枠でのパリ・パラリンピック出場選手を発表し、代表が内定した。

写真 ©小中村政一

写真 ©小中村政一

「選考レース中から本戦で一つでも多く勝つことをめざして練習してきました。本戦では“ここまでやったんだから大丈夫だ”と自信を持てるような状態まで、これからしっかりと調整していきたい。お世話になった方、応援してくださる方への感謝を胸に、また最高峰の舞台でプレーできる喜びを噛みしめながら、最高のパフォーマンスを発揮できるよう頑張りたいと思います」

 

一番いい色のメダルを獲るために、七野選手は強い決意でパリへ向かう。

Profile

七野 一輝[しちの・かずき]

1998年生まれ。東京都出身。私立和光高卒。2020年度商学部卒。オカムラ所属。車いすの部に転向後、‘23年に日本代表選手として挑んだスペインオープン、イタリアオープンで優勝。杭州2022アジアパラ競技大会はシングルスとダブルスでそれぞれ3位。‘23年・‘24年と全日本オープンを連覇。世界ランキングはシングルス5位、男子ダブルス3位(‘24年7月現在)。