1万8349人が入学
「祝砲」のメタルテープ舞う

令和5年度入学式

取り組み・活動
2023年04月12日

令和5年度の日本大学入学式が4月8日、東京・北の丸公園の日本武道館で行われた。大学院・学部・短期大学部の計1万8349人が本学学生として第一歩を踏み出した。

式典は3部制で実施され、大学旗入場、国歌演奏に続き、酒井健夫学長が式辞で「皆さんは全員、無限の可能性を持ち、次世代を担う大切な人材です。日本大学は新入生の皆さんの志の実現に向けて、できる限りの環境を提供します。健康に気をつけて、充実した学生生活を送られますよう心から期待します」とあいさつ。

林真理子理事長は祝辞で「30年前の来賓祝辞の時に述べたこととは全く逆のことを申し上げたい。とにかく外に出て、一人でも多くの先生や友人と会ってください。会ってたくさんの話をしてください。皆さんは新生日本大学が迎える第一期生として、メンバーに加わりました。さあ一緒に舟をこぎ出しましょう」と述べた。

入学生代表として第1部では石野紗智さん(薬)、第2部は伊藤百代さん(生物資源科)、第3部は川上瑛平さん(理工)がそれぞれ宣誓を行った。

卒業式と同様に学生2人が司会を務め、大学旗入場は芸術学部の萩原貴子教授と音楽学科の学生のフルートで、国歌は萩原教授の篠笛で演奏された。

式後半には特別映像とライブパフォーマンスのサプライズ企画が新入生に贈られた。「この4年間をどう使うか」と問いかける映像に続いて、劇団四季の俳優で本学芸術学部出身の飯野おさみさんが歌と踊りを披露。曲のエンディングに合わせて「祝砲」のメタルテープが大きな音とともに勢いよく飛び出し、桜吹雪のように会場に舞った。

式の様子はインターネットで同時配信された。サプライズ企画の効果もあり、視聴回数は前年度比2.3倍に伸びた。

令和五年度日本大学入学式  酒井健夫学長式辞 全文

本日、ここに、令和五年度日本大学入学式を挙行できますことは大変うれしく、日本大学を代表して式辞を申し上げます。

新入生の皆さん、御入学誠におめでとうございます。日本大学は皆さん方の御入学を心から祝福し、歓迎いたします。

皆さんは、令和元年から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大で、日常生活に大きな影響を受けられたことと思います。このような苦境にあっても、努力と頑張りによって、本日、日本大学に入学されたことに深く敬意を表します。

日本大学は、明治二十二年、西暦一八八九年に明治政府の初代司法大臣である学祖山田顕義伯爵の提唱で創立された日本法律学校に始まり、今年で百三十四周年を迎えます。学祖山田顕義先生は、吉田松陰門下生として松下村塾に学び、明治維新を成功させた主要な人物の一人で、軍人であり、政治家でありましたが、教育者としても多くの業績を残されました。

それは、明治四年から六年まで、岩倉具視海外使節団の一員として欧米諸国を回った時に、日本の近代化推進には軍事強化より、法律の整備と教育の普及が重要だと考え、その思いが日本大学の前身の日本法律学校の誕生につながっています。

本学は、教育理念である「自主創造」の下に、学生の皆さんが勉学はもとよりスポーツや文化・芸術、学術活動に青春の情熱を傾注できるよう環境を整備し、教育実績を積み重ね、社会に誇れる伝統を築いて参りました。皆さん、本学で知識を広め、技術を習得し、感性を磨き、心と体を鍛えてください。大学の在学期間は、皆さん一人一人が、御自身の人生を力強く歩み、社会に貢献するための準備段階です。ぜひ本学で自己の潜在能力を見出し、大きく成長してください。私たち教職員は、皆さんが本学に入学された目的を達成できるよう、できる限り努力をいたします。

一方、日本大学では、御存じのとおり、ここ数年にわたり一部の役員が生じさせた不祥事で、社会に大変な御心配と御迷惑をお掛けいたしました。一部の役員等が過去に行ったこととはいえ、学長として、おわびを申し上げます。

昨年七月一日に、林真理子理事長と共に、私は学長に就任し、日本大学の新体制が発足いたしました。現在は信頼回復に向け、学内外の声に耳を傾け、「教学優先」の再生・復興のため、「日本大学ルネサンス計画」を、スピード感をもって取り組んでおります。これまで以上に皆さんが誇れる日本大学になることをお約束いたします。

さて、今日の社会は、気候変動、環境汚染、地域紛争、不安定な国際情勢、景気の低迷、さらには感染症の流行等、多くの課題が山積し、しかも多様な考え方や価値観が複雑に絡み合っています。そうした中では、本学の教育理念である「自主創造」を体現し、幅広い教養と「総合知」を持った人材、すなわち日本大学の学生が、社会の持続的発展のために必要とされています。

大学時代は、人生において極めて重要な時代であります。とは言いましても、まだ自分自身の願いや人生設計が明確になっていない人もいると思います。しかし、この大学時代こそ、志を確立し、実力を養い、勉強をする時代であってほしいのです。志の確立と実力の養成は一体のものであり、相互に強く結びついていることを忘れてはなりません。実力を養成するために勉強して視野が広がれば、志も確固たるものになりますし、志が確立すれば、どのように実力を養うかが理解できます。

