胃がんの診断
- 胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ菌が感染した慢性胃炎の胃粘膜から発生します。胃癌の診断は内視鏡検査と生検組織診断で確定します。
- 進行がんは比較的発見しやすいですが、早期胃がんは発見が難しいこともあります。
- 当院では最新の内視鏡機器を導入し、また日々カンファレンス等で胃がんの診断を議論し検査精度の向上に努めています。
胃がんの治療方針
- 胃がんには病期(ステージ)によって治療方針がかわります。
- 病期診断には、腫瘍の大きさや深さ(深達度)、リンパ節への転移、他の臓器への転移によって診断します。
- 病期診断にてよって治療法がかわります。早期の胃がんのなかで一定の条件(深達度や分化度(悪性度))の満たせば内視鏡治療を行うことが可能です。
- 内視鏡治療が困難な場合は手術治療がメインとなります。最近では手術前に抗がん剤治療を行ったり、手術後に再発予防として抗がん剤治療を追加することもあります。
- 病期診断にてステージ4と診断された場合は抗がん治療がメインとなります。最近では抗がん剤治療の進歩によって著明な改善後に手術が可能となる症例も経験しております。
- 適切な病期診断をつけることは非常に大切です。胃がんと診断がついた場合は、追加検査としてCT検査やPET検査を行っていただきます。また診断が困難な場合は腹腔鏡手術による審査腹腔鏡という手術を行うこともあります。
- 審査腹腔鏡は、腹部に3つの孔(あな)をあけて、腹腔内にカメラをいれて胃がんの広がりの状態を確認します。腹腔内に広がる播種病変をとってきたり、腹腔内を洗浄して胃がんの散布状況を確認し、正確な診断をつけ今後の治療方針を決定します。
早期胃がんの内視鏡診断
- 手術前には正確に胃癌の範囲を診断する必要があります。しかし、背景の胃炎により癌の範囲が分かりにくいことがあります(図1a)。
- 正確な範囲診断を行うために、青い色素(インジゴカルミン)の散布を行っています。インジゴカルミンは病変の微細な凹凸を際立たせるため、粘膜表面の構造が観察しやすくなります(図1b) 。
- 胃がんを疑った場合には、病変を生検し病理組織検査を行い診断を確定します。
- また、新しい技術である拡大内視鏡とNBIシステムを用いた内視鏡検査も範囲診断に有用です。病変を拡大して観察することで細かな血管や粘膜の構造を確認することができます。
- より正確に診断することで、がんを必要以上に大きく切除しすぎることや、逆に小さく切除しすぎてがんを取り残す危険を防ぐことができます。