「2027年度日本大学進学ガイド」
インタビュー

経済学部から生まれた水道蜂ハニー。
0からの挑戦が形になるとき

経済学部 産業経営学科 4年(取材時)

大川 貴文

私立明法高等学校(東京都)出身

都市で養蜂はできるのか。経済学部で芽生えた好奇心

大学の授業で温暖化による都市環境の変化について知ったことをきっかけにその影響について調べたことで,世界的にミツバチが減少している現状を知りました。ミツバチは環境指標生物であり,人間の暮らしとも深く関わる存在。都市部は養蜂に適した側面も持つことを学びました。そのとき浮かんだのが,「経済学部がある水道橋でも養蜂は可能なのだろうか」という素朴な好奇心でした。

環境問題は,経済学部で学ぶ中でも重要なテーマです。ただ,養蜂という手段で取り組もうとすると,学内に専門的な指導者はおらず,学生主体で実践した前例は他大学にもありませんでした。「本当にできるのか」という不安は拭えませんでしたが,「自主創造プロジェクト」への応募をきっかけに,未知の領域へ一歩を踏み出すことを選びました。

0から始まった蜂蜜づくりの日々

知識も人脈も皆無の状態から始まったため,はじめの1年間は人脈づくりや養蜂場への訪問などで知識の習得に奔走。他大学の養蜂団体の方々,専門家の方などに自ら連絡を取り,現場へ何度も足を運ぶことで,着実にノウハウを蓄積していきました。

養蜂現場への訪問や勉強の期間を経て,2025年4月8日,経済学部3号館屋上に養蜂箱を設置しました。養蜂において最も重要なのは日々の管理です。週に2回ほど,ミツバチの様子を確認する内検(巣箱内の観察)を行います。中心メンバーは4年生が多く,ちょうど就職活動が忙しくなってきた時期と重なったため苦労もありましたが,協力しながら活動を進めました。「ミツバチ1匹1匹を大切に育てる」ということを何より大切にし,環境問題への眼差しも忘れず活動を行っています。

約1年間の準備期間を経て,6月に初めての採蜜,7月には2回目を実施。2回の採蜜で,合わせて約40kgの蜂蜜を収穫しました。初めて採れた蜂蜜を皆で味わったときの感動は,今でも忘れられません。同時に強く残ったのは,大きな失敗なくここまで来られたという安心感でした。採れた蜂蜜は,プロジェクトに協力してくださった方々や,巣箱の設置に関わった学内関係者の皆様へ配布しました。形として残るからこそ,直接感謝を伝えられたことに大きな喜びを感じています。

水道橋から始まった挑戦を,さらに広げていく

プロジェクトの最大のやりがいは,都市の環境改善に直接貢献しているという実感です。蜂蜜を採るということは大きな目標の一つですが,プロジェクトの広がりとともに当初の目標である「人々の環境意識を高める」ことも実現できていると感じます。

活動を続けるうちに興味を持つ学生が増え,数人で始まったプロジェクトは,現在では約30人規模にまで広がりました。今後は,養蜂技術を高めて安定した収量を確保し,販売にも挑戦したいと考えています。単なる養蜂に留まらず,マーケティングや持続可能な仕組みづくりにも深く向き合うことで,経済学部だからこそ実現できる「都市養蜂」のあり方を模索し続けていきたいです。蜂蜜を通して,多くの人が環境問題について考えるきっかけをつくる。その小さな循環を,水道橋から広げていけたらと思います。

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