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日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2021年9月号

初秋の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 

平素より、多数の患者さまをご紹介いただきありがとうございます。 

今回は視能訓練士 山野真弓が多極所 ERG についてお伝えします。 

多極所 ERG は、網膜中心 40°を61分割した部位の錐体反応をそれぞれ測定することができます。 

網膜の損傷部位が中心部位に限局している場合は、全視野 ERG では正常に測定されてしまう事がありますが、多極所 ERG では異常波形を検出することができます。 

分割パターンは61だけではなく、37・103分割にも変更することが可能ですが当院では61を選択しています。 

多局所 ERG が威力を発揮するのは、眼底所見は正常ですが視力低下をきたす症例で、代表的な疾患に急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)が挙げられます。視力低下、視野異常がみられますが、眼底には異常所見がみられない。そのような場合に多極所 ERG を行ってみますと、視野の異常と一致した部位の波形の低下がみられ、また OCT では Elipsoid zone の不明瞭化がみられ、それらが診断の決めてとなります。 

AZOOR の他にも多発消失性白点症候群(MEWDS)、オカルト黄斑ジストロフィなども確定診断に多局所 ERG が活躍する疾患です。 

しかし困ったことに、この検査は非常に ORT 泣かせなのです。なぜならば、この検査は非常に微弱な電位を扱うのでノイズの混入が検査データに与える影響が大きく正確なデータを得るのが難しいのです。瞬目、ちょっとした体動、多少の電極のフィッティングのずれ、検査室の環境などをうまくコントロールしてはじめて信頼性のあるデータが得られます。

よって私たちはメーカーの方のアドバイスをいただきながら、細心の注意を払って信頼性のある検査結果が得られるように、検査を行っています。 

これからも先生方が正確な診断ができますように、また患者さんのためにも信頼性の高い検査結果の提供を目指し、視能訓練士一同、日々精進していこうと思います。 


《左眼 AZOOR の多極所・全視野 ERG 》 

全視野 ERG は正常波形ですが、多局所 ERG では左眼の波形の低下がみられます。


右眼  左眼 


 

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