「 胸痛が気になる方へ:心臓CTと心筋シンチで分かること 」
「 胸痛が気になる方へ:心臓CTと心筋シンチで分かること 」
胸の痛みが続くと「心臓に何か起きているのでは」と不安になります。狭心症や心筋虚血といった病気は、血管の一時的な狭まりによって心筋への血流が不足する状態です。適切な検査を行うことで原因を早期に把握し、安心につなげることができます。今回は、狭心症の診断で役立つ心臓CTと心筋シンチ(D-SPECT)についてご紹介します。

前提として、この2つの検査は「痛みの原因を正確に調べるための道具」であり、治療そのものではありません。心臓CTは、心臓の血管(冠動脈)を立体的に撮影し、どこが狭くなっているのかを短時間で確認できる検査です。胸痛がある方、動悸や息切れが気になる方、検診で心電図異常を指摘された方などに使われます。造影剤を用いた撮影は約15分程度で、血管の形や狭窄、血栓(血の塊)などを立体的に描出できます。検査後はすぐに日常生活へ戻れます。また、造影剤を使わない「冠動脈カルシウムスキャン」もあり、動脈硬化の進み具合を簡便に評価できます。いずれも放射線量を抑える工夫が進んでおり、不必要な被ばくを避けながら診断に役立てられます。
一方、狭心症は血管の形だけでは分からないこともあります。血管が細くても血流が十分なら症状は出ませんし、逆に見た目は軽度でも血流が不足している場合があります。そこで登場するのが心筋シンチ(核医学検査)です。D-SPECTという最新の半導体カメラを用いることで、心筋にどれだけ血流が届いているかを高精度に評価できます。検査の流れは、軽い負荷をかけて撮影し、休憩後に安静時の撮影を行いますが、D-SPECTでは撮影時間が従来の半分程度に短縮されており、1回の撮影は約15分、全体でも比較的短時間で終わります。放射線量も少なく、痛みはありません。
心臓CTは「血管の形や狭窄」、心筋シンチは「心筋血流の実際の状態」を評価します。両方を組み合わせることで「血管の見た目」と「血流の実態」を立体的に把握でき、不要なカテーテル検査を減らせる可能性もあります。胸痛は必ずしも心臓が原因ではなく、筋肉痛や胃腸の不調、ストレスでも起こります。検査を行う本当の目的は、原因をはっきりさせて今後の暮らしを安心に近づけることです。
胸痛がある時、いちばん怖いのは「分からないまま過ごすこと」です。正しく調べることで必要な治療につながり、反対に何も心配がなければ、それ自体が大きな安心になります。狭心症が気になる方、最近胸の不調を感じる方は、まず一度循環器内科にご相談ください。