コロナ禍の中、感染症対策が徹底され無観客開催となった、令和2年度の全日本学生馬術三大大会。11月1日(日)〜11月3日(火)にわたり、山梨県馬術競技場で行われた今大会において、本学は障害飛越競技、馬場馬術競技、総合馬術競技の三種目のうち、二種目で個人優勝、全種目で団体優勝を達成。三種目総合で、大台となる10連覇の偉業を成し遂げた。

学生馬術日本一を決する三大大会、初日の11月1日(日)。第63回全日本学生賞典障害馬術競技大会の第1回走行から、本学の選手は輝きを放った。

本学の団体戦メンバーは、名倉賢人選手(スポーツ科学・3年)・桜望のコンビが減点0、好タイムで完走し1位。同じく減点0の楠本將斗選手(スポーツ科学・2年)・桜真が3位、吉田ことみ選手(スポーツ科学・2年)・桜艶は減点4に留め18位、谷口遼斗選手(生物資源科学・3年)・桜魂は減点12で39位となった。第1回走行を終えた時点で、上位3名が総減点4で1位につけたが、2位・立命館大学が総減点6、3位・関西大学が総減点12と続き、逆転可能な圏内に迫っていた。

小休止を挟んで迎えた第2回走行では、名倉選手・桜望が障害をひとつ落としてしまい、減点4の3位と後退。楠本選手・桜真も「1走目と2走目で、同じアプローチの仕方をしてしまい、2走目で障害を落としてしまった。1走目で感じた反省点や馬の高い能力を、活かしきれなかった」と減点4で4位に順位を落としたが、吉田選手・桜艶は減点0の素晴らしい走りで巻き返して6位に入った。谷口選手・桜魂は減点4と奮闘したものの34位となった。しかし、団体では第2回走行の総減点を8に留め、最終的な総減点は12。2位・関西大学(総減点17)を5点上回って見事団体優勝を飾り、10連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。

翌2日(月)、灰色の雲が空一面を覆い、雨がぱらつく中、二つの競技が行われた。
メインアリーナで行われた第63回全日本学生賞典馬場馬術競技大会では、最後の学生戦に臨んだ有賀翔選手(スポーツ科学・4年)・桜陽が高得点をマークして優勝。「演技が終わった直後は、勝てたかどうか不安でした」と話しながらも、その演技には最終学年の貫禄を漂わせていた。また、重籐エディット彬選手(スポーツ科学・3年)・桜宇が4位入賞。「馬の故障があり、しっかり乗れていない時期があった」という前回大会優勝の名倉選手・桜頂のコンビも、「馬が背中を使って運動できていない部分を、自分がうまくカバーできました」と、技術力の高さを発揮して5位に入った。さらに、6位に楠本選手・桜羽が入り、出場全選手が上位に名を連ねた本学は、団体で合計得点率194.346を獲得。個人で2位・3位に入った立命館大学が194.193を記録し、0.153差と僅差に迫られたものの、日大馬術部が一丸となって団体優勝を掴み取った。

 

個人で優勝し、団体優勝にも大きく貢献した有賀選手は「試合まであまり桜陽に乗ることができなくて、これで大丈夫だという自信はありませんでしたが、優勝経験もあるこの馬からいろいろ教えてもらいながら、少しずつ自分も成長してきました。団体では、ずっと気を抜けない展開でしたが、先陣を切ってくれた楠本、緊張感のある終盤で良い演技をした重籐の団体メンバー2人には感謝しています」と、チームの喜びが冷めやらぬ中、落ち着いた表情で試合を振り返った。

