地域密着の「認定こども園」
付属校生の職場体験の場にも

日本大学認定こども園

学び・教育
2022年08月02日
園庭に組み立てられたプールの前にいる子どもたち

青空が広がった7月27日、園庭に組み立てられたプールの前で子どもたちの声が響く。

「おはようございます」

「おねがいします」

子どもが自らの可能性を広げる

2017年4月に東京都世田谷区に開かれた「日本大学認定こども園」は保育園と幼稚園の機能を併せ持つ。乳幼児期にふさわしい多様な経験を積み重ね、子どもたちが自らの可能性を広げることを同園は支えている。それは本学の教育理念「自主創造」にもつながる。

教室

幼稚園機能の子どもたちは7月20日に終業式を迎え夏休みに入ったが、保護者が就労している子が多く、土、日、祝日を除き登園し、保育園機能の子どもたちと一緒に過ごしている。「こども園」の1日は早い。7時15分から順次登園し、8時には「お部屋で遊ぼうの時間」になる。熱中症対策や天候をみながら、午前中は室内や園庭で「たくさん遊ぼうの時間」。12時の「楽しいおひるごはんの時間」の後は「おひるねの時間」「うれしいおやつの時間」「ゆっくり遊ぼうの時間」が続く。

先生の部屋

施設1階は0歳児から2歳児までの教室や「せんせいのへや(職員室)」のほか、子どもたちが調理の様子を窓越しに見られるようにした「ちょうりしつ(給食室)」が並ぶ。中央の階段を2階に上がると3歳児から5歳児までの教室と遊戯室が設けられている。

職場体験の高校生を受け入れ

同園では4年前から職場体験として豊山女子高の3年生を受け入れており、この日も女子高校生2人が9時から体験に臨んだ。まずは注意事項の説明を職員から受ける。

職場体験中の学生

「子どもたちを注意するときはちゃんと大人の言葉で話してください」

「子ども同士がぶつかるなど、けがをしたときは親にきちんと状況を説明する必要があるので、担任の先生に伝えてください」

「小さい子は脱臼しやすいので、手を引っ張らずに、背中を押してあげるなど配慮してください」

「子どもの名前を覚えてあげて、たくさん一緒に遊んでください」など。聞き終えると早速、それぞれ3歳児と5歳児のクラスに入り「遊ぼうの時間」が始まった。

思い思いに教室で遊ぶ園児

各教室にはカラフルなビーズや玩具、ままごとコーナーに積み木、カードあそびにクレヨンや色鉛筆等があり、園児たちは1人で、またはグループで思い思いに教室で遊ぶ。

そして夏空の下、待ちに待った水遊びだ。0歳児~2歳児クラスは、プラスチックのたらいに水をはって、3歳児クラス以上はプールで先生に指導を受け、夏ならではの遊びを楽しんでいる。

園庭に3歳児と5歳児の子どもたちが出てくる。5歳児クラスの子どもたちが高校生に「鬼ごっこ」を提案。またたくまにその仲間が増え、園庭をぐるぐる駆け回った。

園庭で遊ぶ園児

合間に先生はホースで水を噴射。負けまいと子たちがバケツに水をくんで、先生にかける。子どもたちの声がこだまする。ねこじゃらしなど草をつむ子、逆上がりする子、おままごとする子、子どもたちの遊びは多種多様だ。

地域交流も実施

水あそび

「こども園」の役割の一つに子育て支援や地域との交流がある。同園では近隣の0~2歳の子どもや保護者、「プレママ(妊婦の方)とプレパパ」を対象に、祝日を除く火、木曜日に参加費無料で一緒に遊べる時間「しろつめくさ」を設けている。こうした交流の場を通じて、子育ての悩みを共有したり、解決したり、親同士、子ども同士が仲良くなる場を提供している。あわせて「地域交流」イベントも10家庭を対象に実施。第1回はこどもの日にこいのぼりを製作。その後小劇場パネルシアター、水あそびを催した。

水あそびとスイカワリ

第6回は水あそびとスイカワリ。親子が一緒になってスイカを目指して、木刀を振った。スイカはなかなか割れなかったが、1人のお母さんの一刀が見事に命中。全員が一通り済ませた後、みんなでスイカを食べ、夏の風情を感じた。今後も季節に合わせた地域交流を開催する予定だ。

日本大学の中の「こども園」

本学の教育理念である自主創造は同園の教育・保育に反映されている。と髙田聖子特任課長は話す。子どもたちは、「のびのびと自分を発揮」して元気だ。田中菜穂子園長は「子どもたちはとっても元気です」。今後については、都会の中にあっても「園内に緑を増やし昆虫が集まってくるようにしたいと思っています。子どもたちは、虫を集めてきて、名前や生態を調べたり、友達や先生に見せたりするのですが、そういう機会を増やしたい」と語る。

豊山女子高3年の杉山悠梨(ゆな)さんは今回、3歳児を担当した。「やりたいことの一つに保育があって、体験してみて楽しかった方を将来の進路にしたいと思います」

5歳児を担当した稲員(いなかず)綾乃さんは、保育に興味があって今回参加した。「ちゃんと話を聞く子ばかり。一緒に遊んでなついてくれた。鬼ごっこを5人ぐらいで始めたら、(最後)10数人になって…」

二人とも子どもたちが短い時間でさまざま吸収し、成長することに気づき「現場にいること」に嬉しさを感じて将来がイメージできたようだ。

同園はこうした高校生の受け入れ以外にも、三軒茶屋キャンパスやその他の学部などとも連携して、教育・保育に当たっている。将来、こども園の卒園者が、大学まで進学することを夢見て。