日本大学競技スポーツ部では昨今、SDGsを意識した活動を行う競技部が増えつつある。その多くは、地域社会との交流において、競技に関連した形で子どもたちとふれあう機会や場所を提供するものだが、そこでの子どもたちとのコミュニケーションを通じて、学生自身が何かを学んだり、気づかされることも少なくない。地域社会のため、子どもたちのため、そして自分たちのために、これからも競技を通じて社会に貢献できることを考え、“人間力”の涵養に資する。

関連するSDGs

引き馬による乗馬体験会

好天に恵まれた2022年6月4日(土)、藤沢市まちづくり協会の主催で開催された「第14回親水公園まつり」(引地川親水公園)に、地域社会への感謝と貢献の思いで本学馬術部が参加。動物とのふれあいイベントとして、引き馬による乗馬体験会(無料)とえさやり等のふれあい体験を行った。親水公園まつり全体で親子連れを中心に約3,000名の来場者があった中、芦毛馬の桜陸号ほか4頭の馬と学生・コーチ計12名のスタッフで臨んだ馬術部のブースには多数の人が集まり、乗馬体験は行列ができるほどの盛況ぶりだった。


4歳以上の子どもを対象とした乗馬体験は、保護者に安全配慮説明をした上でヘルメット・ボディプロテクターを装着して騎乗してもらい、係員の馬術部学生が手綱を引いてゆっくりと所定のコースを往復。小さな子どもには学生が同乗して体を支えながら鞍上を体験してもらった。予定の時間内に希望者全員に乗馬体験をしてもらうことはできなかったが、普段から気性の大人しい馬を選定して連れてきたことで、落馬などのトラブルもなく無事終えることができ、スタッフ一同安堵の表情を浮かべていた。

引き馬による乗馬体験会

馬の背で緊張しながらも笑顔を見せる子、馬を目の前にしてその大きさに驚いて泣き出してしまった子、恐る恐る馬の顔をなでながら写真に収まる子ら、子供たちが馬とのふれあいを楽しむ姿はとても印象的な光景であった。同時に、馬を怖がってしまう子どもに対して、学生が子供と同じ目線で話しかけ、馬に触れられるよう手助けをする様子も見られ、子どもたちとのふれあいは学生たちにとっても良い刺激となっているようだった。


「市民を笑顔に」を合言葉に、普段はあまり体験することのない乗馬を通じて、競技としてではなく社会貢献という視点から学生たちが真剣に取り組んだ今回の活動。「ちょっと怖かったけれど楽しかった」「また馬に乗ってみたい」という子どもたちの感想や、「子どもたちがとても喜んでいたので来年もぜひやってほしい」という保護者からの賞賛の声を聞き、日本大学馬術部の価値をさらに高めることができたと感じる1日であった。

FOCUS!

人馬一体で取り組む“日々是SDGs”。

1924年創部の馬術部では、他の競技にない唯一無二の「動物と共に」「男女分け隔てなく混合」という特性を生かしたSDGsに取り組んでいる。同時に、藤沢市六会地区の住宅地の中に練習場、厩舎を構え、近隣住民の方々のご協力の上に部が成り立っていることから、地域社会に少しでも恩返しできればという思いを学生・スタッフの全員が持って日々活動している。


また、国際馬術連盟(FEI)が定める「FEI馬スポーツ憲章」に記されている、いかなる場合にも「馬のウェルフェアが最優先」を遵守している。馬と人が共存して成り立つ馬術競技では、人が一方的な立場にならず、「馬にとって幸福な環境」を第一に考えながら、“人馬一体”で取り組むことが最も重要なこととして実践されている。

馬術部で実施している3つの取り組み

3.すべての人に健康と福祉を

子ども体験乗馬

子ども体験乗馬

乗馬を身近に感じてもらい、楽しむスポーツとしての場所を提供するため、地域の子供たちに向けた乗馬教室を開催。乗馬を通じて健康的な生活をおくることを目指しています。

5.ジェンダー平等を実現しよう
16.平和と公正をすべての人に

馬術の「男女平等」という特性を生かし、力や技術に頼らない人間力を育み、憲章にある「ウェルフェア」を確保することで、平和と公正をすべての人に感じられ、性別や能力に関係なく誰でも活躍できるクラブを目指しています。

12.つくる責任 つかう責任
17.パートナーシップで目標を達成しよう

厩舎の清掃でボロを集める

厩舎の清掃でボロを集める

馬の世話の中で出るボロ(馬糞)を廃棄するのではなく、肥料として資源を有効に活用できる取り組みを展開。現在、藤沢市農業委員会を通じて7軒の農家にボロを無償で引き取ってもらっています。また、そこで作られた野菜を提供いただくなど、地域交流にもつながっています。

スポーツSDGs一覧へ