眼科
診療科からのお知らせ
- 臨床研究に関する情報公開のお知らせ
- アイセンター長 中静裕之副病院長の記事が「名医を探せ!」に掲載されました(毎日新聞出版発刊、毎日ムック「病院最前線2025」)
- 令和6年9月1日から電話での予約変更方法が変わります
- 中靜副病院長が執筆した「術後眼内炎パーフェクトマネジメント」が出版されました

概要
日本大学病院アイセンターは、眼科領域の中でも網膜・硝子体疾患いわゆる眼底疾患の診断と治療に力を入れています。外来担当医は、全員が網膜・硝子体疾患の専門知識を持っていますので、 毎日が網膜・硝子体疾患の専門外来日となっています。眼底疾患の診断のための検査機器が多数あり、その検査を担当する視機能訓練士も多数在籍しております。初診の患者様は、診察後は、必要に応じてその疾患を専門に治療する専門外来を予約にて受診して頂きます。眼底疾患の治療としては、網膜・硝子体手術を主とする外科的治療とレーザー治療や眼内注射を主とする内科的治療がありますが、いずれも国内トップクラスの症例数となっています。また、網膜疾患のみならず白内障、涙道疾患・視神経疾患、眼形成、角膜疾患、緑内障、につきましても専門外来にて診断、治療を行っております。
特徴・特色
眼科外来のご紹介
通常の眼科診療所にある視力検査、視野検査以外に、網膜・硝子体疾患の診断に必要な検査機器が充実しており、蛍光眼底造影検査(蛍光色素を含んだ造影剤を用いて、網膜や脈絡膜の血管の血流の状態や病巣を検出する検査)の装置、光干渉断層計:OCT(波長の長い測定光を当てて、眼底の微細構造を3次元に画像化する装置)、非侵襲的に血管構造を抽出できる新しい技術である光干渉断層血管撮影(OCT angiography:OCTA)の装置も導入しております。そのほかにも、前房水の蛋白濃度を定量的に評価するレーザーセルフレアメータ、網膜の局所的は感度を測定するマイクロペリメータ(MP-3)、網膜の電気的な反応を測定する網膜電図(ERG)など特殊な機器も導入しております。OCT、OCTA以外のこれらの検査は予約にて行いますが緊急性のある疾患では、当日にも行っております。
眼内注射(抗VEGF注射)
滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対する治療は、抗VEGF注射となりますが、アイセンターでは、平日は午前と午後、土曜日も午前に、それぞれ約20症例を予約にて当日の注射担当医が行っております。緊急性のある症例では、当日にも行っております。定期的に抗VEGF注射を必要とする症例には、診察と抗VEGF注射を同日に行い、患者様の来院回数が少なくできるようにしております。抗VEGF注射は外来の清潔な処置室で行われるため、移動も少なく、また治療の際は、ベットではなく、リクライニングシートのため、靴の脱ぎ履ぎの手間もなく、横になったり立ち上がったりもなく、患者さまの負担が軽減できています。
抗VEGF注射 リクライニングシート
専門外来の紹介
黄斑外来
黄斑外来では、カラー眼底写真、眼底自発蛍光、OCT、OCT angiography、インドシアニングリーン蛍光造影、フルオレセイン蛍光眼底検査など眼底画像を最大限活用し、診断が確定できていない症例や診断後の治療方針が決定できない症例について診察し、的確な診断と適切な治療を行っています。症例の多くは、滲出型加齢黄斑変性や中心性漿液性脈絡網膜症ですが、加齢黄斑変性では、少ない治療回数で最善の効果が得られる治療を目指し、これまでの抗VEGF薬硝子体注射では効果に限界がある場合には、新規抗VEGF薬への切り替え、wAMDの特殊型であるポリープ状脈絡膜血管症に対しては、抗VEGF薬硝子体注射だけでなく、光線力学的療法(PDT)併用療法を行うこともあります。また、中心性漿液性脈絡網膜症に類似した加齢黄斑変性に対してもPDTを行うことがあります。中心性漿液性脈絡網膜症では、通常のレーザー光凝固が不可能な症例には、保険適応ではありませんが、PDTを行っています。これら以外にも黄斑疾患のなかで、国内だけでなく海外の学会や論文などで報告された新たに定義された病巣や病態に対しても、これまでの症例のデータを解析し、新たな診断方法や治療方法を検討しています。
