自動車技術会春季大会のプレゼンテーションで優秀賞

大学院工学研究科機械工学専攻前期課程2年望月涼太さん(西本研究室)

学び・教育
2021年11月05日

自動車産業の第一線で活躍するエンジニアのための自動車技術専門展である「人とくるまのテクノロジー展2020横浜」で昨年開催予定だったポスターセッションの第2回大会でこのほど、大学院工学研究科機械工学専攻前期課程2年の望月涼太さん(西本研究室)が優秀賞を受賞した。

交通事故の肋骨骨折に着目。ダミーを作製

高齢者の胸郭構造を再現したダミー

望月さんは、「胸部傷害評価のための骨折する人体ダミーの構築」の研究テーマを発表。車両開発で使用されている衝突試験用のダミーは、加速度計やたわみ計を用いて傷害を評価しているため骨折の有無は確認できないことに着目。交通事故の肋骨骨折は破断骨折、き裂骨折、屈曲骨折の三つに分類され、高齢者のケースが多いと説明した。プレゼンテーションで高齢者の胸郭構造を再現したダミーを紹介。ダミーの要素に生体忠実度、再現性、反復性の三つを挙げた。骨折を再現するために、人と同等の強度を有する壊れる材料を用いて人体の骨特性を反映した。本研究では高齢者のための生体忠実度と再現性を両立させた壊れるダミーの作製を目的にした(写真)。

きっかけは仲間と協力するものづくり

望月さんの所属する西本研究室は、自動車と人の安全に関する研究を行っている。その中のテーマの一つに交通事故で怪我をした乗員の安全を評価するための人体ダミーの開発を目的としたものがある。このテーマは現在の安全基準では怪我の評価が不十分とされる部位に焦点を当て、研究室のメンバーと共に研究を進めていく。衝突実験用ダミー人形を仲間と協力しながら、ものづくりをすることに興味を持ったのがこのテーマを選んだきっかけだった。

自動運転や衝突被害軽減ブレーキといった新しい安全技術が車に搭載される今でも、毎年3,000人以上が交通事故で亡くなっているという。研究を通して、犠牲者を救うためにさまざまな技術や救命システムが多くの人たちによって開発されていることを学んだ。望月さんは「交通事故による犠牲者を一人でも多く救いたいと考え、自動車メーカーに就職を決めました。今後は大学での経験を生かして、安全なクルマづくりの開発を行っていきます」と抱負を話す。