『オリンピックに出場するということ』
今年は4年に1度のオリンピックイヤーです。8月5日から始まった第31回オリンピック競技大会はブラジルのリオで開催されました。日本人選手は各競技で活躍しており多くのメダルを獲得しました。
彼らの多くは幼少のころから大人顔負けの練習を行いいつのころからかオリンピック出場を夢見ていつのころからかオリンピック出場を目指します。オリンピックに出場すると次大会でのさらなる活躍を願い4年間を過ごします。この4年間はオリンピックのメダルを取ることだけに費やされます。
私の友人が日本女子柔道代表のメディカルサポートを行った際、トップクラスの選手になればなるほどどこを改善すれば強くなるかそれにはどうしたらいいのかしつこいくらいに聞いてきたそうです。また、ハンマー投げの室伏選手はありとあらゆる練習をやりつくしそれでももっと強くなるため鉄球を腰からぶら下げ動く練習をしたり、握力の訓練のために新聞紙を握りつぶしていたのは有名な話です。このようにトップを目指すためにはその道を突き詰めとことんやり抜かねばなりません。それができたものだけがトップアスリートとして活躍できるのです。体操の内村選手が中学生だった白井選手に練習の大切さを話した(矢内/寺野『12歳の約束』より)ことは有名ですし、シンクロナイズドスイミングの井村コーチはストイックに突き詰める強い心の大切さをインタビューで語っています。
われわれ医学の世界も同じ事が言えるのではないでしょうか?
大学病院に紹介となる患者は病態が難しく診断がつかない症例や高度な検査が必要な場合、専門的な手術を要する方たちです。これらの患者様の治療に全力を尽くしていくのがわれわれ大学病院の医師の役割であろうと思います。そのためにはより専門的な知識や技術が求められるのは当然です。部位による専門、疾患による専門、年代による専門・・・。アスリートのストイックな練習のように日ごろから専門性の高い知識と診療を意識して勉強、研修、学会活動をしていくことが必要です。
当科の外来は月間紹介状持参患者が増え周辺医療機関との連携が進んでいます。今後は経過が落ち着いた患者様を逆紹介することで外来をスリムにしさらに紹介を受けやすくするとともに専門的な診療の時間を多くとることでさらに医療の質の向上が期待されます。そのためには紹介する側される側がお互いにどのような治療をしているか十分理解することが大切と考えます。
今秋11月12日に病院全体の医療連携の会、11月26日に当科主催の医療連携の会があります。当院での専門的な医療をご理解いただくのと同時に逆紹介されてきた患者様の診療に役立つ情報提供を深めていく目的で会を催したいと考えます。可能な限りご参加していただきますようよろしくお願い申し上げます。
追伸
私、森本祐介は10月1日より中野区江古田にある総合東京病院に出向することとなりました。患者様をご紹介いただいた先生方には大変お世話になりました。転勤先でもご紹介をお受けすることは可能ですから今後とも相互の連携をお願いいたします。