膵癌は腹痛、背部痛、黄疸、体重減少などで発見され、小さい腫瘍で発見されても周囲の血管や神経叢に浸潤しやすく、切除が困難であることが多い予後不良な疾患です。そのため小さな膵癌をみつけることが重要ですが、精度があがった画像検査でも指摘できない病変もあることから、私達はCT、MRCPと腹部超音波は組み合わせたリアルタイムナビゲーションシステムを用いて総合画像診断を行っています。消化管ガスで観察が難しい場合は飲水法を用いて腹部超音波を行うこともあります。膵管内乳頭粘液性腫瘍など膵癌のリスクが高い方には、超音波内視鏡で膵臓全体をくまなく観察するようにし、診断に苦慮した症例には超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診を行い確定診断しています。切除不能膵癌に対しては積極的に化学療法や放射線療法も行っています。治療効果を画像検査や腫瘍マーカーで判断し、副作用が強い場合には早めに薬剤を変更するなどして無理のない治療を心掛けています。また疼痛に対してはペインクリニックや緩和ケア看護師と連携をとり、しっかりとした疼痛コントロールを行っています。
腹腔動脈へ浸潤した切除不能膵癌
超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診