N.U COSMIC CAMPUS
情報ひろばに設営された本学の広報展示
芸術学部と理工学部の連携プロジェクト「N.U COSMIC CAMPUS(コズミック・キャンパス)」の広報展示が文部科学省「情報ひろば」に登場した。超小型衛星の外観や内部の模型、衛星に乗り込むバーチャルの飛行士の紹介動画、プロジェクトを疑似体験できるゲームなどで構成されており、新庁舎2階エントランスで2月13日まで見ることができる。
てんこう2の内部の模型
国際宇宙ステーションに物資を届ける補給機「HTV-X」に理工学部の奥山圭一教授の研究室が開発した超小型衛星「てんこう2」が搭載される予定。コズミック・キャンパスのプロジェクトは芸術学部と協力、小型衛星を利用したアート活動を展開して「重力に囚われないクリエイティブな学びと実験の場」にする試みだ。
てんこう2は最新の高解像度カメラや通信機、マイクロコンピューターなどを備え、地球観測や宇宙線の検出、炭素繊維強化熱可塑性樹脂材の劣化調査などの使命を帯びているが、芸術の8学科がチームを組み、実験や調査にエンターテインメントの要素を盛り込む。
キャプテンヒカルがプロジェクトを紹介する
中心となるのが架空の宇宙飛行士「キャプテンヒカル」。学生がキャラクターのデザインやアニメーションを手掛け、音声の担当者は衛星との交信に必要なアマチュア無線の免許を取得した。
実際にはモールス信号で伝えられる運行情報などを分かりやすく解説する。進行中のミッションや電池の残量、機体温度などをウェブやアプリで確認できる。
特殊処理した音楽データも搭載する。宇宙からの送信実験の一環として、日大習志野高と目黒日大高の吹奏楽部が演奏した「We are the world」の音楽が世界中に発信される。
ボードゲーム型のてんこう2フライトミッションシミュレーター
てんこう2は地球の上空500キロメートルの周回軌道を飛行し、約90分で地球を1周する。直下の地上をレコード盤に見立て新たな音楽を奏でる「地球レコードプレーヤー」には、川上央学部長が直接関わって工夫を重ねているという。
このほかアマチュア無線愛好家が衛星からの電波を受信すると「公認管制官」に任命される制度があり、宇宙での実験を身近に感じてもらうためのボードゲーム型シミュレーターも制作した。
奥山教授=向かって左、布目准教授=右
芸術の布目幹人准教授はコズミック・キャンパスに携わり「宇宙と関わる非常にまれな機会を得た。リアルな宇宙に手が届きそうでうれしい」と話した。奥山教授も「技術的な取り組みと芸術的な取り組みの連携は、想像を超えた成果を生み出しおもしろい」と評価している。
てんこう2が搭載されるH3ロケットは「そう遠くない時期」(奥山教授)に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられる予定。