2025年5月10日(土)〜12日(月)、東京・稲城市にある読売巨人軍の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」で東都大学野球春季1部リーグ戦第4週の試合が開催された。
本学競技スポーツセンターでは、同スタジアムで東都リーグ初開催となる5月10日(土)の第1試合、対東洋大学の試合において、昨秋の神宮球場に続く2度目の「野球観戦イベント」を実施。大学HPや大学からのお知らせメールでイベントを告知し、来場した在学生には観戦チケットと応援グッズを配布。野球部の勝利へ向けてスタンドから精一杯の声援を送った。
(取材:2025年5⽉10⽇・11⽇)
今シーズン、日本大学野球部はここまで3カードを終えて1勝6敗、勝ち点0と苦しい状況にあり、最下位脱出のためにも、今節のカードは是が非でも2勝して勝ち点を取らなければならない。
前夜から降りはじめた雨により、試合開始が午前9時から1時間繰り下げられた東洋大との第1回戦。わずかに雨が残る中、8時半頃にはすでに熱心な大学野球ファンが入場口に並んでいた。そして時間とともに両校の関係者や野球部父母会の父兄、そして観戦イベントを知った本学の学生たちがジャイアンツタウンスタジアムに姿を見せ始め、受付ブースで応援グッズを受け取ってスタジアムに入っていった。
午前10時プレーボール。軒下となって雨が避けられる2階スタンド席は、両校の応援に駆けつけた人々で1塁側・3塁側ともにほぼ満席の状態。この日、本学が入った3塁側ベンチの上あたりから外野席寄りにかけては、配布された応援メガホンを手にしたり、日本大学ロゴの入ったタオルを首に巻いている人も多く見られ、選手たちの1プレー1プレーに拍手を送ったり声援を送っていた。
在学生受付ブースではミニうちわとメガホンを配布
時折小雨がぱらつく中、吹奏楽研究会と野球部員、応援リーダー部による熱のこもった応援が続いた
「ゼミの研究の取材と下見も兼ねて、応援に来ました」という法学部の女子学生は、観戦イベントについて「こういう機会がなければ、きっと球場に足を運ぶことはなかったと思う」と話す。「学生証を提示すればチケットをもらえるというのも魅力ですし、私的にさほど関心度が高くない野球に対して、ハードルが低くなる感じがあるので、もっとこういう企画をやってほしいです」と笑った。
また、「野球をやっていたので、一度観てみたいという興味がありました」という学生は、友人を誘って男女3人で来場。「ふだんプロ野球ばかり観ていて、初めて大学野球を観戦しましたが、とても面白いなと思いました」「また、こういう機会があれば応援に来たい」と、満足した様子で語ってくれた。
「大学スポーツの存在意義とは」というゼミのテーマに取り組んでいる学生からは、逆取材を受けた
「今日は負けてしまいましたが、明日は切り替えて頑張ってほしい」とエールを贈った学生たち
この日の試合は、1点ビハインドで迎えた8回表に谷端将伍選手(経済学部・4年)のタイムリー2塁打で2対2の同点に追いつくも、9回裏2死から東洋大の1番打者にサヨナラ本塁打を許し、2対3で惜敗。鋭い当たりの打球がレフトスタンドの芝生に落ちた瞬間、3塁側のスタンドは大きなため息につつまれた。しかし、好ゲームを展開した選手たちには、その健闘を讃えて大きな拍手が贈られ、「明日こそ勝てよ!」と激励の声が響いた。
8回表、同点のタイムリー2塁打を放った谷端選手
8回裏から石井真登投手(経済学部・1年)がリーグ戦初登板したが、9回裏にサヨナラ本塁打を喫した
翌5月11日(日)、東洋大との第2回戦は、絶対に負けられない一戦。スタンドからの声援が少しでもチームの力になればと、この日も観戦イベントが実施されることになった。
昨日とは打って変わって好天に恵まれ、初夏のような陽射しが降り注ぐ中、午前9時にプレイボール。急遽のイベント告知となったためか、日大生の姿はさほど多くないものの、スタンドは3階席まで多くの父兄や野球ファンで埋まり、勝利を目指してプレーする選手たちに熱い視線を送っていた。
朝8時の開場前、前日を上回る長い行列ができていた
急なイベント開催だったが、計25名の学生が受付ブースを訪れた
一塁側スタンド2階席は、応援グッズを手にした人で埋まり、3階席からも多くの観客が試合を見守った
前日にも増して応援にも力が入り、グラウンドの選手たちを鼓舞し続けた
満を持してエース・市川祐(法学部・4年)が先発したこの試合は、手に汗握る投手戦となった。
2回、内野安打で出た走者の盗塁を主将の南條碧斗捕手(危機管理学部・4年)が2回連続で刺すと、スタジアム全体がどよめき、応援席も日大ベンチも大いに盛り上がる。そして3回裏、7番・菊池弘樹2塁手(法学部・3年)がツーベース、犠打で3塁へ進むと、9番打者のスクイズ崩れの間に本盗に成功し先取点を挙げた。打線は以降、東洋大の小刻みな継投の前にチャンスを作るもののあと1本が出ずに追加点を挙げられない。だが、虎の子の1点を市川の球を低めに集める丁寧な投球と固い守備で守り抜く。スタンドから「頑張れ、市川!」の声がかかる中、7回・8回を三者凡退、14球で終えた市川は、そのまま9回もマウンドへ。先頭にヒットを打たれたが三たび南條が盗塁を刺して救うと、後続も落ち着いて打ち取った。スコアは1対0、わずか89球で今季2度目の完封勝利を挙げ、チームに貴重な白星をもたらした。
試合終了後、スタジアムから出てくる観客の中でも、応援グッズを手にした日大関係者は一様に勝利の余韻に浸り、にこやかな表情を浮かべていた。
学部での学びに役立つと考えて来場したというスポーツ科学部1年の男子3人組も興奮冷めやらぬ様子。「いろいろなスポーツの中で、活躍する大学生を見ようという『スポーツ観察演習』の授業のために、僕たちが好きな野球を見ながら、応援しようということで来ました」「学部の先輩の方が何人かいて、身近な人が活躍されているのを見て、いい刺激をもらいました」「守備の上手さを観て、すごいなと思いました」と、話す言葉も弾んでいた。さらに「応援する一体感が良かった」と言い、観戦イベントがあれば来たいかを尋ねると、3人とも「もちろんです!」と口を揃え、目を輝かせた。
また「野球が好きで、毎週観戦に行っている」という芸術学部の女子学生は、「今日もいつも通り来ました。写真学科なのでプレーの写真を撮っています」。そして「今日負けたらとても厳しかったので、勝つことができて本当に良かったと思います」と笑顔を見せた。
3回裏、相手捕手が投球をはじく間に、3走・菊池がホームを陥れて先制点を挙げる
8安打を打たれながらも無四球完封の市川投手は、勝利の瞬間、拳をにぎり小さくガッツポーズを見せた
待望の勝利に、応援席もスタンドも歓喜に湧いた
今年3月にオープンしたばかりの読売巨人軍の新しい施設で開催される試合ということで注目されていたが、初日は生憎の雨模様の天候で、また試合開始時刻が朝早かったこともあってか、都心から離れたスタジアムを訪れた在学生は2日間で計55名。想定していたほどは集まらなかったが、話を聞いた学生たちのほとんどは初めての大学野球観戦であり、スピード感あふれるプレーや盛り上がる応援風景など、スタジアムの雰囲気を存分に味わうことができたようだ。その中でも「野球に限らず、もっといろんな競技を見てみたいし、応援したい」と話す学生の言葉が印象的だった。