ご挨拶

産婦人科診療科長の永石匡司です。
私どもは産婦人科領域全般にわたり、拝見いたしております。
外来部門は4階のレディスセンターで乳腺科や健診センターと同じフロアになりますので、女性にとっては安心した環境です。婦人科では子宮がん検診から超音波検査、採血、レントゲン検査などを常時行っております。子宮がん検診での異常が見つかれば、コルポスコピーによる診察で狙い組織診を行います。子宮筋腫や卵巣腫瘍が見つかれば、その後の治療方針を丁寧に説明いたします。悪性腫瘍の懸念があればMRIやCTなどの画像にて放射線科医師とともに評価いたします。不妊症の方には外来で子宮鏡(ファイバースコープ)や子宮卵管造影による精査を行います。
入院部門は8A病棟を中心として管理しております。良性疾患では腹腔鏡手術、子宮鏡手術などの内視鏡手術が約9割に遂行されています。昨年からはお腹に傷を作らない腹腔鏡手術vNOTES (transvaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)も開始していて好評です。また、不妊治療中や出張などで手術を急ぐ方は、1ヵ月以内での手術が計画可能です。子宮脱の手術は原則としてお腹に傷をつけない腟式手術を基本にしていています。悪性腫瘍はガイドラインに沿って子宮頸部がん、子宮体がんに対する広汎子宮全摘術や卵巣がんに対する骨盤内・傍大動脈リンパ節郭清術などを行っております。抗がん剤治療や放射線治療は入院の場合と外来通院の場合があります。
ここで新たな婦人科内視鏡手術である経腟的内視鏡手術vNOTESをご紹介いたします。この手術は管腔臓器を用いた内視鏡手術のことをいい、婦人科領域では腟を使って行う内視鏡手術となります。腹部に創をつけずに行いますので、より低侵襲な手術になります。これにより通常の腹腔鏡手術以上に術後の痛みは少なくなり、また腹部に創もなく、術後3日で退院となり、社会復帰も早まります。このようにメリットは大きな手術ですが、出産経験がない、手術既往がある、癒着があるなどの場合には手術が可能かどうかを判断して手術を決定いたします。もしも癒着が想定される場合には、最初に臍窩よりカメラで腹腔内を観察してから手術を行います(hybrid vNOTES)。もしもこの手術が困難な場合には、通常の腹腔鏡手術に切り替えます。当院では、経産婦人に限らず、未産婦人や帝王切開既往の場合でも、vNOTESの選択を考慮しています。患者様で、あるいは先生方で、この手術を希望される場合には、一度当院にご紹介していただければ幸いに存じます。窓口は産婦人科の責任者である永石の外来をご予約ください。
産科診療に関してご案内いたします。この春から産科の標榜を再取得いたしました。今後は皆様の要望にお応えできるように妊婦健診や羊水染色体検査、妊娠中の管理も行えるようにいたします。先々は分娩管理も視野に入れておりますが、現時点では妊娠中期までの対応となりますことをご了承ください。
当院の理念は、“病院は病者のためにある”すなわち“患者さんを早く日常生活に戻す治療“を実践することです。産婦人科としては、低侵襲手術を基本に考えております。
どうぞよろしくお願いいたします。
産婦人科 科長 永石匡司
