急性硬膜下血腫　きゅうせいこうまくかけっしゅ

頭部外傷により、脳と頭蓋骨の間に出血するものの中で、特に脳を包む硬膜の下に急激に出血をきたしたものをいいます。脳の表面に存在する動脈や静脈が頭部外傷により損傷し、出血をきたします。受傷直後から意識障害をきたす方や、「talk & deteriorate」といって、受傷直後は意識があり話せる状態でも、徐々に意識が悪くなる方もいます。止血剤などの点滴で治療することもありますが、出血が多いものやそれに伴って意識が悪い患者さんでは緊急の手術が必要になります。出血の部位や量によっては麻痺や強い意識障害が後遺することがあります。

慢性硬膜下血腫　まんせいこうまくかけっしゅ

高齢者の方に多い、頭部外傷に伴う頭蓋内出血です。「コツンと頭をぶった」「尻餅をついた」などの軽微な頭部外傷により、脳の表面の血管からわずかに出血をきたし、2週間〜1、2ヶ月かけて血腫が徐々に増大します。頭痛などの症状のほかに「歩いているとどちらかに寄ってしまう」「認知症が急に進んだ」などの状態を呈し、気づかれることがあります。薄い血腫であれば、漢方や止血剤などを内服してもらい、外来で経過を見ることもありますが、血腫の多いものは、頭蓋骨に穴を開けて血を抜く手術、穿頭術が必要になることもあります。麻痺などの症状は、手術などにより改善することもありますが、高齢者の患者さんでは後遺症をきたすこともあり、早期の治療介入が重要です。