メインコンテンツへスキップ

日本大学病院

医療関係者の方へ
ニュースレター

2023年9・10月号

患者さんにとって苦痛の少ない内視鏡検査を目指して

 

内視鏡領域において日本は世界をリードする存在となっております。診断においては、食道、胃、大腸内視鏡検査における拡大内視鏡分類や超拡大内視鏡などの診断学が生み出され、また治療においてもESDやPOEM、ARMSなど様々な手技が日本から開発され臨床応用されております。

しかしながら、患者さんの苦痛軽減という観点ではまだまだ改善の余地があるかと思います。日本には、痛みに対して耐えるのが美徳とされる文化があり、お産の際の無痛分娩をする割合も先進国で低いとされております。内視鏡検査は受ける側にとってみると、まだまだつらい、受けたくない検査の一つではないのでしょうか?

当院では、早くから内視鏡検査時の患者さんの苦痛軽減に対して様々な試みをして参りました。最近の細径内視鏡(経鼻内視鏡)は以前より画質や操作性も改善し、通常径の経口スコープと比較し、遜色なく検査や診断ができるようになりました。この点に着目し、細径内視鏡を経口から検査することにより患者の苦痛軽減がどの程度得られるのかに関して単施設前向き研究を行って参りました(UMIN 000047366)。結果として、前回通常径で経口内視鏡検査を受けた時と比較して、検査中の苦痛軽減効果があり、かつ生検などの検査に必要な処置にかかる時間は変わらなかったという結果でありました。

また、この結果を受けて細径スコープと通常径スコープを経口で上部消化管内視鏡検査を行った際の苦痛度に関して、多施設共同前向き研究も行いましたが(UMIN 000050134)、同様に患者苦痛度を減らし、病変の発見率は変わりませんでした。

2023年6月以降、当院では、ほぼ全例で上部消化管内視鏡検査の際、通常径より細いスコープを用いて検査を行っております。

 

 
(一番上が当院で主に用いている上部消化管内視鏡で他のスコープと比較し、径が細いため苦痛軽減効果が得られている)
 
また、大腸内視鏡検査においても、普通のスコープでは挿入が難しかった患者さんに対して、極細径スコープであるEC-760XP/Lを用いて検査を行い、盲腸到達率の向上、挿入時間の短縮が得られております。
鎮静薬の開発に関しても尽力して参りました。新規ベンゾジアゼピン系薬剤であるレミマゾラムは、日本では全身麻酔で使用されている薬剤でありますが、半減期が現状用いられているドルミカムと比較して短く(約40分)、苦痛軽減効果を示しながら、検査終了と同時に覚醒しており、5分後には歩行可能となる、現状のリカバリー環境を改善しうる薬剤であります(Ichijima et al, Dig Endsc 2022)。ムンディーファーマ株式会社と連携をとり、当院が中心となり、医師主導治験を行って参りました。現在、承認申請をしており、今後、承認が得られたら多くの患者さんに使用できると思います。今後も診断精度を落とすことなく、患者さんにとって苦痛の少ない内視鏡検査を提供していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い致します。 
 
消化器病センター

診療受付時間

初診の方
月〜金曜日
/
土曜日
再診の方
月〜金曜日
/ 午後は予約診療のみ
土曜日

休診日

土曜日午後,日曜・祝日,10月8日,年末年始(12月30日〜1月4日)

住所

〒101-8309 東京都千代田区神田駿河台1-6 Google Map