比較読影の大切さ
日本大学病院にいつも患者さんをご紹介いただきありがとうございます。今回のニュースレターでは、放射線科の比較読影についてお話をさせていただきます。
比較読影とは、同じ患者さんに対して異なる日に撮影された画像を比較して質的な診断を向上させる手法です。一般的なものでは健康診断の胸部X線検査を前回の画像と比較し、新しいものか前回からあるものかを判断します。この情報は良悪性の判定や精査の適応を決める上で重要になります。
近年のCT検査は胸部から骨盤部までをわずか十秒程度で撮像することができます。一回の検査で数百枚の画像が作成され、高精度の画像では小さな病変が偶然発見されることも少なくありません。図1は腹部大動脈瘤の経過観察中のCTで偶然指摘された肺の結節影ですが、この画像だけで良性悪性の判断をすることは容易ではありません。半年後のCTの画像(図2)では結節影は大きくなり肺癌と診断され手術が行われました。このように小病変の検出、適切な経過観察、丁寧な比較読影を行うことが診断精度を上げるために重要になります。
胸部や腹部に異常が指摘された場合にCTやMRIで精査をすることは重要ですが、画像検査を依頼する際には過去の画像を比較できる施設にご紹介を頂くことが大切だと考えます。過去に日本大学病院を受診されてCTやMRIを受けたことがある患者さんであれば、放射線科に大量の画像データが管理・保存されています。早期病変の検出だけでなく、無駄な検査を省き患者さんの不安を解消できる等、その利点は非常に大きいものと考えます。是非日本大学病院の放射線科に画像検査のご依頼をいただければとお願い申し上げます。
図1 初回のCT 図2 半年後のCT