ご挨拶
消化器内科科長,内視鏡室長の今津博雄です。
消化器内科が担当する消化器疾患は大きく消化管疾患,胆膵疾患,肝疾患に分かれます。当科ではより専門的な診療を行うため,消化管,胆膵,肝臓グループの3つの診療グループで診療を行なっています。消化管グループは消化管癌(食道,胃,大腸癌),消化性潰瘍,炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病),消化管出血などの消化管疾患を担当し,胆膵グループは膵癌,乳頭部癌,胆管癌,胆嚢癌といった膵・胆道系腫瘍や胆石,急性膵炎・慢性膵炎といった良性疾患の診断と治療を行なっています。一般に,食道癌,胃癌,大腸癌といった消化管癌は早期に発見できれば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という手技でお腹を切らずに根治することが可能です。また,胆膵疾患では良性,悪性を問わず,内視鏡的逆行性胆・膵管造影(ERCP)関連手技及び超音波内視鏡(EUS)が診断のみならず治療に用いられます。つまり,これら消化管・胆膵疾患領域の診療には内視鏡が非常に重要な役割を担っています。
当院の理念は“病院は病者のためにある”です。病院では一人の患者様に対し,複数の診療科が集まり,また担当する医師や看護師だけでなく,様々な職種が集まってチーム医療を行います。このチームの一員には患者様や家族が含まれます。私たちはチームの一員である患者様と共に考え,そして安全で質の高い医療の提供に取り組んで行きたいと考えます。
消化器内科 科長 今津 博雄
概要
消化器内科は,消化管グループ,胆膵グループ,肝臓グループの3つグループで構成され,より専門的な診断,治療を行っております。
消化管グループ
胃癌に対する内視鏡切除の権威である後藤田卓志教授を筆頭に,食道・胃・大腸癌に対する内視鏡診断・治療(内視鏡的粘膜下層剥離術)を柱に診療を行っています。その他,消化管癌に対する化学療法,炎症性腸疾患などの難治性良性疾患なども診療しております。また,私たちの持つ高い内視鏡技術を生かして,消化管出血等の急性期疾患に対する最後の砦としての機能も果たしております。

胆膵グループ
胆道(胆管,胆嚢)と膵臓疾患の診断,治療を診療ガイドラインにそって専門的に行っています。対象疾患は胆管癌(肝内,肝門部領域,遠位),胆嚢癌,膵臓癌に加えて十二指腸乳頭部癌などの悪性疾患や,胆嚢結石症,総胆管結石症,胆嚢ポリープ,胆嚢腺筋腫症などの良性疾患,さらに緊急処置が必要な急性胆嚢炎,急性胆管炎も積極的に治療しています。まず外来で行うことのできる血液検査,腹部超音波,CT,MRCP,超音波内視鏡などの画像診断,上部消化管内視鏡を行い,診断に苦慮した場合は入院で超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診や逆行性膵胆管造影(ERCP)による組織検査,胆道鏡を用いた診断や治療も行っています。

肝臓グループ
びまん性肝疾患として急性肝炎,慢性肝炎(ウィルス性肝炎,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性胆管炎,原発性硬化性胆管炎,アルコール性肝炎,非アルコール性脂肪性肝炎など),肝硬変症,門脈圧亢進症やその関連疾患(食道胃静脈瘤,肝性浮腫・胸腹水,肝性脳症など),さらに腫瘍性疾患として肝細胞癌やその他の良性腫瘍を対象に診療にあたっております。
新病院移転時に超音波センターを設立し,CTやMRIのみならず最先端の超音波機器を設置し,総合的な画像診断により,精密で超早期診断が可能となりました。さらに携帯型超音波装置を用いたベッドサイドエコーや,救急外来診察における検査プランのスマート化,造影超音波を用いた癌治療の治療戦略,早期治療効果判定,合併症の評価も行っています。

禁煙外来
診療時間・場所
診療時間 |
土曜日 午前9時〜正午 |
診療場所 |
3階 循環器内科外来 |
※受診をご希望される方は,下記事項を良くお読みいただき,予約センター でご予約をお願いいたします。
保険診療の対象
- 直ちに禁煙しようと考えている方
- スクリーニングテスト(TDS)
※3によりニコチン依存症と診断される方
- ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
- 禁煙治療を受けることに文書で同意していただける方
- 過去1年以内に健康保険を使った禁煙治療を受けていない方
ご注意事項(必ずお読みください)
- 上記条件にあてはまらない方は,健康保険での禁煙外来は受診できません。
- バレニクリンは,眠くなる副作用が報告されています。禁煙治療中(12週間)は自動車等の運転できません。
- 禁煙治療期間12週間を超えた場合は,治療開始日から1年経過するまで再度の健康保険を使用した禁煙治療は受けられません。継続をご希望の場合は,自費診療となりますので,循環器内科担当医にご相談ください。
スクリーニングテスト
問1 |
自分が吸うつもりよりも,ずっと多くタバコを吸ってしまうことがある。 |
問2 |
禁煙や本数を減らそうと試みて,できなかったことがある。 |
問3 |
禁煙したり,本数を減らそうとしたときに,タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがあった。 |
問4 |
禁煙したり,本数を減らしたりしたときに,次のどれかがあった。 (イライラ,神経質,落ちつかない,集中しにくい,ゆううつ,頭痛,眠気,胃のむかつき,脈が遅い,手のふるえ,食欲または体重増加) |
問5 |
問4でうかがった症状を消すために,またタバコを吸い始めることがあった。 |
問6 |
重い病気にかかったときに,タバコはよくないとわかっているのに吸うことがあった。 |
問7 |
タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても,吸うことがあった。 |
問8 |
タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても,吸うことがあった。 |
問9 |
自分はタバコに依存していると感じることがあった。 |
問10 |
タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かあった。 |
特徴・特色
私たち消化器内科では,消化管疾患及び胆膵疾患の内視鏡診断と治療において日本トップクラスの技術と経験を持つ指導医とそのグループが診療に当たっており,これが私たち日本大学病院消化器内科の特色です。肝臓グループでは肝癌に対する肝動脈塞栓術,経皮的ラジオ波焼灼療法,化学療法を積極的に行っています。ウィルス性肝炎には直接作用型抗ウィルス製剤や核酸アナログ製剤による治療を行い,肝機能の改善と肝細胞癌の発癌抑制を目指しています。また,肝硬変症に合併する門脈圧亢進症(食道・胃静脈瘤)に対する内視鏡治療では,特に難治例に対し透視下硬化療法を行い,緊急を要する食道・胃静脈瘤出血にも対応しています。
年齢調整による癌の罹患数は2010年前後まで増加しその後横ばい,死亡数は1990年代半ばをピークに減少しています。しかし,この傾向の中で罹患数,死亡数ともに増加しているのが膵癌です。膵癌を早期発見する唯一の方法は危険因子(糖尿病,肥満,膵疾患,タバコ,家族歴など)をピックアップし,症状がないうちから精査を行うことです。私たち消化器内科では小膵癌の検出に最も感度の高い超音波内視鏡を用いて膵癌の早期発見に注力しています。そして消化器外科と緊密な連携をとりながら外科療法,化学療法といった治療を行い,膵癌の予後改善を目指しています。