本番に強い選手と弱い選手の違いって?

「本番になると、練習通りうまくいかない……」スポーツ経験者なら、一度は体験したことありますよね。このような、本番に弱い人がいる一方で、一流のスポーツ選手は本番でも練習と同じか、時にはそれ以上のパフォーマンスを発揮することがあります。

特に本番に強いアスリートは、とにかく「プレッシャーとの付き合い方」が上手です。なにしろ、練習と本番では桁違いのプレッシャーがかかりますよね。プレッシャーがかかると、自律神経が乱れ=運動能力の低下を招きます。一方、本番に強い人ほど、プレッシャーに対して、適切な処理を行うことができ、常にリラックス状態を保つことができます。また、実は過度に緊張した状態では副交感神経が優位になり、却って注意力が散漫に。逆にリラックスした状態の方が、集中力は高まります。

本番に強い人は、こうしたプレッシャーの弊害をよく知っているため、とにかく上手にプレッシャーと付き合う方法を知っています。

逆に、本番に弱い人の特徴として、「プレッシャーを避ける」傾向にあると言われます。そうした人の特徴として、周囲からのプレッシャーを予め避けるため、過度に低い目標を設定してしまったり、自分の評価を意図的に低く設定しようとしたりします(あなたの周りにも「ぜんぜんテスト勉強してないわー」とアピールして、本当に点数の低い人っていませんか?)

このように、本番に強い人弱い人には明確な特徴や傾向があります。それは選手本人の努力によっても改善できますが、近年では、スポーツコーチングによってこうした傾向を改善する方法も注目されています。

フィギアスケートに学ぶ、本番に強いコーチング方法とは?

多くの有名選手を指導してきた山田満知子コーチ。かつての教え子の中には、浅田真央さんや宇野昌磨さんなど、オリンピック選手を初め、多くの有名プレイヤーを輩出してこられました。そんな山田氏のコーチング法が、実は多くの点で「本番に強い選手」を育てる方法として注目されています。

山田氏のコーチングの特徴として特に本番に強い選手を生み出す秘訣となっているのが、選手とのコミュニケーションやセルフマネジメントのサポート。山田氏は、選手とのコミュニケーションの中で、選手が安心して練習に取り組めるよう、選手だけでなく保護者とのコミュニケーションも大切にされています。リングコートに選手の母親の姿が見られるのも、山田氏の練習風景としては当然のことなのだとか。

また、セルフマネジメントのサポートにも定評があります。選手が、自分で栄養や睡眠などの健康面を管理できるようにサポートしたり、常にポジティブな気持ちを保てるような声かけを心がけていらっしゃるそうです。そしてそんな彼女の教え子はみな口を揃えて「フィギアの楽しさを教えてくれた先生!」というのだそう。とても素敵な師弟関係が垣間見えますよね。

こうした選手との向き合い方によって、「リラックスする方法」「プレッシャーに立ち向かうメンタル」をもった選手が排出されることになり、本番に強い選手の排出へと繋がっているわけですね。

受験に活かせる!?プレッシャーと上手に付き合う方法

それでは、上手にプレッシャーと付き合うためには、どんな方法があるのでしょうか?

プレッシャーを理解する

まずは、なぜプレッシャーを感じるのかを理解することが重要。本番=プレッシャーと短絡的に思い込む必要はありません。例えば、「ここで失敗したらチームメンバーに迷惑がかかるから」という人もいれば、個人競技の場合でも「練習でもうまくできなかったから……」というふうに、パフォーマンスへの不安からプレッシャーに感じてしまう人もいるはず。そして、それぞれの不安への対処法は、原因によって異なります。つまり、不安の正体がわかれば、逆に不安を取り除く行動によって、プレッシャーを緩和することも可能になります。

ストレスを管理するメンタルトレーニング

もちろん、どうしても避けられないストレスはつきもの。大切なことは、ストレスの回避ではなく、ストレスをうまく管理することです。そのためには、ゴールや目標を達成した自分をイメージすること、自分の呼吸に意識を向けることなどが有効。また、本番前にどうしても緊張が取れない時は、プログレッシブ・マッスル・リラクゼーションを試してみてください。

これは筋肉を意図的に弛緩させる方法で、「肩の力を抜く」を全身で行うイメージです。全身の筋肉が弛緩することで、リラックス状態を作り出すことができますよ。

ポジティブなサポートをもらう

そしてもっと大事なことが、周囲のサポート。アスリートも含め、多くの人が勘違いしているのですが、自分一人で完璧にプレッシャーをコントロールできるようになる必要は全くありません。特にこれから受験や入試を迎える人にとっては長い戦いになりますから、それこそ山田コーチのような信頼できる周囲の人のサポートは必要不可欠です。

アスリートだけが主役じゃない!スポーツコーチングを学ぶ

今回紹介した山田コーチのように、名選手にはからなずと言っていいほど名コーチの存在があります。そして実は、山田コーチ自身も、以前はフィギアスケートの選手でした。スポーツの世界において、もちろん選手は主役であり、もっとも脚光を浴びることのできるポジション。ですが、選手だけでは、もはや現代スポーツは成り立ちません。主役を支えるコーチも含めたチームで戦うのが外題スポーツの常識です。日本大学スポーツ科学部では、学びの中心にコーチング学を据えており、コーチング学原論やコーチング学基礎演習、コーチング実践演習などの科目でスポーツコーチングについて学ぶことができます。あなたも、日本大学 スポーツ科学部で名アスリートを支える勉強をしてみませんか?