睡眠呼吸障害(SDB)への取り組み ―心疾患管理の新たな視点として―
睡眠呼吸障害(Sleep Disordered Breathing: SDB)は、睡眠障害の中でも頻度が高く、社会的関心の高い疾患です。特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は、循環器疾患や糖尿病、慢性腎臓病などのリスク因子として知られており、当院の循環器診療においても無視できない重要な課題です1)。日本人のOSA有病率は、AHI(Apnea Hypopnea Index)≧5の軽症以上が32.7%(約2,200万人)、AHI≧15の中等症以上が14.0%(約960万人)と報告されています。特に心臓外科手術後の患者さんではOSAの罹患率がさらに高いとされています。
当院では昨年10月からの1年間で164件の簡易検査を実施しました。その結果、AHI≧5は96.7%に達し、SDBを疑って検査を行った患者さんの多くにOSAを認めました。中等症(15≦AHI<40)は45.7%、重症(AHI≧40)は35.9%と高率でありました。心臓血管外科では、術後や動脈瘤フォロー中の方を対象に積極的に簡易検査を行っており、全員が軽症以上で、中等症以上が90%、重症例は43.3%と特に高い結果でした。
心臓の手術を受けてもOSAが残存すれば心不全などの再発リスクが高まるため、当院では中等症の方にPSG(終夜睡眠ポリグラフ)検査をお勧めし、重症の方にはCPAP療法を導入しています。PSG検査は夕方入院・早朝退院の一泊検査で、個室をご用意しリラックスして受けていただけます。検査費用は約45000円(3割負担)と決して安価ではありませんが、睡眠の質を正確に評価し、合併症の予防につなげる意義をご理解いただいております。今後も近隣の先生方と連携し、簡易検査・PSG検査のご紹介を通じて、心疾患を含む全身管理の向上に努めてまいります。

1)各心血管疾患におけるSDB合併頻度 (とくに表示のない場合はすべてAHI≧5の頻度を示す)
循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン