スマートフォンは最も身近なリスク!?

朝起きてから眠りにつく寸前まで、片時も手放すことのないもの、それが現代人にとってのスマートフォンです。財布や時計など、日常の中で身につけるものはたくさんありますが、スマホを手放さない瞬間はほとんどありませんよね。人によっては、お風呂に持って入る人もいるはず。そうなると、もはや服を着ている時間よりスマホを身につけている時間の方が長い、という人もいるかもしれませんね。

将来的には、身体に埋め込むタイプのスマホも開発されるといいますから、もはや名実ともに身体の一部となったスマートフォン。

そんなスマホは、危機管理的な視点から見れば「スマホほど多くのリスクと繋がっているものはない」と言っても過言ではないほど。

たった一台のスマホから?身近なリスク一覧

スマホからは様々なリスクが生み出されます。もちろん軽微なものもあれば、中には人生を一瞬で狂わせるような恐ろしいリスクも存在します。

リスク1:情報漏洩リスク

まず比較的想像しやすいリスクとして、やはり情報漏洩が挙げられるでしょう。スマホはあなただけでなく、あなたの親しい人も含めた重大な個人情報が大量に詰まっています。アドレス帳にはその人の電話番号や住所が、SNSや写真アプリからは、決して他人には見られたくない情報が漏れ出すかもしれません。

「でも、自分は変なアプリは入れないし、公衆Wi-Fiにも接続しないから、関係ないかな」と思ってしまう人も中にはいるでしょう。でも、例えばお手洗いに行く時に机の上にスマホを置きっぱなしにしたり、カバンに入れたまま体育の授業などを受けていることはありませんか?何も情報漏洩は電磁的な手法とは限りません。意外と、漏洩原因として多いのが、置き引きなどの原始的な手法なのです。

リスク2:睡眠障害

スマートフォンなどの画面から放出され、目から取り込むと脳の覚醒作用があるとされているブルーライト。最近ではブルーライト防止用のメガネなども市販されているため、聞き馴染みのある人も多いかもしれませんね。実際には、ブルーライトは太陽光などにも含まれているため、一概にブルーライト自体が睡眠を阻害するわけではないのでは?とする意見もあります。

しかしここで問題なのは、「眠る直前までブルーライトを浴びていないか」ということ。人間の体は、元々光を取り込むと覚醒するようにできているため、ブルーライト自体の問題が仮にないとしても、やはり睡眠の直前まで画面を直視するのはリスクと言えるでしょう。

リスク3:犯罪被害

これはもう、例を上げ始めればキリがありませんね。フィッシング詐欺、架空請求などの詐欺によって個人情報やクレジットカードを盗まれる、といった犯罪被害者になるケースはもちろん、例えば、紛失した自身のスマホが犯罪行為に利用されることで、あなた自身が犯罪を犯したかのような履歴が残ってしまったり、駅や電車などで暇つぶしにスマホを触っているだけで、盗撮の疑いをかけられるおそれがあったりと、スマホから派生する冤罪のリスクも考えられそうですね。

何よりも危険なのは、身近すぎること?親和性・正常性バイアスがかかっているかも

「言われてみればそうかもしれないけど、スマホってそんなに危険?」ここまで読んで、こんな感想を持った人も少なくないかもしれませんが、それもそのはず。人間は日常性が高いものや、近くにあるものには危険を感じにくく、逆に遠くにあるものには無意識に警戒するよう、心理的なバイアスがかかるようになっています。これは生物の生存競争の中では有意だったかもしれませんが、現代社会では身近にあるからといって、無条件に無害なものと考えるのは禁物です。

また、「自分は大丈夫だろう」と言って自分だけリスクの対象から外してしまったり、ひどい場合だと非常ベルが鳴っているのにも拘らず「まだ大丈夫」と事実の認識を歪めてしまう人もいます(テスト勉強や手付かずの夏休みの宿題を想像するとわかりやすいでしょうか?)。

こうした心の動きは親和性バイアスや正常性バイアスといい、人間が誰しも持っている心のメカニズムですが、こうしたものが身近に潜むリスクを、むしろ無意識に引き寄せてしまうこともあります。

まずは知ることからはじめよう

とはいえ、やはり一つの事実として、詐欺にかかる件数や犯罪に巻き込まれる件数の方が、全体で見れば圧倒的に少ないわけですから、こういったリスクはあるものの、だからといって「今日からスマホを使うのはやめた方がいい」と言ってしまうには、メリットとデメリットのバランスが取れていないと言えるでしょう。やはり肝心なことは、リスクを知ること、リスクの発生頻度やメカニズムを正しく理解すること、そして自分には関係ない・自分には起きなさそう、といったバイアスをかけてしまわない事が大切です。