【付属校の教育実践】
勉強、行事、部活動が三本柱

日本大学第三中学校

付属校
2023年06月22日

東京都にありながら、多摩丘陵に広大な敷地を有する日本大学第三中学校。自主創造につながる「明るく、正しく、強く」を校訓に、勉強にも行事にも部活動にも一所懸命に取り組む生徒の育成を目指している。

ICTの活用や複数の教員でクラスを指導するチームティーチングなどの工夫を通して「現在社会で求められている能力の育成」を実践中だ。

授業で「成長感じる」

樋山克也校長

樋山克也校長

「社会に出た時に活躍できる生徒の育成を目指しています。教育三本柱は勉強、行事、部活動です」と語るのは樋山克也校長。

基礎学力の習得はもちろん、委員会活動や各種行事、部活動にも積極的に取り組み、協調性や責任感を身に付け、豊かな人間性を育んでもらいたいとの思いが込められている。

三本柱の最初は勉強。学習面で特徴的なのはチームティーチングと「自求自探」の取り組みだ。チームティーチングは数学と英語でそれぞれ1週間に1時限設定している。20年以上の実績があり「習熟度別クラスより効果が上がります」(樋山校長)という。

1年生の数学の授業ではA4サイズのプリントが複数枚配られ、各自が自分のペースで解いていた。

つまずきを確認しながらクリアし、次第に難易度を高めていく。疑問点などは手を挙げて教員に聞く。複数の教員が教室を回り、生徒に個別に丁寧に指導していた。

2年生の英語では不規則動詞変化表を学習。タブレット端末をタイマーにして、生徒同士で1分間の読み上げトライアルに挑む。教員2人がグループの間を巡り、注意点やクリアのコツを伝授していた。

ネイティブの教員が複数で発音を教える「ぜいたく」な授業も。「r」と「l」の違いを普通の講義のスピードで解説していた。

「ネイティブの発音に日常的に触れていると、自分の英語も成長していると実感します」(2年・守永伊吹さん)と生徒にも好評だ。

85%の生徒が部活動に

探究につながる総合的な学習では、自分で考え判断する能力を養う。3年生は現在、生徒手帳の活用術についてのプレゼンテーションとポスター作成に取り組んでいる。

探究担当の金子美保教諭

探究担当の金子美保教諭

担当の金子美保教諭は「セルフマネジメントをどうやるか、手帳の活用術を通して考えてもらいます」と狙いを語る。手帳を上手に使うことと成績には相関関係があるという。

学習のフォローアップにも力を入れている。昼休みや放課後には小テストの追試や宿題の確認などで生徒が職員室あたりに大勢集まってくる。教室以外でも図書館などに学習スペースを設けているほか、約80もある講座から自分に合ったものを選び、講習が受けられる。

国際感覚を身に付けるためのグローバル教育では3年生を対象に、夏休みを利用して13日間のアメリカ・カナダ体験学習も実施している。

体育大会や文化祭の「三黌祭」、芸術鑑賞会、宿泊行事、定期演奏会、合唱コンクールなどの行事が2番目の柱。学校行事や委員会活動への積極的な参加を呼び掛けている。

広報部主任の福家公次教諭。男子テニス部の監督も務める

広報部主任の福家公次教諭。男子テニス部の監督も務める

3番目の柱の部活動は、改めて紹介するまでもなく非常に盛ん。入部率は85%と高く、広報部主任の福家公次教諭は「強い弱いにかかわらず、真剣に取り組んでいるのが特徴です」と胸を張る。

甲子園で活躍した硬式野球部やインターハイ常連の男子テニス部など高校の強豪が身近に存在し、刺激を与えてくれる。文化部では放送部や吹奏楽部、文芸部などが有名だ。

「いまは演劇部ですが、高校では野球部に入りたい。そのために三中を選びました」(1年・田島瑛太さん)という生徒も。

自然の中の先端教育

三本柱をしっかりと支えているのがICTだ。校内のインフラ整備も充実し、自然の中でも最先端の教育が実施できている。

休み時間にSEに相談する生徒

休み時間にSEに相談する生徒

図書室の一角には「ICT推進室」があり、システムエンジニア(SE)が常駐。生徒全員に貸与されているタブレットの修理も即日OKで、休み時間には不具合の相談などに生徒が訪れていた。

動画が撮影できるタブレットはクラブ活動でも広く活用されている。「部活のバトミントン部で動画を撮影し、技術習得に役立てています」(2年・廣瀬寧々さん)。

男子テニス部を指導する福家教諭も「最近の生徒は動画で最新の技術や情報を収集しています。指導者もいちいち研修会に行かなくても勉強できるようになりました」と話す。端末と通信環境が可能にした。

階段状に連なる教室から一歩出ると、屋上に。お昼休みには生徒が集まって楽しそうにお弁当を食べていた。周囲の緑がまぶしい。

「敷地が広くて自然が豊か。昆虫など生き物が好きなので楽しく過ごしています」(1年・林明梨奈さん)と恵まれた自然環境。

校内では最先端のICTを活用した教育が行われ、「明・正・強」と三拍子そろった三中生を育てている。