佐野日本大学中等教育学校
佐野日本大学学園の正門。中等教育学校の教室は右手奥に位置している
佐野日大中等教育学校の教育目標の一つは「磨こう心」。多感な時期でもある中等教育の6年間は、仲間と切磋琢磨しながら成長する人間形成の大事な期間だ。
より多くの経験を積めるように体験学習(フィールドワーク)を中心に据え、さまざまな学校行事を効果的に組み入れている。
教育の特長について話す舩渡川校長
「特に1年から3年の前期教育のプログラムが独特です。多くの体験学習を通じて成長を促す工夫があります」と舩渡川重幸校長は語る。
「モットーは『できるをかさねる6年間』。完全一貫教育と継続的・効果的なカリキュラムにより、入学後に大きく伸びる子が多いのが特長です」
前期教育では英語、数学、国語に先進的な副教材を使用している。英語はアウトプットを多く要求するケンブリッジ大学出版の洋書教材「Uncover」。
英語の授業を見学した。2年1組が2グループに分かれ、一方は大橋優生教諭が、他方は英国風の別教室でネイティブの栗原キャリーマリア教諭が担当していた。
栗原教諭の説明を聞き、クイズを考える授業
どちらも英語主体のやり取り。前者は検定教科書と独自教材を交互に使用する。後者は英語でクイズを作り、答えを考える楽しい授業だった。
3年1組は昨年11月の関西研修の報告会。ネイティブを含む2人の教員が「どんな味のアイスクリームを食べたか」「おみくじの結果はどうだったか」といった質問を繰り返し、英語で答えていた。
京都・奈良への研修の様子を英語で説明。後方から鋭い質問が飛んでくる
生徒は全員ノートPCを所有しており、PCで作った資料でプレゼンテーションを行う。資料は各教室に設置された75インチの大型モニターに映し出される。
数学では「体系数学」、国語は「論理エンジン」の教材を使用し、基礎学力の充実を図っている。
1、2年も国内研修を行い、4年時は福島県の語学研修施設「ブリティッシュヒルズ」に泊まり、翌年の英国研修に備える。ダンスやスコーン作り、税関での対応など学校ではできないことを英語で体験する。
英語を担当する大橋教諭
「ネイティブの教員らとの少人数授業に慣れているので、英語でのやり取りにものおじしなくなります」(大橋教諭)という。
5年の英国研修旅行は全員が参加する。2班に分かれ、ロンドン市内での班別活動や姉妹校での研修、ホームステイなどで本場の英語に触れる。
姉妹校は英国のほか米国、ハンガリー、中国、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアにもあり、各校とは生徒の派遣を通して相互交流を続けている。
グローバル教育を統括する丹野隆史教諭は「海外での経験は生徒の人生観を大きく変えます。特に多民族国家のマレーシアは刺激的です」と話す。
グローバル教育を統括している丹野教諭
国際交流ではユネスコスクールとしての活動も活発だ。丹野教諭は1月に東京・代々木で開かれた全国大会で取り組みを紹介した。
昨年、栃木県内の他のスクールと平和を表現するアートフェスを開催。小学生から高校生までの参加者が描いた絵は参加校で巡回展示し、平和を考える材料にした。
アートフェスに集まった「平和」の絵。参加校で巡回展示した
ユネスコスクール加盟校の認定証
探究学習の取り組みも特徴的だ。4年までは学年混合のグループで探究を進め、5年からは「個人探究」に移る。
エネルギー関連なら生産工学部、マイノリティーは法学部などテーマ別に大学の8学部と連携している。6年ではグループでの探究を深め、個人探究で研究成果をまとめる。
医歯薬系学部への進学を希望する生徒向けには、医学部の見学会や松戸歯学部での体験学習なども行っている。
佐野日大高と合同で昨年、本学の各学部長らが直接、生徒に学部を紹介する「日大DAY」を始めた。今年も4月に第2回を予定している。