やり投げ 北口榛花 選手(2020年スポーツ科学部競技スポーツ学科卒)
やり投げ・北口榛花選手
本学卒業生の北口榛花選手が6月24~27日に行われた日本陸上競技選手権大会の女子やり投げで優勝を果たし、東京オリンピックの代表内定を勝ち取った。
自身初となるオリンピックに向けて調整中の彼女に現在の心境を語ってもらった。
東京オリンピックでの目標はメダル獲得
―東京オリンピック内定、おめでとうございます。見事に日本選手権を制しての代表内定でしたね。
参加標準記録を突破したのは私だけでしたが、必ず内定させるという強い気持ちで試合に臨み、優勝という最高の結果を残すことができて、すごくホッとしました。
―詳しく振り返っていただけますか?
試合直前に練習で2度投てきをするのですが、50mに届かない状態で、それを見た人からは「あいつなにをやっているんだ?」という目で見られていたようです。それぐらい今シーズンは調子が上がらなかったのですが、試技の1投目に58m48を記録したことで、その後は落ち着いて投げることができました。
―4投目の61m22でトップに立ち、最後の6投目では61m49という、この日のベストを記録しましたが、投てき後の悔しそうな姿が印象に残っています。
ラスト3本が全て61m台だったので、「1本ぐらい62とか63に届いてもいいのに!」と思って、悔しさをあらわにしてしまいました(笑)。私が海外に拠点を移してから、60m以上を投げる日本人選手も出てきていたので、日本選手権でもう1度64mという派遣記録を超えたいという気持ちが、そのような態度につながったのだと思います。
―決定後、最初にどなたに連絡をしましたか?
終わった瞬間に携帯を見たら、ものすごい数の連絡が来ていて、誰に最初に返したのかは覚えていません(笑)。日頃お世話になっている先生方や小さい頃に通っていたスイミングスクールのコーチには次の日に連絡をしました。両親は会場に来てくれていたので、試合後に直接会って報告ができました。
―チェコ人コーチにはどのように内定について報告したのでしょうか?
試合後にテレビ電話をしました。どなたかがインスタグラムでライブ配信をされていたようで、それを見てくれていたようです
―オリンピックが延期になり、この1年はどのように過ごされていたのでしょうか?
延期に関しては冷静に対処ができていたのですが、コロナの影響でチェコにいるコーチに1年間会えないという状態でした。チャットアプリで動画を送るなどして、練習は見てもらっていましたが、やはり直接指導をしてもらいたかったですね。
―先ほど調子が上がらなかったとおっしゃっていましたが、それもコロナの影響なのでしょうか?
はい。私は試合を終えて反省し、次の試合に臨むということで技術を改善していくタイプなので、2020年シーズンは多くの試合が中止になって、そのような調整ができませんでした。また練習と試合の記録の差も私は大きいので、通常のリズムで調整できないことが技術面にも影響したのだと思います。
最近は試合で緊張するようになったが、1投目を終えると自然と落ち着くそうだ
―日本選手権前には海外で調整をされていたようですね?
今年の4月の上旬からチェコへ行き、トレーニング合宿を経て、5月からは試合にも出るようになりました。それから徐々にペースが戻って来ました。
―昨シーズンは社会人1年目でもありました。
JALからは陸上に集中できる環境を与えてもらっています。会社のサポートは本当にありがたくて、日本選手権でも会社の方々からの応援が私の力になりました。
―オリンピックでの目標、例えば具体的な数字というのはあるのでしょうか?
どんな状態であっても最低でも63mは投げたいです。できれば64mですね。
―63、64mがメダル獲得に必要になるということですね?
いえ、勝負を始めることができるラインということです。それぐらいを投げられて最終的な8人に残れると思うので、そこからもっと距離を伸ばすことでメダル獲得に近づくと思っています。
―オリンピックにはチェコ人コーチも来日されるのですか?
その予定です。私にとっての自国開催ということでコーチもすごく楽しみにしてくれていて、オリンピック当日には一緒に試合に臨みたいです。そしてメダルを獲得し、これまでの努力を一緒に振り返れたらと考えています。
<プロフィール>
やり投げ
北口榛花(きたぐち・はるか)選手
1998年3月16日生まれ。北海道出身。
旭川東高卒。2020年スポーツ科学部競技スポーツ学科卒。JAL所属。
16年U20世界選手権優勝
19年ユニバーシアード競技会2位
21年日本陸上競技選手権大会優勝
自己ベストは19年北九州陸上カーニバルの66m00(日本記録)