ジストロフィー外来
遺伝性網膜硝子体変性疾患の診断、原因不明で遺伝性か後天性か判断がつかない疾患、自己免疫網膜症、急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)などの後天性変性疾患の診断を主に行っております。治療法がない疾患も多いですが、その場合は①現在行われている研究、治験の紹介、②社会福祉(身体障害者手帳、難病申請、障害年金など)の紹介、③ルーペや拡大読書器、スマホやiPADのアプリの紹介などを行う当院のロービジョン外来への橋渡しを行っています。お気軽にご相談ください。
サージカル(手術)外来
当院では手術外来といって、手術を考えられている方が多く受診される専門外来をもうけております。手術すべきか迷うような方や、白内障難症例、黄斑上膜の視力良好例、難治性黄斑円孔、増殖糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離なども含めて診療しております。視力が良好でも歪みの訴えが強い黄斑上膜の患者様なども手術相談させていただいております。この外来は手術相談なので受診される、皆さんが手術を受けることにはなりませんので、ご安心ください。
血管閉塞外来
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、傍中心窩毛細血管拡張症等疾患を主に診察しています。当外来は内科と連携して加療を行っています。糖尿病網膜症はもとより、網膜静脈閉塞症は、高血圧、動脈硬化等が発症に関与するとされており、眼の加療のみでなく、全身状態も重要であると考えられています。そのため必要に応じ、眼科外来にて内科医師による診察も行っています。眼科的加療といたしましては、蛍光眼底造影検査、OCT-Angioglaphyなどの画像検査により黄斑浮腫の原因を検索し、網膜光凝固術、抗VEGF注射、ステロイド硝子体注射などを用い加療を行い、硝子体手術が必要な場合もサージカル外来との連携をとり適切な治療を提供させていただいています。
涙道外来
「涙道外来」では流涙を主症状とする涙道閉塞の診断、最先端のシステムを用いた治療を行っています。流涙とは、涙の通り道が詰まることで涙があふれてしまう病気です。涙は、涙腺でつくられ、眼の表面(角膜)を潤して瞼の鼻側にある上下の涙点に吸い込まれます。涙点に入った涙は上下の涙小管を通って総涙小管で合流し、涙嚢という袋に入ったあと、涙嚢から鼻涙管へとすすみ、下鼻道にある開口部へと出ます。涙の通り道のどこかで閉塞してしまうことにより、本来であれば鼻に流れ出る涙が外にあふれてしまうことにより、症状を引き起こすものです。流涙症状は非常に煩わしく、自動車や自転車の運転に支障がでるような視機能低下をきたす可能性を指摘されています。 また接触性皮膚炎や急性涙嚢炎(顔面が腫れあがるような大変つらい病気です。)の原因になると言われ、近年では治療が勧められています。涙目は切実な問題なのです。当外来では涙道閉塞による流涙の治療を専門的に行います。
主には、涙道内視鏡を用いた涙管チューブ挿入術による治療法をおこなっております。極細の涙道内視鏡を用いて涙道を観察しながら閉塞部を開放し,再閉塞予防のために涙道チューブを一時的に留置する方法です。(チューブは数か月で抜去します。)9割以上の方に症状の改善を自覚いただいています。
局所麻酔・日帰り手術となっています。術後は日常生活での制限はありません。涙道チューブ留置後は、月1回程度涙道の洗浄を行い、約2-3か月後に外来で抜去します。
神経眼科
神経眼科では、小児を含む斜視・弱視疾患、視神経疾患や眼瞼痙攣・眼瞼下垂等、眼科領域の神経筋疾患について、 経験豊富な医師が、診断・治療を行っております。
分野の性質上、内科(特に神経内科)、あるいは脳神経外科など、他科との連携が必要となることも多く、また、入院加療が必要な場合もあり、大学病院ならではの診療が可能です。
