平素より整形外科センターに患者さまをご紹介いただき、まことにありがとうございます。整形外科センター長の上井 浩(うえい ひろし)です。今回は頚椎人工椎間板置換術(artificial disc replacement)を紹介させていただきます。
当院では頚椎人工椎間板置換術は2021年度から導入が始まりました。痛みの原因となっている椎間板ヘルニア(図A,B)や骨棘(こつきょく)を切除して、人工の椎間板に置換(図C,D)する手術法です。適応となる疾患は、頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症・頚椎症性脊髄症になります。従来では頚椎前方固定術を行っていた症例の一部が人工椎間板置換術の適応になります。この手術法の利点は頚椎の可動性が温存できることです。元の椎間板と同じような動きをするように設計されています。頚椎を固定することによる弊害である固定隣接椎間障害(こていりんせつついかんしょうがい)の予防が期待されます。また、腸骨からの採骨も不要になりました。本邦では導入が始まって間もないですが、海外では10年以上の歴史がある手術機器です。今後は広く普及することが予想されます。すべての頚椎疾患に適応があるわけではないのですが、頚椎の手術適応があると診断された患者さんには、ぜひ御相談に来院されることをお勧め致します。
整形外科センターでは最新の機器による手術を提供し、患者様の健康管理の一翼を担えるように全力で取り組んでいきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。