ウエイトリフティング・61キロ級 糸数陽一選手(文理学部体育学科卒)
ウエイトリフティング・61キロ級 糸数陽一 選手
日本ウエイトリフティング協会が6月12日に代表選手を発表し、本学卒業生の糸数陽一選手(警視庁)が61キロ級で選出。リオデジャネイロオリンピックに続く2度目となるオリンピック出場を決めた。
リオでは惜しくも4位。2017年の世界選手権では62キロ級で銀メダルを獲得するが、階級のルール変更があり61キロ級で東京を目指していた。
見事、代表の座を勝ち取った現在の心境を語ってもらった。
6人兄弟(男4、女2)の長男。家族の声援を力にバーベルを挙げる
―2016年のリオに続き2度目のオリンピックになります。今の心境を教えてください。
この5年間は常にメダルを意識したトレーニングと結果を求めてきたので、いい準備をして臨みたいです。
前回は出場することだけが目標で、オリンピックがどういうものか全く分かりませんでした。明確に「メダル」というのが頭に入ってなかったことで、悔しい思い(62キロ級4位)をしてしまいました。
―決定後、一番先にどなたに報告されましたか?
最初に連絡したのは母です。一番心配してくれていたので、報告しました。先日連絡したときは「みんな喜んでいるよ」と言ってくれました。久高島(沖縄県)という200人ほどの島出身で、みんな家族のような存在なので、すごく嬉しかったです。
―前回リオの4位を振り返って
大きな舞台で6本全ての試技を成功して日本記録を出せたので、最高のパフォーマンスはできたと思っています。ただ、3位と3キロの差は大きく、自分の弱さをさらに痛感しました。
―その差を埋めるために東京オリンピックへ向けて
この5年は、記録の向上もありますが、順位や大きな大会でのメダル獲得を念頭に取り組んでいました。
―競技をはじめたきっかけは?
本格的に始めたのは高校からですが、最初の出会いは中学2年生のときです。人口200人ほどの久高島の出身なのですが、ウエイトリフティングもない環境でしたが、たまたま日大のウエイトリフティング部の先輩にあたる方が久高島に来ていて、紹介していただきました。
―本学に進学したきっかけは?
高校2年生の時に北京オリンピックがあり、その年の冬に出場した選手が母校に来ていました。間近で見たときに、自分もオリンピックを目指したいという思いが強くなり、ほかの大学からもオファーもありましたが、一番実績もあり大学としても魅力的に感じ日大に進みました。
自分たちが4年生の時から団体優勝がはじまり、今も連覇が続いているので後輩に感謝しています。
―アスリートとしての信条は
まずは、アスリートとして最低条件の「ケガをしないこと」です。トレーニングでケガをするのはしょうがない部分がありますが、それ以外でケガするのはもったいない。すべてがトレーニング、試合に直結していると思い、日々過ごしています。
―ウエイトリフティングの魅力を教えてください。
この競技の根本は、人と戦うより、自分自身に勝たないと結果すら残せないことです。自分に勝つことが大前提で、自分は性格の面で人と戦うのがあまり得意ではなく、黙々とトレーニングをするウエイトリフティングは合っていました。目に見えて努力した分だけ伸びるのが魅力です。相手よりも1キロでも重いものを挙げたら勝ちなので、シンプルで見応えがあります。
高校のときは、苦しく思いをして身体がきつい中でも記録が面白いように伸びていくのが、ウエイトリフティングに取りつかれた部分です。
筋肉だけじゃなく、技術も、試合のメンタルも大事で、心技一体で全ての調和が整っていないと試合で力を発揮できないスポーツです。それが面白い部分でもあり、苦しいときでも記録を伸ばせました。
沖縄県本島から船で20分ほどの久高島出身
―いよいよ7月25日が2度目の大舞台です。今の心境は
いかに7月25日にピークを持ってこられるか、そのための準備をして調整するのが自分に課せられた使命だと考えています。誰よりも練習したという自信は持って臨みます。
―最後に。今回のオリンピック、ご自身ではどういう大会にしたいとお考えでしょうか?
一番大きいのは「東京オリンピック」ということではないでしょうか。
自国開催で選手として挑戦できるのは、限られた人しか出られないので光栄ですし、これもめぐり合わせだと思います。
4位で終わるわけにはいかないので、メダル獲得を念頭に置き過ごしていければと考えています。
本学に代表内定報告で訪れた糸数陽一選手(左)、近内三孝選手(右)
<プロフィール>
ウエイトリフティング
糸数陽一(いとかず・よういち)選手
1991年5月24日生まれ。沖縄県久高島出身。
沖縄県立豊見城高を経て本学に入学。2014年3月、文理学部体育学科卒。警視庁所属。
2016年 リオデジャネイロオリンピック 62キロ級 4位
2017年 世界選手権 62キロ級 銀メダル
2021年 アジア選手権 61キロ級3位
第32回オリンピック競技大会(2020/東京) ウエイトリフティング61キロ級 代表内定