また、Goldman視野計やHumphrey視野計、Hessコージメータなど、神経眼科領域に必要な検査機器を取り揃えております。また、小児の斜視・弱視においては、視能訓練士と連携を取りながら、弱視訓練等取り組んでおります。
手術に関しては、眼瞼下垂や内反症、斜視の手術を行っており、日帰りでの手術も可能です。
その他、両眼のまぶたが痙攣して開けにくくなる眼瞼痙攣と、片眼のまぶたに加え片側の顔の筋肉が痙攣する片側顔面痙攣の治療に、 ボツリヌス菌によって作られるボツリヌス毒素(ボトックス®)が有効な治療薬として用いられています。 まぶたや顔の筋肉に直接注射をしますが、認可を受けた施設と資格を持った医師しか行うことができません。当外来では資格を有する医師が診察から治療まで担当いたします。
主な対象疾患と診療内容
- 加齢黄斑変性症
- 眼底の中心にある黄斑が加齢等の原因で障害される疾患です。自覚症状は視力低下や視界の中央の歪みや暗く見えるなどで、様々な眼底画像検査で診断します。滲出型と萎縮型の2つの型がありますが、多くは進行防止の治療が必要となる滲出型です。滲出型には黄斑部を障害する新生血管に対し抗VEGF薬硝子体内注射や光線力学的療法の治療があります。萎縮型は進行は緩やかで経過観察となります。 詳しく見る
- 中心性漿液性脈絡網膜症
- 眼底の網膜の下に水分が溜まる漿液性網膜剥離をきたす疾患です。漿液性網膜剥離は眼底中央に存在することが多く、自覚症状は視力低下や視界の中央の歪みや暗く見えるなどで、40歳以上の場合は加齢黄斑変性との鑑別が必須で、眼底画像検査で診断します。漿液性網膜剥離は自然に消失することも多いので、はじめの数か月は経過観察となりますが、消失しない場合にレーザー治療を行います。 詳しく見る
- 病的近視における脈絡膜新生血管
- 病的な強度の近視により眼球の奥が引き伸ばされることで眼底の中央の黄斑部に脈絡膜新生血管が発症し、網膜の出血や浮腫を引き起こす疾患です。 詳しく見る
- 網膜色素線条
- 眼底の網膜の下に色素線条がみられる疾患で、眼底の中央の黄斑部に脈絡膜新生血管を合併すると視力低下やゆがみなどの自覚症状が出現します。 詳しく見る
- 黄斑部毛細血管拡張症
- 眼底の中央にある黄斑部の網膜の毛細血管が拡張する疾患で網膜の浮腫を生じます。 詳しく見る
- 点状脈絡膜内層症(PIC)
- 軽い近視眼の40歳以下の女性に発症することが多く、眼底の網膜の下に複数の黄白色の小型の病巣を認める疾患です。 詳しく見る
- 多発消失性白点症候群(MEWDS)
- 20〜30歳の近視眼の女性に発症することが多く、発症早期に眼底に多数の白斑を認める疾患です。 詳しく見る
- 急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)
- 若年女性に発症することが多く、急激な視力低下や視野欠損をきたす眼底の疾患です。 詳しく見る
- 白内障
- 水晶体に濁りが生じた状態です。外傷や全身疾患が原因の場合もありますが、多くは加齢によるものです。 詳しく見る
- 特発性黄斑円孔
- 硝子体の加齢が原因で、中年以降の女性に多い病気です。 詳しく見る
- 黄斑上膜
- 原因の多くは、硝子体の加齢変化によって黄斑部の網膜の前にセロファン状の膜ができる病気です。セロファン状の膜の下にある網膜に「しわ」が形成されるため、歪んで見え、視力も低下します。分層円孔や、黄斑偽円孔を伴っている黄斑上膜や、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎などが原因で発症する黄斑上膜もあります。治療は、黄斑上膜を剥離する硝子体手術を行います。 詳しく見る
- 硝子体出血
- 硝子体出血とは、様々な原因によって硝子体中に出血がたまった状態です。 詳しく見る
- 網膜剥離(裂孔原性網膜剥離)
- 加齢や近視により網膜に円孔や裂孔ができ、それらを通し硝子体液(目の中の水)が網膜の裏にまわり網膜がはがれる病気です。 詳しく見る
- 網膜静脈閉塞症