本日から始まる学生生活で勉学に励み、体を鍛え、感性豊かな大学時代を過ごしてください。そのために、次のことをお話しさせてください。

学業においてもスポーツや文化活動においても、何か一つ自分が熱中し、情熱を傾けられるものを見つけてください。そのことによって、自分の持つ潜在力や新たな知的好奇心が掘り起こされ、自分がどのようなことに魅力を感じ、またどの点で他人より優れているのか、どこまで頑張られるのかの限界を知ることができ、自分を見つめ直す機会にもなります。

また、百聞は一見にしかず、自分自身で直接ものを見て、経験し、体験してください。大学時代は、そのことが出来る時間的かつ気持ちの上での余裕がある時期だからです。そしてこの時期の一度の経験は、生涯にわたり活用でき、視野を広げる大きな要因となり得ます。

さて、本学は十六学部八十六学科、大学院二十一研究科、通信教育部四学部、短期大学部四学科、付属高等学校十一校、中学校五校、小学校一校、幼稚園、認定こども園及び準付属校十一学園などを擁し、世界でも有数の規模と教育実績を誇り、卒業生百二十万人以上を社会に送り出している総合大学に発展いたしました。

日本大学は、こうした多岐にわたる専門領域を有するスケールメリットを生かし、学部間や学科間の連携を深めた教育と研究を推進しています。特に相互履修制度や遠隔授業が導入されており、皆さんは自分が選んだ学部や学科の学業に取り組むと同時に、これらの制度を活用し、視野を広げ、教養を深め、感性を磨き、志を確立し、実力を養ってください。

日本の社会は今、困難な時代を迎えています。しかし日本大学が創立された明治の時代は今以上に転機の時代、危機の時代でありました。先ほどお話ししましたが日本大学は、そのような危機の時代を担い、それに立ち向かい、解決する人材を養成するために創立されました。その創立の精神を私たちは「自主創造」という言葉で表しています。自主創造とは、自らが課題を見つけ、自らが物事に取り組み、自らが道を切り拓く自律の精神であります。

本日から本学の一員になった皆さんは、学祖山田顕義先生と日本大学の発展の歴史を知り、「自主創造」の精神について学び、実践してください。そのことが本学で学修をする上で、大いに役に立つと確信します。なお、皆さんは学生の身ではありますが、社会では国民の一人として、また成人としての振る舞いや責務が必要です。選挙権も十八歳で与えられました。それらのことを十分自覚し、倫理観と判断力を身に付け、善悪を十分認識して行動してください。

新入生の皆さん、皆さんは全員、無限の可能性を持ち、次世代を担う大切な人材です。日本大学は、新入生の皆さんの志の実現に向けて、できる限りの環境を提供します。皆さんは健康に気をつけて、充実した学生生活を送られますよう心から期待し、私の式辞といたします。

令和五年四月八日

日本大学学長
日本大学短期大学部学長
酒井 健夫

令和五年度日本大学入学式  林真理子理事長祝辞 全文

新入生の皆さん、御両親並びに保護者の皆様、本日は御入学おめでとうございます。

皆さんは、私ども日本大学が新体制になりまして、初めての入学生です。感慨もひとしおです。

さて、私は今から三十年前、母校・日本大学の入学式に来賓として招かれました。その時に、こんなことを申し上げました。

どうか一人の時間をたくさん持ってください。毎日外で楽しいことがいっぱいあるでしょうが、たまには本を読んだり、思索の時を過ごしてください。一人でいることは、人間に深みと魅力を与えます。

しかし、三十年経った今、私は全く逆なことを申し上げたい。どうか一人をやめて、できる限り外に出てください、と。

当時はパソコンもスマートフォンも電子ゲームもありませんでした。ましてや、新型コロナウイルスのパンデミックなど想像外でした。

長いマスク生活も終わり、今日皆さんは晴れ晴れとした気持ちでここにいることと思います。希望と期待にあふれていることでしょう。それをどうぞ、インターネットの画面だけに使わないでいただきたい。小さい箱の中にいる、見たこともない人たちの会話にあまり費やさないでほしいのです。

とにかく外に出て、一人でも多くの先生や友人と会ってください。会ってたくさんの話をしてください。

皆さんはまだ若く、経験もそう多くありません。しかし、いろいろな言葉を交わしているうちに、たくさんのことを得るはずです。世の中には、自分と似ている人もいて、全く違う人もいる。

そうした当たり前のことが分かるのが、会話です。そして、どういう言葉が人を喜ばせ、傷つけるかも、知っていただきたいと思います。

ところで、私たち日本大学の教育理念は「自主創造」です。自分で考え、自分で創り上げることが基本となります。

日本大学は、面倒見が良いことで知られている大学でありますが、中学校や高校のようにはいきません。皆さん方がこれから自分自身で考え、どんな研究をしたいか、何を成し遂げたいか、計画を練ってください。大学の先生方は、それに惜しみなく力を貸してくださるはずです。たくさんの先生、たくさんの友人があなた方を待っています。

さて、皆さん、これから一緒に日本大学の校歌を聴きます。素晴らしい歌です。私は理事長に就任してから、歌詞の意味が心に染みるようになりました。「朝日と輝く国の名負いて」とあるように、私たちの大学の名は「日本大学」です。校章は国の花、桜です。私たちの学祖、先輩は、私学日本一を目指してきたのです。いろいろなことがありましたが、私は酒井学長と共に、日本大学再生を目標に掲げています。皆さんは新生日本大学が迎える第一期生として、メンバーに加わりました。さあ、一緒に船を漕ぎ出しましょう。

皆さん、本日はおめでとうございました。

令和五年四月八日

学校法人日本大学理事長
林 真理子