「小学生の頃から、日大に入ると決めていた」という瀬川選手と桜恋の馬場馬術。

「小学生の頃から、日大に入ると決めていた」という瀬川選手と桜恋の馬場馬術。

時を同じくして、敷地内の別会場で第70回全日本学生賞典総合馬術競技大会が行われた。

1種目目の馬場馬術では、初日の障害馬術で4位、この日午前中の馬場馬術で6位だった楠本選手と桜空のコンビが、本来の力を発揮して首位。
「総合では、まず馬場でトップに立つということを目標にしていたので、それができて本当に良かったです」
また、前回大会優勝の名倉選手・桜望が3位、瀬川裕哉選手(スポーツ科学・2年)と桜恋のコンビが4位につけ、さらに1年生でポーランド出身の留学生、アンナ・ボルトニク選手(生物資源科学・1年)が桜彩とのコンビで6位と健闘を見せる。だが、平山選手・桜虎は20位と出遅れた。上位に本学の選手が並び、個人・団体ともに優勝射程圏内の位置で最終日へとつないだ。

クロスカントリーで本学出場選手中トップとなる4分00秒のタイムを記録した、平山選手と桜虎。

クロスカントリーで本学出場選手中トップとなる4分00秒のタイムを記録した、平山選手と桜虎。

前日とは打って変わって、透き通るような青空が広がり、気温も上昇した大会最終日。総合の2種目目・クロスカントリーが早朝から行われた。

全長1,890m、17箇所に障害が設置されたコースでは、多くの選手が落馬や失権のアクシデントに見舞われた。しかし、そうした中でも、本学の選手全員が安定した走行で、減点0の完走。最終種目へと弾みをつけた。

そして迎えた、最後の障害馬術。ここまで1位をキープしてきた楠本選手・桜空が、勢いそのままに堂々たる快走を見せ、減点0でフィニッシュ。「クロスカントリーと障害は、この馬が得意とする競技なので、馬を信じて走りました」と人馬一体となり、完璧な形で優勝を決めた。

さらに、2位につけていた明治大の選手が、ゴール目前の障害で落馬するなど、波乱の展開もあった中で、名倉選手・桜望、瀬川選手・桜恋が冷静な試合運びで2位・3位に浮上し、本学が1位から3位までを独占。「日大馬術部のお家芸というのがこの総合馬術なので、今回のような素晴らしい勝ち方ができ、とてもうれしい」(名倉選手)、「10連覇がかかっており、どの競技も落とせないという中で、しっかり結果を残せて良かったです」(瀬川選手)と、他校を圧倒する力を見せつけ、団体でも優勝を決めた。

また、「日大の優勝はうれしい」と話したボルトニク選手・桜彩が6位、平山選手・桜虎も減点0で巻き返して7位に入り、本学が得意とする総合種目で日大旋風を巻き起こして、平成23年度から続く三種目総合10連覇を有終の美で飾った。

【谷津友崇主将】
10連覇を達成できて、うれしさと無事に終えられた安堵感があります。私は競技に出ることはなかったのですが、選手のサポートに徹して、選手も馬も怪我をすることなく全種目で団体優勝することができて、本当に良かったです。
コロナウイルスの影響で、春先から試合数を積めていませんでしたが、4年生を中心にそれぞれの経験を活かしてチームをまとめてきました。また、監督やコーチ陣、獣医や装蹄師、全ての方々のサポートがあったので、自信を持って大会に臨むことができました。
後輩たちは、今回の試合でも結果を出していますし、技術的には十分に、全日本学生レベルで勝てることを証明してくれました。あとは自分に驕らないように、馬に乗ることはもちろん、生活面から気を配ることや、日本一の大学だという自覚を持つことを大事にして、11連覇、12連覇と続けてほしいです。

【諸岡慶監督】
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、関係者の皆様のご協力もあって、無事に大会が開催されて良かったですし、感謝の気持ちでいっぱいです。
学生馬術で最も上の格付けともいえるこの大会で、10連覇を達成できて、ひとまずホッとしたというところです。全体として上出来だったと思いますが、他校と接戦になった場面もありました。それでも、大会に向けて選手たちみんながしっかり準備を積んできましたし、うちの練習量から考えれば、優勝できるという自信はありました。
来年については、4年生が抜けても、今年の総合で優勝した楠本をはじめとして、頼もしい選手は多く残っています。ですが、まだまだ油断することなく、気を引き締めて手綱を離さずに、連覇を続けていければと思います。

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