- 高血圧などの動脈硬化の素因がある人に起きやすい眼底出血です。静脈の閉塞する部位によって網膜中心静脈閉塞症と、網膜静脈分枝閉塞症に分けられます。出血と黄斑浮腫によって視力が低下します。黄斑浮腫に対しては、抗VEGF薬硝子体内注射、ステロイドテノン嚢下注射等の加療を行います。その他にも、網膜の血流が灌流しない領域がある場合には、レーザーによる加療を行うこともあります。 詳しく見る
- 糖尿病黄斑浮腫
- 糖尿病が原因で起こる糖尿病網膜症では、血管が脆弱になることによって、毛細血管瘤が多発し、結果的に黄斑浮腫が発生し視力が低下することがあります。 詳しく見る
- 網膜細動脈瘤
- 高血圧などの動脈硬化の素因があり、高齢の方に起きやすい疾患です。 詳しく見る
- 網膜動脈閉塞症
- 血栓、塞栓等により網膜の動脈が閉塞し、急激な視力低下、視野欠損を自覚します。 詳しく見る
- 遺伝性網膜疾患
- 生まれつきの遺伝子変異によって、主に視細胞や網膜色素上皮細胞が障害されてしまう疾患群です。 詳しく見る
- 視神経炎
- 視神経に炎症を生じ、視力低下や視野障害をきたす疾患です。原因としては、特発性が最も多いですが、その他に多発性硬化症や視神経脊髄炎という脳や脊髄、視神経に異常をきたす疾患によるものもあります。診断には、視力検査、視野検査に加え、血液検査や頭部MRIなどを行います。治療は、主にはステロイド点滴治療であり、入院での加療となります。 詳しく見る
- 眼球運動障害
- ものが二重に見える状態です。 詳しく見る
- 涙道閉塞症
- 涙は目頭にある涙点から涙小菅、涙囊、鼻涙管を経て鼻腔に排出されます。 詳しく見る
- 涙囊炎
- 鼻涙管閉塞に伴い排出されなくなった涙が涙囊に溜まり、細菌が繁殖し炎症を起こす疾患です。 詳しく見る
- 先天性鼻涙管閉塞症
- 先天的な鼻涙管閉塞により鼻腔とつながっていない疾患で、新生児期から見られます。 詳しく見る
- 裂孔原性網膜剥離
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- 糖尿病網膜症
- 糖尿病の合併症の一つで、初期は無症状で経過する 詳しく見る
- 黄斑円孔
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- ぶどう膜炎
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- 黄斑ジストロフィー
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- 眼瞼下垂
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診療実績
2023年度の診療実績
- 治療実績
-
- 網膜光凝固術
- 775件
- 光線力学療法
- 192件
- 硝子体内注射
- 10872件
- 網膜硝子体手術(白内障併施)
- 596件
- 網膜復位術
- 48件
- 白内障手術
- 1116件
- 緑内障手術
- 13件
- 涙道手術
- 16件
- 眼瞼下垂・斜視
- 13件
2022年度の診療実績
- 治療実績
-
- 網膜光凝固術
- 706件
- 光線力学療法
- 232件
- 硝子体内注射
- 10217件
- 網膜硝子体手術 (白内障手術併施含む)
- 605件
- 網膜復位術
- 65件
- 白内障手術
- 1099件
- 緑内障手術
- 8件
2021年度の診療実績
- 治療実績
-
- 網膜光凝固術
- 836件
- 光線力学療法
- 274件
- 硝子体内注射
- 9267件
- 網膜硝子体手術 (白内障手術併施含む)
- 625件
- 網膜復位術
- 60件
- 白内障手術
- 1099件
- 緑内障手術
- 5件
2020年度の診療実績
- 治療実績
-
- 網膜光凝固術
- 767件
- 光線力学療法
- 328件
- 硝子体内注射
- 8716件
- 網膜硝子体手術 (白内障手術併施含む)
- 551件
- 網膜復位術
- 54件
- 白内障手術
- 1133件
- 緑内障手術
- 5件