日本大学競技スポーツ部では昨今、SDGsを意識した活動を行う競技部が増えつつある。その多くは、地域社会との交流において、競技に関連した形で子どもたちとふれあう機会や場所を提供するものだが、そこでの子どもたちとのコミュニケーションを通じて、学生自身が何かを学んだり、気づかされることも少なくない。地域社会のため、子どもたちのため、そして自分たちのために、これからも競技を通じて社会に貢献できることを考え、“人間力”の涵養に資する。

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子ども乗馬体験会を開催 ー地域社会との共生ー

馬術部では、SDGsサステナビリティへの取り組みの一環として、地域の子どもたちを対象にした乗馬体験会を定期的に行っている。

 

2023年5月、前年に続き開催された、藤沢市藤沢公民館主催の「小学生乗馬体験教室」には、抽選で選ばれた小学1年生~6年生まで25名とその保護者、あわせて50名が参加。午前10時、獣医学科に在籍している、原田実和選手(生物資源科・4年) による馬とのふれあい方の注意説明を聞いたあと、3つの班に分かれて餌やり体験、乗馬体験が行われた。

 

餌やり体験では、最初は馬との至近距離に及び腰になり、恐る恐る馬の顔をなでていた子どもたちも、次第に慣れて餌のニンジンをしっかり口元で与えられるようになっていく。興奮した声で「毛がスベスベだったよ」と保護者に話す子どもや、餌をねだる馬を見て「お腹すいてるんだね」と笑う声が厩舎に響いた。

安全に配慮して行われた乗馬体験でも、 初めて馬の背に乗り、その高さに緊張した面持ちだった子が、学生のリードで馬場を一周して戻ってきた時は余裕の笑みを浮かべており、保護者が向けるカメラに馬上から笑顔でポーズをとる。
「最初は歩くと振動があって怖かったけれど、すぐに慣れて楽しかった」「1回目より2回目の方が安心感があった。もう1回乗りたい!」と子どもたちは皆、目を輝かせてうれしそうに話してくれた。

体験会のあとには部員によるデモンストレーションが披露され、馬が障害バーを飛び越すたびに、参加者からどよめきと拍手が沸き起こった。

 

閉会後、保護者に感想を聞くと、「子どもがとても喜んでいたので参加して良かった」 「部員の方々が子どもたちに優しく接してくれている姿を見て、いい大学だなと感じた」 「馬とふれあえて楽しかったし、親も乗れたらいいなと思います(笑)」などの声が。また「生物資源科学部の卒業生なのですが、在学中はここに馬術部の施設があることを知りませんでした。こういう形で母校にやって来れて、親子で楽しい体験をさせていただき感謝しています」という意外な回答もあった。

「今年は親子参加の形にしたことで、馬から降りた子どもさんが笑顔で親御さんに報告する姿を見られてうれしく思います」と話す、主催の藤沢公民館職員・滝澤さん。「大人の方も馬とふれあう機会がないので対象年齢を上げたり、早朝から馬の世話をされているというお話は中高生にも刺激になるのでは…。今後も企画をご相談していきたいと思います」

 

餌やり体験の説明係を務めた堤田尚志つつみだなおゆき主将(生物資源科・4年)は、「藤沢市の方のご協力により、子どもたちが馬とふれあう機会を設けていただいたことは、まだ認知度が低い乗馬というスポーツにとっていい方向に進んでいると思いますし、子どもたちの表情が変わっていくのを見ていてとてもうれしく感じました。今後もこうしたイベントがあれば、率先して協力していきたいと思います」と、馬術競技の普及という面から手応えを感じていた。

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