「2027年度日本大学進学ガイド」
インタビュー

地域とつながる「おいしい」の輪。
さつまいも畑でロハス工学を実践する

工学部 建築学科 3年(取材時)

鈴木 ひかり(写真右)

福島県立郡山北工業高等学校出身

キャンパスの「空き地」から始まった,手探りの循環型農業

工学部では,健康で持続可能な生活と社会の実現を目指す「ロハス工学」をテーマに日々学んでいます。今年で3年目となる「ロハスの畑プロジェクト」は,工学と農業を融合させ,持続可能な社会の実現に挑戦するプロジェクトです。私は中心メンバーとして,このプロジェクトの進行を担ってきました。地域の資源を有効活用した循環型農業と,工学の力で自然環境に配慮した農業を実践しています。

本プロジェクトを推進しているオープンキャンパス実行委員会は,「やりたいを形に」をモットーに,毎年新しいことにチャレンジしながら活動しているボランティア団体です。以前は学内向けの大学の魅力発信に取り組んでいましたが,活動の幅を広げるために,私が1年生の時に本プロジェクトが立ち上がりました。はじまりは「キャンパス内に畑があったらいいね」「食べるなら,さつまいもがいい」というメンバー同士の何気ない会話。そうして,キャンパスの片隅にあった空き地を借りて,農業への挑戦がスタートしました。

とはいえメンバーたちはほぼ農業初心者。さらには,空き地にはガラスの破片や大きな石が混ざっており,一から耕す必要がありました。そんな時に助けてくれたのが,地元の農業のプロである福島さくら農業協同組合(JA)の皆さんです。JAの指導のもと,専門的な機械も借りながら,少しずつ畑として整えていきました。工学部は,地域との密着により,協力を得られやすく,多様な学びの機会を提供されている点が大きな強みです。






余った竹パウダーを肥料に。土木工学の研究を畑に還元する

本プロジェクトの大きな特徴は,学内の研究成果を自分たちの手で応用し,土壌改良に挑戦している点です。1・2年目は,学生食堂の残飯をメタン発酵処理し,生成したバイオマス由来の液体肥料を畑に散布しました。しかし,もともとの土壌の質が良くなかったためか,その取り組みは成果が出ず断念。そこで今年は,竹パウダーを使用しました。竹パウダーとは,「竹筋(ちくきん)コンクリート」の生産過程で出る竹の廃材を粉砕したものです。土木工学科の教授から,放置竹林の解決策として研究されている竹筋コンクリートの竹成分が,土壌改良に効果的だとのアドバイスを受け,採用に至りました。

実際に効果は抜群で,土壌が柔らかくなったのを実感しました。さらに,生命応用化学科の先生の指導のもと土壌分析を行ったところ数値が改善。昨年の270kgを上回る300kg超のサツマイモを収穫することができました。廃棄物として処理されるはずの竹を資源に変え,美味しい作物へとつなげる。まさにロハス工学を実践できたと感じます。

収穫したさつまいもは,他のオープンキャンパス実行委員メンバーによる「防災備蓄品のフード削減プロジェクト」と協力し,非常用のご飯(アルファ化米)とさつまいもを組み合わせた「さつまいもご飯」として提供。また学部祭ではさつまいもサンドを作り,多くの来場者に好評をいただきました。コンクリートの実験機器を活用してさつまいもを焼いたり,地元企業からお借りした水素燃料の災害用燃料電池キッチンカーを使用したりと,工学の知見を実用的な形で発揮できました。

また,地域の方にも味わっていただくため,地域のJA販売所の一部をお借りし,焼き芋を販売。その売上金は社会福祉協議会へ寄付し,地域の皆さんに少しでも恩返しができたのではないかと思っています。


世代を超えた温かな交流をこの先も残していきたい

毎年,地域住民や子どもたちが収穫体験に参加し,世代を超えた交流を実施しています。事前に近隣の幼稚園や小学校へ手作りのチラシを配布したり,学部祭と同時開催にしたりすることで気軽に足を運んでもらえるように工夫しています。この収穫体験は,地域と大学がつながり,子どもから大人までが,世代を超えて一緒に楽しめる温かな交流の場です。当日は,子どもたちが一生懸命掘る姿や,大きなさつまいもを見つけて大喜びしている姿がとても印象的でした。「来年も楽しみにしているね」と声をかけていただけた時は,大きなやりがいを感じる瞬間です。

プロジェクトを通して,地域の方々との協力関係の築き方,計画通りに物事が進まない中での柔軟な対応力,メンバー同士のコミュニケーションの重要性など,多くの学びを得ました。そして,「まずはやってみる」という気持ちで積極的に挑戦してきた経験が,今後の財産になることは間違いありません。

学内の改修工事により,現在使用中の畑は1年後に利用できなくなります。そのため,また一から畑づくりが必要となります。しかし,私たちが培ったさつまいも作りのノウハウを後輩たちへ伝え,場所や形が変わっても,「工学の力で暮らしを豊かにする」というロハスの精神を継承していきます。

Other Interviews

ほかの記事を読む