平素より整形外科センターに患者様をご紹介していただきありがとうございます。
整形外科医局長を務めさせております藤巻 裕久(ふじまき ひろひさ)と申します。令和3年4月より日本大学病院に赴任し、あっという間に2年が経過しました。2019年より始まった新型コロナウイルス感染拡大以降、入院時に必ず行っておいた新型コロナウイルスのPCR検査も2023年5月より中止となりました。患者さんにかかる負担は軽減できるようになりましたが、完全に感染収束を迎えたわけではなく、当センター医師・スタッフはこれからも新型コロナウイルスに慣れることなく、患者さんや地域の先生方に安心していただけるように努めていきたいと思っております。
僭越ながら私の専門としている分野についてお話したいと思います。わたくしの専門は人工股関節と人工膝関節置換術・膝関節周囲骨切り術を専門に行っております。今回は人工関節についてお話させていただきます。人工関節に関しましては機械の進歩もあり、術後臨床成績は安定し、長期成績も良好となってきました。現在では、患者さんの満足度をどのように上げるかが重要視されています。近年、身体活動がメンタルヘルスや生活の質を改善することが報告され、健康の保持増進に対するスポーツの重要性が再認識されています。さらに、高齢者のスポーツ人口も増加傾向となり、人工関節置換術後のスポーツ活動に対する関心が高まっています。そのため当院では人工関節置換術後にスポーツ復帰も可能になるように努力し、患者さんを支援しております。
術後のスポーツ活動を可能にするため、当院では股関節に関しては前外側侵入による筋腱完全温存人工股関節置換術を行っています。そのため、術後の脱臼危険肢位がなく、リハビリも早期に導入できており、入院期間も片側であれば平均10日間、両側でも平均15日間と以前より短縮されております。人工膝関節では、以前は膝関節の前十字靭帯機能は再現できない人工関節を使用するのが一般的でした。しかしながら、当院では前十字靭帯機能を残した人工膝関節置換術を行うことで、より正常膝に近い人工膝関節置換術を行うことができるようになっております。人工膝・股関節置換術においてはより患者満足度の高く、スポーツ活動を支援する手術が可能であると自負しております。
現在はHigh impactなスポーツである野球・サッカー・ラグビー・スカッシュなどは行ってはいけないと指導しますが、登山・ゴルフ・水泳・テニス・スキー・ジョギング・ダンスなどは許可しています。患者さんは、人工関節置換術後のスポーツ復帰はできないという認識が強く、あきらめ、痛みを我慢しながら手術を受けない方もいらっしゃいます。そのようにお困りの患者さんがいらっしゃいましたら、可能なスポーツも含め当院で説明させていただきますので、いつでもご紹介いただければ幸いです。
末筆となりますが、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。今後ともよろしくお願いいたします。