08

競泳 関 海哉選手

2019年はナポリ・ユニバーシアード大会への出場やインカレ100m自由形と800mフリーリレーで優勝し、男子総合優勝に尽力するなど活躍したが、2020年はコロナ禍によるモチベーションの低下があったという。「当初、五輪選考会が行われる予定だった4月に向けて、合宿をするなどして練習を積み、3月頃にはいい仕上がりになっていました。その分、五輪が延期になってしまったことのもどかしさが大きく、しばらくは練習に身が入らなかったですし、練習を積むこともできず不安になる時期もありました」


それでも、インカレでは100m自由形で3位、400mフリーリレーと400mメドレーリレーで準優勝と好成績を残し、男子総合では準優勝。2019年に続く連覇とはならなかったものの、「この悔しさは来年にぶつけよう」とチームの団結力を高める試合になったという。

関 海哉選手

自身初の日本代表となる五輪出場内定を決めた100m自由形の決勝レース。直後のインタビューでは「夢が叶った」と笑みがあふれた。

延期開催となった12月の日本選手権でも100m自由形で3位に入るなど好調さを保っていたが、今年2月のジャパンオープンではエントリーした50m自由形と100m自由形の両種目でまさかの予選敗退。「日本選手権でいいタイム(48秒98)を出せていたので、4月の選考会までその調子をどう維持していくかと思っていた矢先に、この結果だったので本当に落ち込みました」


調子が上がらない期間を過ごしなからも、「コーチやトレーナーと相談しながら、試行錯誤を繰り返して臨みました」という4月の日本選手権。100m自由形の予選を49秒52、準決勝を49秒02で共に4位で通過し、大会5日目、いよいよ夢の舞台を賭けた決勝レースに挑んだ。50mのターンは6位と出遅れたが、レース後半もスピードを落とすことなく前を追い、最後は難波暉選手と競り合いながらも0.01秒差で先着し3位。自己新かつリレーの派遣標準記録突破となる48秒87を記録し、「ずっとこのために練習してきました。やっと夢が叶いました」と400mフリーリレーの五輪代表に内定した。「前半から積極的に勝負する予定でしたが、レース直前で緊張してしまい、少し思いとどまってしまいました。もう少しいいタイムを狙えたかなという思いもありますが、結果として自己ベストで、代表にも選ばれたので満足しています」


中1日空けての50m自由形予選は9位で通過したが、「100mで代表に内定して気が緩んでしまったのかなと。自分の甘さを感じました」と準決勝10位で、惜しくも決勝進出はならなかった。


東京五輪に向けて「タイムでいえば、まだ世界で勝てるレベルにない」と自分の現在地を捉えている関選手。「海外トップ選手と戦うにあたって課題はたくさんありますが、特に前半のスピードがないと通用しません。その点をより意識した練習やレース展開をしていきたいと思います」


400mフリーリレーの代表には、中村克選手、難波暉選手、塩浦慎理選手と、世界の舞台を経験してきた実績豊富なメンバーが揃っている。「自分は初の日本代表なので緊張もありますが、頼もしい選手たちと一緒なのでとても心強いです。この4人で400mフリーリレーの日本記録を狙えるよう頑張ります。個人としては100mを47秒台で泳いで、チームに貢献したいですね」

Profile

Kaiya SEKI ​[せき・かいや]

スポーツ科学部4年。1999年生まれ。東京都出身。日本大学豊山高卒。'19年ナポリ・ユニバーシアード大会出場。同年10月のインカレ100m自由形と800mフリーリレーで優勝し、12年ぶり37度目の男子総合優勝に貢献した。'20年のインカレでは400mフリーリレーと400mメドレーリレーで準優勝。さらに10月の日本選手権(短水路)100m自由形で3位、12月の日本選手権で3位と続けて表彰台に上がる。'21年4月の日本選手権で3位に入ると共に、リレーの派遣標準記録を突破して五輪代表入りを果たした。