下肢閉塞性動脈硬化症:早期発見の重要性と診察
新年あけましておめでとうございます。循環器内科で医局長ならびに冠動脈・下肢・シャントカテーテル治療部門を統括しております、松本真明です。いつも患者さんをご紹介いただきありがとうございます。今回は、下肢閉塞性動脈硬化症の早期発見のための診療についてお話させていただきます。
これまでの報告ですと、間欠性跛行を有する下肢動脈硬化性病変の方の生命予後は5年で生存率70%、10年で50%程度、また虚血性の下肢潰瘍や壊死を生じるような重症虚血肢では1年で80%、5年で40%と報告されております。平均的ながん患者よりも生命予後が悪い疾患であることがわかります。また、下肢動脈病があると30-40%の方は冠動脈や脳血管障害を持っているとも報告されています。下肢の切断や感染症のみならず心筋梗塞・脳卒中などの心血管疾患の発症も予後に起因すると考えられます。このように動脈硬化は下肢血管のみに生じるわけではなく、すでに全身の血管にも生じているので早期発見が重要です。間欠性跛行やしびれといった典型的な症状に限らず、足に何かしらの違和感がある方、無症状であっても糖尿病・透析患者さんの場合は、閉塞性動脈硬化症の可能性を考えて診察や検査をすべきだと思います。症状が非典型的であっても、いざ検査をしてみたら閉塞性動脈硬化症だったという患者さんもいるからです。早期発見には下肢血管の触知診察が重要であると考えます。下肢の脈派はそれぞれ4箇所で触知が可能です。総大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈、足背動脈です。総大腿動脈は触知しやすく左右差の有無がポイントです。左右差があれば、触知低下側の腸骨動脈の狭窄・閉塞の可能性が高く、簡易的に診察できます。膝窩動脈は膝裏を両手で支えるようにすると触知しやすくなります。足背動脈は解剖学的変異があり触知しにくいこともありますが、後脛骨動脈は触れやすいことが多いです。足部の動脈が触知できるのであれば動脈疾患の可能性は低いと考えられます。日常診療の中で、患者さんを臥位にして触診するのはあまりしませんが、糖尿病や狭心症などの持病がある患者さんは一度スクリーニングが重要かと思い診察しております。
下肢のみならず心臓も病変がかなり進行した状態になると、全身麻酔でのバイパス手術となり、患者さんへの負担は大きくなります。脳・心・下肢の血管に複数疾患を持つ方の予後は不良であり、血管疾患の早期発見・カテーテル治療ができるよう取り組みたいと考えております。下肢の症状で何かありましたら、どうぞ気軽にご紹介ください。