学生の理解向上を目指して
-教員の教え方公開-

国際関係学部・国際総合政策学科 熊木 秀行 准教授
「英語Ⅱ、Ⅳ(英語特別クラス)」

学び・教育
2022年12月02日

近年、授業の在り方が問われている。現場では、各教員が自身の科目に合った教育方法を創意工夫し、学生の理解向上を目指して日々努めている。それぞれの科目ではどのように学生と向き合い授業を進めているのか。その手法と実践にフォーカスする「教員の教えるテクニック公開」。
今回は、国際関係学部・国際総合政策学科の熊木秀行准教授の授業を紹介する。

英語による授業で、留学を目指す学生を
日本にいるうちに「困らせる」

「英語Ⅱ、Ⅳ」は英語特別クラスの授業で、通常25〜30人程度の1、2年生が2クラスに分かれて履修する。3年生になって留学することを目指すクラスで、コロナ禍前は実際に多くの学生が留学した。

講義は英語で行い、学生にも英語で発言させるのが熊木秀行准教授の方針だ。日本語を使うのは「逃げ」だと学生には説明し、「日本語がうまくなりたい人はこのクラスから出ていって」と厳しい言葉もぶつける。

「授業外でも英語で話したりメールを書いたりさせています。日本にいるうちにたくさん『困って』おいてほしい。それが留学先でのより充実した生活につながります」

留学すれば英語が上達すると考える学生は多いが、留学前にやっておくべきことがたくさんある。英検準1級程度の力がないと、留学先で話すことも聞き取ることもできず、結局ホームシックになって帰ってくることになりかねない。だから行く前にいっぱい「困って」おくべきだという。

日本語を使うのは、英語の説明が分かっていないと感じた時や、基本的な文法上の決まりを説明する時だけだ。

クラスの入れ替えも

選択式では「なぜ選ばないか」を問う

選択式では「なぜ選ばないか」を問う

英語特別クラスは、クラス分けのテストで成績上位の希望者が所属する。付いていけずに一般のクラスに移る学生もいれば、逆に実力がある学生を引き上げることもある。海外留学の際に必要なTOEFL ITPの成績は、1年半で平均45点以上アップしている。

授業では一般に英語の4技能と呼ばれるリーディング、ライティング、スピーキング、リスニングに加え、文法と語彙を合わせた6技能を身に付けさせる。「なぜ?」を大切にし、文法や語彙の選択問題でも、解答を見つけること以上に、なぜ他の選択肢は誤りなのかを考えさせる。

教育はエンタメだ

海外渡航経験や留学経験があって「聞く」「話す」は得意でも、つづりは不正確で作文は苦手ということもある。逆に受験勉強を経てきたために文法は得意で語彙も豊富だが、「聞く」「話す」は苦手という学生も多い。話せる学生に劣等感を抱き、ドロップアウトする者も出てしまう。
「そういう長所短所をこちらも早く見つけたいし、気付かせたい。そして伸ばせるところは伸ばし、足りないところを補えればと思っています」

熊木准教授はネイティブの教員との間に入ったり、留学の相談にも乗るなどアドバイザーのような立場でもあるという。

また、教科書に固執せず、映画や音楽、俳優のインタビューや大統領のスピーチも教材にする。
「あまり先生ぶりたくないですし、フレンドリーでありたいので、学生目線を意識し、飽きさせないようにしています。教育はエンターテインメントであるべき。時には教員がピエロになり、面白い人だなと思わせることが、語学学習の興味を深めるきっかけになると思います」

それは何より、言葉が話せないことで見えない世界、話せることで見える世界があることに気付かせたい、という熊木准教授の願いからだ。

<プロフィール>
国際関係学部
熊木 秀行
(くまき・ひでゆき)准教授
本学法学部法律学科卒。通信教育部英文学科卒(教員免許取得)。テンプル大日本校卒。豊山高などで教員を務めた後、2012年に国際関係学部国際総合政策学科助教。18年から准教授。研究分野は英語教育、法律英語。