開頭手術
開頭手術は脳神経外科治療の根幹です。すべてを血管内治療に置き換えられる、というものではなく患者さんの状況にあわせていずれが相応しいかを検討する必要があります。脳動脈瘤の中にも、瘤の場所や性質、患者さんの状況によっては、開頭でしか手術できないものや、開頭手術の方が、根治性が高く、安全性が高い場合もあります。どちらの方法が患者さんに適しているのかを詳細な検査データを検討し、より安全で有効な治療を提案し、提供できることが日大脳外科の強みと言えます。

開頭手術の課題となる頭部の傷においても、術後の創部や外した頭蓋骨をできるだけ手術前の状態に近づける美容や整容を考え取り組んでいます。切開線が毛髪で隠れる範囲に収まるようにするだけでなく、創部にかかる張力が分散され、減弱できる皮膚切開方法をとり入れ、創部周囲の頭髪の生え方を考慮し、形成外科や小児脳外科で用いられるzigzag皮膚切開で対応しています。
救命救急センターに搬送される脳外科疾患
交通事故や転倒・転落などのアクシデントによって、脳に外傷を受け、脳損傷を起こしている状態が頭部外傷です。頭部外傷以外では、脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血などで、救命に一刻を争う患者さんが日々救命救急センターに搬入されます。
脳梗塞は「t-PA(組織型プラスミノゲン・アクティベータ)静注療法」という発症から4.5時間以内に投与する必要のある、詰まった血栓を溶かす点滴治療が標準的治療になったことで、早く治療開始しなければならない疾患となっています。しかしながら、t-PA静注療法は再開通率が低いこと(およそ30-40%)や適用時間が限定されていることで、適応患者も限られてしまいます。t-PA静注療法で症状の改善が認められない場合や適応外である患者さんに対しては、血栓回収療法があります。カテーテルを用いて詰まった血栓を回収し、閉塞した血管を再開通させる脳血管内治療です。脳卒中学会ガイドラインでは、発症6時間以内に血栓回収を開始することが強く勧められており、6時間以内であっても治療開始及び再開通までの時間が早いほど良好な転帰が期待できます。どちらにしても発症してしまった場合は、一刻も早く適切な治療ができる施設を受診することが重要です。東京都の中心に位置し、交通に便利な日大病院は、千代田区内唯一の救命救急センターです。脳外科から脳外科専門医が2名センターに所属しており、救命救急センター医師と連携して治療にあたっています。
予防医療
脳動脈瘤は、脳血管がこぶ状に膨らんだ病変で、多くは原因不明です。破裂していない状態(未破裂脳動脈瘤)では、ほとんど症状をきたすことがないため、脳ドックなど画像検査で発見されることが多いのが特徴です。未破裂脳動脈瘤が大きくなってくると瘤の壁が薄くなったり、高血圧などの生活習慣病などが誘因となって破裂したりすると、くも膜下出血を引き起こします。また、破裂しなくてもさらに大型化すると周囲の神経組織の圧迫により症状(ものが二重に見える、視力が低下するなど)をきたすこともあります。
破裂動脈瘤や脳血管奇形など以外で起こる脳梗塞や脳出血の多くは、たまたま運悪く起こるわけではありません。生活習慣の積み重ねが要因となることがほとんどです。予防医療とは、生活習慣病を未然に防ぎ、罹ってしまった場合も生活習慣を改善することで、取り返しのつかない事態に陥ることを未然に防ぐことです。日大病院健診センターによる脳ドックの結果説明は、当診療科の脳外科専門医によって行われています。
スポーツ頭部外傷
頭部外傷には、急性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、脳振盪、脳挫傷・脳内血腫、びまん性軸索損傷、慢性硬膜下血腫、頭蓋骨骨折などがあります。それらの多くは、交通事故や転倒などの事故によるものですが、そのようなアクシデントによる緊急対応(救命センターなど)での治療だけでなく、ラグビーなどスポーツに関連したスポーツ頭部外傷の外来診療をしています。
スポーツ固有の脳損傷には、急性硬膜下血腫と脳振盪があります。これらは、外からの見た目でわかる損傷ではなく、頭の内部で脳の急激なゆすれによって生じるものです。日大脳神経外科講座では、長年にたり神経外傷分野を研究や臨床で牽引しています。外来は初診から電話で予約が可能です。
歯科・口腔外科の先生方へ
隣接した日大歯学部付属歯科病院の口腔外科と連携し、三叉神経痛に対する治療を行っております。外科治療以外にも麻酔科医による外来診療(ペインクリニック)もあります。歯科・口腔外科関連疾患が除外されても歯痛、顔面の痛みが持続するなど三叉神経痛が疑われる苦痛を有する症状の方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。