「KIMONOカフェ1000 」

【日大生のやってみたいを実現するプロジェクト】
生物資源科学部、経済学部、芸術学部

取り組み・活動
2024年01月16日

食と伝統文化で「古臭い」をなくしたい
学生カフェ「UTIKAKE」の挑戦

東京・中野駅にほど近い商店街の一角に「いらっしゃいませ!」と元気な声が響く。ショーウインドーの見事な振袖のディスプレイが目を引く店内では、浴衣に襷がけの学生たちがこだわりのお茶やコーヒーでお客さんをもてなす。2階ではパーソナルカラー診断の教室も開かれ人気だ。
令和5年度自主創造プロジェクトの採択を受けて実現した期間限定(9月~10月)の学生カフェだ。同プロジェクトは、本学教育憲章「自主創造」の三つの構成要素「自ら学ぶ、自ら考える、自ら道をひらく」といった能力を実践の場を通じて高め、学部間交流を通じて多様性に対する気付きを与え、自らの学修をより深化させるための一助とすることを目的に、令和元年度から学生発案型の課外活動を支援している。

若者に敬遠されがちな伝統文化のイメージを変えたい

学生カフェの代表・越永美音さん(生物資源科学部4年)は、「栄養学や農業問題、経営論など食に関して幅広く学んだ成果を生かし、学生である私たちが考えるビジネスが社会で通用するのか身をもって学びたいと考えました」と語る。背中を押したのは、昨年度の授業「食品ビジネス特別講義」のグループワークで、仲間と考案し発表した“ ポケットつけもの” が最優秀プレゼン賞を受賞したこと。若者に敬遠されがちな漬物を手軽に食べてもらう商品を考えたが、商品化までできなかった歯がゆさが機動力になり、カフェ実現に向けて仲間を募った。

越永さんの祖父母は呉服屋を営み、店頭の振袖ディスプレイは着付け師の母の手によるもの。店名の「UTIKAKE」には、日本古来の衣装である格式高く華やかな打掛と、軽く腰をかけるという意味の“ 打ち掛ける” から、このカフェが気軽に立ち寄ってくれる場となり、学生たちが自分の価値を見出すきっかけになってほしいとの思いを込めた。一貫しているのは、「漬物も着物も“ 古臭い”と思われがち。そのイメージをなくしたい」との思いだ。

学部横断の学生たちがそれぞれの得意を生かす

2階ではパーソナルカラー診断も

2階ではパーソナルカラー診断も

学生カフェに参加したのは、同学部を中心に経済学部、芸術学部などの4年生17人。それぞれSNS用の写真撮影や日々の収支計算など得意分野を担った。店の前で通行人に呼びかけていた矢田紗希さん(同)は、「待っていてもお客さんは入ってくれません。駅の近くで配ったチラシを持った高校生が来てくれたときは嬉しかったです」と笑顔。ご常連もできて、その一人は「おいしいし落ち着ける雰囲気で居心地がいい」と話してくれた。

「コロナ禍が落ち着き、海外からの観光客が増えています。その関心は爆買いやグルメから日本ならではの体験や楽しみ方に移ってきている。その期待に応えるため、私たち学生は日本の伝統文化を学び発信する準備が必要」と越永さん。このカフェは学生たちにとってその大きな一歩になったようだ。