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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2026年7月号

当院におけるTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)の進化

日本大学病院では、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を再開して以降、順調に治療実績を重ねております。大動脈弁狭窄症とは、大動脈弁が狭くなり血液の流れが制限される病態です。この病気は通常、高齢者に多く見られ、症状が進行することで心不全や心停止を引き起こす可能性があります。これまでは、大動脈弁を手術で置換する「開心術」が主な治療法でしたが、高齢者や重篤な合併症がある患者様にはリスクが伴います。そのため、胸を開かずカテーテルを使って血管から大動脈弁を置換する低侵襲な「TAVI」が注目されており、当院でも多くの患者様を治療してまいりました。

今年度より、当院のTAVI治療はさらに進化いたしました。新たに「自己拡張型」のTAVI弁を導入したことで、患者様ごとの血管や弁の性状に合わせて最適な弁を選択できるようになりました。これにより、過去の外科手術で植え込まれた「あらゆる種類の生体弁」に対して、その内側にカテーテルで新たなTAVI弁を留置する「Valve in Valve(バルブ・イン・バルブ)」治療が可能となりました。生体弁が経年劣化し、再度の開胸手術が困難な患者様に対しても、身体的負担を大幅に抑えた安全な再治療が実現しています。

TAVIの手順としては、足や首の動脈などからカテーテルを挿入し、狭くなった大動脈弁の位置(または劣化した生体弁の内側)に新しい弁を配置してしっかりと固定します。また、麻酔に関しても局所麻酔での施行が可能となりました(患者様の状態に応じて従来通り全身麻酔で行う場合もございます)。局所麻酔の導入により、開心術に比べてお体への負担がさらに軽減され、術後の回復が早く入院期間が短縮されるのが最大の利点です。手術は通常、1時間ほどで完了します。

 

TAVIは、特に以下の患者様に適応されます:

1.           高齢で外科的手術リスクが高い患者様

2.           慢性疾患や心機能低下などの合併症を持つ患者様

3.           開心術が困難、または過去に生体弁置換術を受けられた患者様

 

当院では循環器内科、心臓血管外科による「ハートチーム」で患者様一人一人の状態を協議し、TAVIも合同で行っており、術後は心臓リハビリテーションを1週間ほど行うことで退院後も安心して生活を送っていただいております。

大動脈弁狭窄症は軽度なものでは症状が現れにくく、他の病気の検査などで見つかる場合がほとんどです。重症になってから発見されることも多く、重症化して狭心症(胸の痛み)、失神、心不全症状(息切れなど)が現れた状態で治療を行わないと予後不良です。一般的な生命予後は、狭心症が現れると5年、失神が現れると3年、そして心不全の場合は2年といわれており、突然死の危険性を伴います。

息切れや心雑音でお困りの患者様がいらっしゃいましたら、大動脈弁狭窄症を含む循環器疾患の可能性があります。自己拡張型弁の導入により「Valve in Valve」にも広く対応し、局所麻酔でさらに低侵襲な治療が可能となった当院へ、ぜひご紹介や受診相談をご検討ください

循環器病センター

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