経済学部の田中圭専任講師が構築
「ピピっとカメラ」説明パネルの前に立つ田中圭専任講師
国土交通省国土地理院が主催する第10回「Geoアクティビティコンテスト」がこのほど開催され、本学経済学部の田中圭専任講師の「被災状況を克明に記録する『ピピっとカメラ』の構築」が測量新技術賞を獲得した。
同コンテストは地理空間情報に関係するさまざまな取り組みやアイディア、サービスなどを紹介するイベント。展示や発表を通じて参加者と来場者の交流を図り、新しいサービスの活用・普及を目指している。
デジタルカメラとGNSS受信機を組み合わせたピピっとカメラ
ピピっとカメラで目指したのは、迅速かつ高精度に空間マッピングを行うシステムの構築。位置情報と連動するデジタルカメラは市販されているが、誤差は水平方向では数メートル、垂直方向だと数十メートルにも及ぶという。
誤差を数センチに抑えるとともに、「低コストで誰でも簡単に使える」というコンセプトのもと、既存のデジタルカメラを活用して衛星からの電波を受信するGNSS受信機を2機搭載。全体で10万円以内の材料で制作でき、撮影者はシャッターを押すだけ。
台風の浸水被害の推定などに利用でき、ドローンへの搭載も可能だ。地上基準点を利用する時間のかかるGCP測量が不要となるため、時間が限られる中でも精度の高い情報が提供できる。
最優秀賞には「UTMグリッド入りの英語表記登山地図―国内地形図を国際基準に―」(HokkaidoWilds.org)が選ばれた。
浸水後の様子。雨戸に線状に残っているのが最大浸水時の跡。
近年、毎年のように日本各地で自然災害が頻発し、甚大な被害が発生しています。ピピっとカメラは、災害時における被災状況を克明に記録すると同時に自然災害軽減に資するために、迅速かつ高精度に空間マッピングを行うシステムの構築することを目的に開発しました。既に位置情報と連動するデジタルカメラは市販されていますが、位置の誤差は水平方向では数メートル、垂直方向だと数十メートルにも及ぶこともあります。また、高精度の位置情報を記録する専門的なデジタルカメラは価格が高いという課題もあります。
ピピっとカメラから推定した浸水深・浸水範囲マップ
そこで、ピピっとカメラでは、位置の誤差を数センチに抑えるとともに、「低コストで誰でも簡単に使える」というコンセプトのもとに開発しました。専門的なデジタルカメラを購入しなくても、既存のデジタルカメラを活用することで導入コストを大幅にカットすることができます。位置情報は衛星からの電波を受信するGNSS受信機を2機用意することで、誤差数センチで撮影地点を記録できるようになりました。その結果、ピピっとカメラのシステム構築は,全体で10万円以内の材料で制作でき、撮影者はシャッターを押すだけで位置情報を記録できます。
令和元年に東日本の広域に被害を及ぼした台風19号では、我が家も床上浸水の被害を受けたこともあって、ピピっとカメラのプロトタイプを用いて被災状況を克明に撮影しました。ピピっとカメラで撮影した画像から浸水範囲・浸水深マップを作成することができ、これらの地図は被災情報の確認など様々な機関で利用されました。今後は,このような災害時のデータをVR化することで、災害軽減のための普及活動などにも利用できると考えています。