理工学部 井本研究室
家具を制作した研究室のメンバー 撮影:黒部駿人
理工学部建築学科の井本研究室が、ケニアの小学校に家具を届ける「ナイロビ家具プロジェクト」に取り組んでいる。今年は4年生6人が椅子15脚、机6台、収納パネル6台を自らデザインして制作し、8月半ばに発送した。
ケニアの首都ナイロビのインフォーマル居住地には地域住民経営によるノンフォーマル・スクール(教育省の認可を受けない独自の学校)が多い。届け先の「Happy Promotion Centre(ハッピー・プロモーション・センター)」もこうした手づくりの学校の一つだ。子どもが増え、教室を増築したものの、家具がない状態が続いていた。
井本佐保里助教はナイロビのノンフォーマル・スクールを軸とした子どもや保護者、地域社会の支援をデザインする「Mukuru Design Unit」の代表も務めており、ケニア人メンバーとともに学校の環境改善や教育プログラム支援などの活動を行っている。
机などの家具を届けるこのプロジェクトも「現地の知恵や地元の営みに寄り添いたい」という思いが出発点になっている。
机と椅子。並びを変えればさまざまな形に変化する 撮影:黒部駿人
デジタルデザインを得意とするVUILD株式会社(代表:秋吉浩気)の協力を得て研究室の学生が家具をデザインし、同社の工房で材の切り出しや組み立てを行った。
椅子と机は児童の体格に合わせ大小2種類を用意。並び替えるとさまざまな形になり、多様な座り方ができる。
また椅子をパネルに収納すると、本などを置ける棚として利用することもできる。パネルの表面には椅子の座面の形が彫られているため、これに沿えば簡単に椅子を掛けることが可能だ。
椅子が棚になり、本などを置くことができる 撮影:黒部駿人
井本研究室は家具寄贈の対象を近隣の学校に広げるなどして、インフォーマル居住地への支援を今後も継続する方針。
新型コロナウイルスの感染拡大により現地に赴く形での活動ができない状況が続いているが、家具であれば配送が可能であり、また家具のデザインを通して学習環境改善に直接寄与することができる。指導する井本助教はこうした取り組みを通して「学生が海外に関心を持ち、将来に向けて視野を広げてほしい」と話している。