パブリックセキュリティ領域
安全安心な社会を守る
クリミナルジャスティス教育の確立を目指して
社会で発生するさまざまな犯罪やテロリズムから公共の安全を確保するために必要な犯罪捜査,刑事政策など司法制度と行政組織について学びます。
概要
領域の特徴
パブリックセキュリティ領域では,犯罪や事故のように主に人に起因する危機に対処するための法制度,政策などを中心に学びます。これは,社会生活を送るうえで,常について回る犯罪や事故のリスクへの対処そのものです。こうした教育は,欧米では1970年代から盛んに行われており,クリミナルジャスティス(Criminal Justice)と呼ばれています。本学部のパブリックセキュリティ領域は,我が国の大学では初めてのクリミナルジャスティスプログラムなのです。
メッセージ
犯罪等への対処を扱うパブリックセキュリティ領域で学ぶ政策には,犯罪者等関係者の権利自由を抑制してその目的を果たす手法が採られているものが多くあります。こうした政策手法においては,実施過程において個人の権利自由の侵害をできるだけ小さくすることが求められます。そのためには,アドミッションポリシーにあるように警察官等政策の実施主体には,知識,技能に加えて高い倫理性を身につける必要があることを理解し,実践することを切望します。
授業説明
主な科目
- 社会安全政策論
- 刑事司法手続Ⅰ
- 犯罪心理学
- 犯罪と法Ⅱ
- 国民保護
- 刑事司法手続Ⅱ
- インテリジェンス・コミュニティ
- 警察行政
- 犯罪と捜査
- 法医学
- インフラセキュリティ
- 少年法
- 被害者学
- 経済刑法
- テロリズム論
履修モデル(令和3年度参考)
※ 令和4年度分は更新作業中,準備が整い次第掲載します。
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | |
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総合教育科目 |
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専門基幹科目 |
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専門展開科目 |
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他領域科目 |
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※A 別表「総合科目一覧」からいずれか選択
※B 行政キャリアの場合,すべて選択(ロースクール進学希望者は,すべて選択)
※C 企業キャリアの場合,すべて選択(ロースクール進学希望者は,すべて選択)
※D ゼミナール又は危機管理特殊研究のいずれか選択
座談会「幅広い知見を社会の安全安心に活かす」

- 武田
- 先輩方が,パブリックセキュリティ領域を選んだ理由は何ですか?
- 横山
- 私は,警察官を志望しているので,将来役立つ授業が多いと考えたからです。パブリックセキュリティ領域には,警察政策や警察制度といった,警察について知ることができる授業に加え,犯罪と捜査,テロ対策論など,他大学にはないような授業もあります。それらの授業を通じ,将来警察官になったときに役立つ知識を得ることができると考えました。
- 田中
- 報道を通じて犯罪の凶悪化,被害規模の拡大化など,世の中の犯罪が変化しているように感じ,より自分自身の身近な出来事として不安を抱くようになりました。そこで犯罪が起こる経緯や犯人の心理がわかれば犯罪を減らし,自分だけでなく,多くの人々の命を守ることができるのではないかと考え,犯罪心理学など,犯罪やテロについて詳しく学ぶことができると考えたからです。
- 武田
- 特に興味を持って勉強しているテーマとその理由は何ですか?
- 横山
- 私はゾルゲ事件の主要人物である尾崎秀実について関心を持ち,研究をしています。本学部のインテリジェンス論の授業を通じ,ゾルゲ事件や尾崎秀実がさまざまな諜報活動をしていたことを知りました。その際に,尾崎の諜報活動はどれほどの成果を上げられていたのかを疑問に感じ,尾崎秀実の情報収集と積極工作という2つの視点から各々の効果を研究しようと考えました。
- 田中
- 公共交通機関,特に鉄道におけるテロ対策についての研究を行っています。近年はソフトターゲットがテロの対象として狙われることも多いため,鉄道でのテロ対策における大きな課題であるサービスを低下させずにセキュリティを向上させる方法や,乗客からの協力をいかに得るかということについて研究をしています。
- 武田
- お2人に聞いただけなのにパブリックセキュリティ領域の学びが,大変幅広いものだとわかりました。茂田先生,この領域で学ぶにあたってのアドバイスをお願いします。
- 茂田
- 私からのアドバイスは3つあります。まず,パブリックセキュリティとは,事件や事故から暮らしの安全安心を守るものですから,法律制度の建前だけではなく,それが社会生活の実際とどう係わってくるのかという視点を持ってほしい。次に,基礎法学である憲法・民法・刑法はしっかり身につけておいてほしい。最後に,履修科目は,特定の領域だけに集中するのも一方法ですが,私は他領域の科目も含めて幅広い学修をして視野を広めることをお勧めします。

- 茂田 忠良教授
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東京大学法学部卒。デューク大学大学院MA。警察庁入庁後群馬県警察本部長,埼玉県警察本部長,四国管区警察局長を歴任したほか,在イスラエル大使館,防衛省,内閣官房で勤務。
教員情報詳細
学生からのメッセージ

S.H
危機管理学部4年
「ここしかない」と選んだ学部
中学生の頃から警察官のように社会の安全を守る仕事に携わりたいと考えていたので,ここしかないと危機管理学部を選びました。犯罪と捜査などの知識だけでなく,実務経験豊富な先生方からの講義を聞くことで,多角的な視点から物事を考えられるようになりました。現在は,災害時に増加する犯罪に関心があり,コロナ禍における犯罪傾向と対策について研究したいと考えています。また,将来につながる活動として,エアピストルという競技に取り組んでおり,集中力やメンタル面の強化にも努めています。